日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 21:25:46 | 居酒屋
三年ぶりとなる宮崎での酒場探訪、一軒目は宮崎出身者のすすめに従い「丸万焼鳥」を訪ねます。
「焼鳥」と聞いて焼鳥屋を連想するのは早計で、この店に串焼きは一つもありません。あるのは焼き物がもも、手羽、もつ、砂ずりの四つ、あとは刺し、タタキ、生野菜、おにぎり、ご飯と最低限の酒だけです。潔いまでの簡素な品書きは、釧路のザンギ専門店「鳥善」を思い出させます。この店にしても「鳥善」にしても、もも焼きであるとかザンギであるとか、純粋にそれだけをいただくための店で、酒と肴、あるいは居心地などをしみじみ楽しむ店とは少し違うということです。普段は品書きを眺めつつ様々な組み立てを考える自分にとっても、この状況でとるべき選択は一つしかないということになります。
ただ、より似ていると思うのは、「鳥善」というより仙台の牛タン専門店です。骨付きか切り離しかを聞くやいなや、七輪でもも肉が豪快に焼かれ、もの二、三分でアルマイト皿に乗って供されるところなどがまさにそうで、付け合わせで出る鶏のスープはテールスープに相当するものと思えばよいのでしょう。もも肉の歯応えと炭の香り、したたる脂などが専門店ならではです。そこらの居酒屋でおざなりなものを選ぶより、まずここでもも焼きをいただいてから次へ行く方がよいのかもしれません。
このようにやや風変わりな店ながら、宮崎で一軒行くならここだといえる店に出会ったのは事実です。しかし外には品書きもなく染め抜きの暖簾が揺れるのみで、それだけを頼りにここへ飛び込むことはおそらくできなかったでしょう。「蛇の道は蛇」と実感した次第です。

丸万焼鳥本店
宮崎市橘通西3-6-7
0985-22-6068
1700PM-2300PM(祝日を除く日曜定休)

霧島
鶏刺し
もも焼き
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 21:03:38 | 四国
鹿児島からフェリーと一般道のみで宮崎までたどり着きました。余裕綽々とはいかないまでも、この時間から始めれば酒場めぐりに支障を来すこともないでしょう。
鹿児島、宮崎、熊本、長崎、佐賀、福岡と、今回立ち寄る予定だった九州各県のうち、酒場めぐりという目的に関して最も優先度が高かったのはなんといっても鹿児島、次いで長崎、福岡、熊本といった順で、端から眼中になかった佐賀はともかくとして、宮崎の順位は決して高くはありませんでした。実際のところ、出発時点の構想では宿泊する予定がなかったわけで、昨年は鹿児島から列車で移動してきて折り返しただけ、その前年も深夜にMOSを訪ね歩いたのが全てでした。宮崎に宿泊して呑むのは実に三年ぶりということになります。
それほどまでに位置づけの低い宮崎ですが、これは鹿児島という偉大なる聖地の影に隠れてしまうからで、れっきとした呑み屋街はあり、焼酎も肴もその土地らしいものが揃っています。清酒文化か焼酎文化か中途半端な大分、熊本などよりも、呑み屋の「型」という点では確立されているということです。その中からこれはという店を一軒でも探り当てられればよいのですがどうなるでしょうか。それでは後ほどお会いしましょう…
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 18:44:35 | 温泉
待ちかねた温泉の時間がやってきました。出発七日目にして最初の温泉は「青井岳温泉」で、大柄な建物に食堂、直売所、休憩室に宴会場を設けた、絵に描いたような現代風の日帰り温泉です。なめらかな温めのお湯は「とろみの湯」との触れ込みそのままで、循環させているとはいうものの、この程度なら問題はないでしょう。露天風呂に浸かれば、虫の声が聞こえる中で涼やかな秋の夜風が吹いてきます。いい季節になりました。

青井岳温泉 青井岳荘
都城市山之口町山之口2123
0986-57-2177
700AM-2100PM(第一木曜及び二月、九月の第一水曜から金曜定休)
入浴料400円
泉質 ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
泉温 37.3度
pH 7.5
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 17:20:41 | 九州
結局宮崎宿泊ということで結論が出ました。やはり、移動を明日に詰め込めばよくなったというのが大きく、市内の宿が軒並み3000円前後というカプセル並みの安値だったことも決め手になりました。熊本と違って呑み屋のあてがないという問題点はあるものの、それはこの街へ来たら毎回ここへ寄りたいと思うほどの名店にまだ出会っていないというだけのことです。今から向かえば時間にもかなり余裕があります。自分の目で十分に吟味すれば、一軒二軒は満足できる店が見つかるのではないかと期待しています。
これで先を急ぐ必要はなくなったため、高速には乗らず一般道を走ります。沿道に温泉があり、そこで一風呂浴びることもできてちょうどよいという寸法です。これまでの道中、フェリーにも宿にも大浴場があったのと、昼は撮影、夜は酒場めぐりで忙しく、温泉王国の南九州に五日間も滞在しながら一度も温泉に立ち寄る機会がありませんでした。おそらく南九州最後となるであろう今夜は、ゆったり温泉に浸かってから宮崎へ向かいます。
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 17:03:15 | 九州
さて、この後は高速を飛ばして宮崎へ向かいます。新モス一軒と、三軒ほどある古きよきモスを訪ねれば、自分にとって宮崎へ来た最低限の目的は果たせるということになり、それから高速を飛ばしても、おそらくは日付が変わる頃までに熊本へ着けるという状況ではあります。ただ、明日の天気が曇りがちと予想されていて、それなら移動は明日に詰め込んでしまえばよいため、このまま宮崎に泊まるという選択も捨てがたいところではあり、時間が経てば経つほど後者に傾きつつあります。宮崎まで走る間に結論は出ているものと思われます。次は到着後にお会いしましょう…
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 16:48:06 | MOS
高速道の手前でもう一軒のMOSに寄ります。都城上川東店で、日差しと雨風にさらされ色褪せた赤看板が宮崎のMOSならではです。年代がやや新しく、細部の設えという点では都城大学通り店に軍配が上がるものの、道路側から奥側へ向かって屋根が一直線に下りる台形の店舗と、今や生きた化石ともいえる赤地に白抜きのMマークをあしらった回転式看板がこの店ならではの特徴です。道路側の客席はもちろん吹き抜けの天井となって、五つ並んだ正方形の小さな明かり取り窓がアクセントを添えています。

モスバーガー都城上川東店
都城市上川東4-5975-1
0986-46-1919
1000AM-2400PM
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 15:32:52 | MOS
宮崎は古きよきMOSの宝庫と申しましたが、都城も例外ではありません。遅い昼食と三時のおやつを兼ねて立ち寄るのは都城大学通り店です。白壁に赤瓦の切妻三角屋根を組み合わせた店舗は、ありがちな南欧風店舗にも見えながら、緑モスの導入とともに流行しだしたそれらの店舗よりも年代が若干古く、従来型店舗の面影を随所に残しているという特徴があります。壁面には手が加えられているものの、タイル張りのキッチンは昔ながらのMOSそのもので、三角屋根の木組みを活かした吹き抜けのホールと明かり取りの小窓、レジの背後にかかったテレフォンオーダーの小看板、窓際に並んだ造り付けのテーブルと椅子、そして天井から下がる球形のランプシェードなどはその時代ならではのものです。床から立ち上がる縦長の窓の外に庇を延ばし、プランターの花を並べるなどの演出にも好感がもてます。

モスバーガー都城大学通り店
都城市広原20-1
0986-21-5158
平日 1000AM-2400PM
土曜休日 900AM-2400PM
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 14:38:00 | 酒屋
道中二軒目の酒屋に立ち寄ります。訪ねるのは西都城駅前の「さいしょ酒店」で、鹿児島の「コセド酒店」に比べるとかなり小さな店ながら、瀟洒な店内には地酒と焼酎とワインが揃い、ウォークインの冷蔵庫を設えるなどかなり熱が入っています。五日にわたり世話になった鹿児島に敬意を表して今回は芋焼酎を購入。帰りの船内での晩酌はますます万全です。

さいしょ酒店
都城市松元町12街区10号
0986-22-1370
平日 830AM-1930PM
第三土曜 830AM-1230PM
日曜 1100AM-1800PM
第一・第三・第五日曜定休
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 14:23:44 | 九州
出発からの走行距離が1500kmに達したところで都城に着きました。気温が28度ということは、鹿児島よりも宮崎の方が大分暖かいようです。とはいえ暑いわけではなく、八月上旬に同程度の気温だった時などとは比べものにならないほどさわやかに感じられます。
10号線に入ってからの移動はある意味単調そのものだったとはいえ、なだらかな起伏が続いて畑が散らばるなど、宮崎らしい地形は車窓からも分かりました。幸か不幸か、昼頃から出始めていた絹のような雲が次第に厚くなり、時折日差しが遮られるようになっています。五日にわたり、奇蹟といえるほどの快晴が続いてきた今回の旅ですが、どうやら明日は一旦曇りがちになるようです。天候のよい時をじっくり滞在して過ごし、そうでない時にまとめて移動できるという点で、結果としてはまことに理想的な時間配分といえるのではないでしょうか。
都城の市内に何ヶ所か立ち寄る場所があるためそれらを回り、そこから先は高速道路を飛ばして宮崎市内へ向かいます。この調子ならおそらく五時過ぎには着くでしょうから、そのまま宮崎に滞在するよりは、再び高速を飛ばして熊本まで距離を稼ぐという強攻策が有力となりそうです。素通りに近い形で終わってしまうのは残念ながら、宮崎は古きよきMOSの宝庫でもあり、これらを訪ねるだけでも自分にとってはそれなりに楽しめます。日付が変わるか変わらないかのうちに熊本へ乗り込み、なじみの酒場で一献傾けて締めくくれれば理想的です。到着が相当遅くなりそうなので、今日は宿をとらずにカプセルか車中泊で済ませることになるかもしれません。
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 12:56:10 | 九州
今度こそ正真正銘の最後と思って別れを告げたはずが、県道の坂を上る途中に展望台があったため緊急停車。まあ、そういう性格だということです…
小高い山の中腹に切り開かれた公園からは、真正面に桜島、右手に錦江湾の最奥部から薩摩半島にかけての海岸線、左手に大隅半島を望む180度の大パノラマが広がっています。渡りに船で屋根付きのテーブルとベンチもあり、小休止をとるには好都合です。飛び交うトンボとともにさわやかな秋風を受けつつ、この場所で心ゆくまで名残を惜しんでから先へ進むことにします。
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 12:02:36 | 九州
結局本日はどんでん返しもなく、224号線、220号線をまっすぐ走って10号線へ向かう県道の入口までやってきました。立ち上る噴煙と絹のような秋の雲で、最後に眺める桜島は遠くに霞んでいます。また来年お会いしましょう…
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 11:01:21 | 九州
桜島フェリーで鹿児島市街を離れます。これが最後という実感が湧かないのは昨日と同じです。やはり、感慨が押し寄せるのは大隅半島を北上してからとなりそうです。
ちなみに昨日より30分遅い便に乗りました。展望台をパスすれば容易に取り返せる時間とはいえ、錦江湾から10号線へ抜ける県道との交差点までは40kmほどの距離があります。そこへ到達するのは果たして何時になるのでしょうか。
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 10:29:55 | 九州
今日も岸壁から桜島を望みます。一昨日、昨日と別れの挨拶代わりに二度立ち寄ったつもりが、またしても同じ場所に立つとは思いませんでした。この先何が起こるか分からないので、別れの言葉はもう少し先までとっておきたいと思います。
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 09:57:00 | B級グルメ
本日も新港の魚類市場で朝食をいただきます。昨日品書きになかった秋太郎が復活しており、しかも大きく値下がりしています。要は市場の品揃えによって仕入れも値段も変わるということで、いかにも市場の食堂らしい品書きです。その秋太郎との二者択一で選んだカツオは、昨日の首折れ鯖にもまして豪快に盛られ、かぼすを搾って甘口の醤油でいただけば、気分はまさに秋の九州そのものです。すぐそばのテーブルでは、長靴履きの市場関係者が、焼きそばとご飯と味噌汁で早めの昼食をとっています。その雰囲気を含めて秀逸というほかなく、多少時間が押してもここに立ち寄らない手はありません。

★新港食堂
カツオ刺身850円
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色づく秋の九州へ 七日目

2012-10-05 09:22:58 | 九州
出発します。気温は21度、空はもちろん雲一つない快晴です。行き足が鈍ることも多々あるでしょう。それでも慌てず急がず進みます。
それにしても、五連泊しながら一度として連泊での予約はせず、毎日暗くなってから予約を入れるのですから、宿としてはおかしな客に見えたかもしれません。繁華街に近くて料金も手頃、遅い時間に飛び込めば、空いたツインと和室を融通してくれるなどの計らいもありがたく、おかげさまで快適に過ごさせていただきました。満室にさえならなければ、鹿児島の定宿はここで決まりということになりそうです。
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