A black cat and I・・・☆

人生、前向きに…!乳房再建等5回目の手術を経験して、今は既往症や趣味や猫の事など、日々の出来事を適当に綴っていきま~す。

通院四回目

2004-09-29 | 乳がん日記
今日は、CTの予約が13:20に入っている。
台風が近づいているけれど入管へ行く用事を無理やりつくり昼食後12:20頃会社を抜け出して病院へ向かう。

外はすごい風と雨が降っている。
病院の近くへ付くと雨が横殴りである。パンツがビョッショリ濡れているのが台風の風の強さを物語っている。

12:50頃1Fでレントゲン受付を済ませ、待合室で待機。
なんと13:00過ぎにはCT検査室に呼ばれ、検査台に仰向けになる。
注意事項を説明して頂きいよいよ撮影に入る。
CTとはX線で体を一周して撮影し、コンピュータを使って画像処理するものである。
撮影中、あのガッタン、ガッタンと言う音がうるさい。
早く終らないかと願いながら一周する音をカウントする。1回、2回、3回、4回、5回、6回。
あ~終った。これをあと何回カウントすればいいのやら!
一通り終ったあと、今度は造影剤を点滴しながらまた同じように撮影する。
造影剤の副作用の説明を受けて再び撮影開始。
何とか気分も悪くならず撮影は20分で終了した。この撮影料約1万円。高いなぁ~。

精算後、入管へ向かう。先ほどの風雨は相変わらずである。
傘を横にしないとずぶ濡れになってしまう。
明日から東京三泊四日の旅行が待っているのに飛行機は飛ぶのか知らん?
と仕事中にも関わらず遊び優先の発想である。

入管で書類を一枚ペロンと提出してすぐに帰社する。
相変わらず風雨は強い。気になるのは明日の天気なので帰社してからもっぱらネットで天気予報をチェックする。
夕方になると風雨が収まり、西の空から晴れてきていた。
やった。この調子だと明日は晴天で東京にも予定通り飛行機で行けるわ。
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通院三回目

2004-09-28 | 乳がん日記
今日は外科外来の診察の前に心臓外科外来の受診があったので、会社を10:30に出る。
11時に心臓外科外来で受付を済ませお昼前に受診終了。
右ふくらはぎの血管が浮き出ているけど心配するほどのことではないそうです。安心して、外へ出てお昼を取ることにする。

外科外来の予約は13:30から。ここはいつも超満員。
ちゃんと予約を入れているのだけど、どうも時間通りには行かない。時たま急患も入るし…。でも今日の待ち時間は約30分足らず。
割と早いほうである。
先週手術の日取りを決めたのでその確認ともう一度手術方法の説明があった。
診察終了後、いつもの優しい看護師から詳しい入院の説明があった。
入院診療計画書を戴き、入院の経過と必要物品の説明があった。
いよいよ始めての入院が迫ってきた。
右おっぱいがなくなることの実感がまだ湧いてこない。
当然だよね。変な話、しこりがあってもやっぱりおっぱいは切りたくないのが本音である。

精算が終わり、再び会社へ戻る。外出した分少し残業をして時間を稼ぐ。
帰宅したのが7:00過ぎだった。
なんとサンゴ(仮名)からのゆうパック不在配達通知が2通も入っていた。
早速配達をお願いして、届けられたのは横浜中華街の直径10cmの肉まんと鱶鰭シューマイ。勿論その夜は肉まんを頂きました。
さすがに10cmの肉まんはそれひとつでおなかいっぱいである。ご馳走様でした。
美味しゅう頂きました。

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友人からのお見舞い

2004-09-27 | 乳がん日記
この前電話で話していたとおり、サンゴ(仮名)からお見舞いとしてゆうパック“自然薯そば”が送られてきた。
私がおそばを大好きなことを覚えていてくれたのである。
早速湯がいて試食する。おいしい。ざるそばにしたけどのど越しがよくってツツツッ~と入っていく。
これからおそばを食べるときはサンゴ(仮名)のことを思い出しながら頂きます。


そうそう、この日はバイトをしていたお店にも電話をしてバイトをしばらくお休みすることを告げた。勿論病名は秘密である。お店の責任者は、

「まさか、死ぬような病気じゃ~ないでしょうね!」

冗談か本気かわからないけど、私はその言葉に詰まった。しばらくして

「ああ、大丈夫です。手術してそのあと半年位治療をするだけですから!」

普通の人間なら手術すること自体が大変で、そのあとの治療が半年も続くとなれば尋常ではないと感じるはずである。お店の責任者は“誰にも喋らないから私には本当の事を言ってね!”

ありがとう。本当のことを言うとどうやって慰めていいかわからないから、やっぱり病名は伏せておきます。悪しからず。


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友人に病気を告白

2004-09-25 | 乳がん日記
サンゴ(仮名)以外の友人に唯一乳癌を告白した。
11月25日から一緒にイタリアツアーに参加することになっているKちゃんだ。
今回のツアーは超お得な価格設定でなんと99,900円。
6日間だけど南イタリアの観光が付いていて殆どお食事付き。
以前イタリア旅行に参加している私は今回の超お得なツアーを見てすぐに参加することを決定。
以前より一緒に海外旅行へ行こうと誘っていたKちゃんに声を掛けたのだ。
当然Kちゃんは乗ってきた。
すぐにツアーを申し込んだ。しかし8月中旬時点でキャンセル待ち。やっとのことで8月24日にツアーの申し込みが出来た。

会社の同僚にツアーのことを話すと皆、私も参加する~。といいだし、他の2名の社員もなんとツアーの申し込みをした。(勿論キャンセル待ち)皆が一変に休んだら社長も大怒りよね。
まあ、9月から入ってくる人に仕事を覚えてもらって社長と一緒にやってもらおう。なんて、軽い考えをしていた私たちでした。

そんなこんなでKちゃんには大変な負担を掛けることになるであろうと考えた私は、“乳癌だけど来月の5日に入院、6日には手術しているから、その頃は多分化学療法の治療をしているし、先生にも確認したら行ってもいいって。”

この旅行に関しても私の思い出づくりのためじゃ~!なんて体調のことも考えずにのほほ~んと旅行の説明をしていた。
Kちゃん、病気の私を大事にいたわってくれたまえ。


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通院二回目

2004-09-21 | 乳がん日記
今日は昼から会社の用で入管へ行ったあと、その足で市民病院へ行く。
先週の乳房の細胞診の結果がでるのだけど心の中ではもう覚悟を決めているのだ。とは言っても先生に言われたらやっぱり呆然となってしまうのだろうなぁ。
今日は気を確かにしてちゃんとお話を聞こう。

受診する前に看護師から1Fでレントゲンを撮ってくるように支持を受け、それが終わると同じ1Fレントゲンの反対側でCTの予約がしてありますので、この用紙を渡して下さいとのこと。
今度は普通の胸のレントゲンを撮る。
撮影が終ってCTの場所がわからずわざわざレントゲン技師にCTの場所を聞いたら、目の前だった。広い病院は何もかもわかりにくいです。

外科外来へ帰り、中待合に呼ばれた。
いよいよ検査結果の発表だ。診療のため診察室に入るとこの前の先生とは違い少し年配の先生が座っていた。

「この前の先生はこれから手術があるので変わりに☆☆先生が診察されます。」
と看護師の説明。☆☆先生から早速検査結果を伝えてもらう。

「結果は“陽性”でした。」

やっぱりそうか。ちょっと絶望したけど、これからの治療のために色々と決めなければいけないことがいっぱいあるのだ。前回の説明で手術の方法を聞いていたので、確認のためにまた簡単に手術の説明をされた。

「どうします?手術はいつにされますか?」
はやっ!もう決めるのか。切るんだったら早いほうがいいや。

「9月はもういっぱいなので10月の来週か再来週あたりの水曜日か金曜日あたりではどうでしょう!」

「そうですね。早いほうがいいので6日にして下さい。」

「それでは5日入院で、6日に手術をしましょう。」

「先生、一つ聞きたいことがあるんですが、私11月25日からイタリアに6日間海外旅行に行くようにしているんですが、行くことは出来ますか?」

「そうねぇ~、今まで一人だけ手術したあと3ヶ月位で行った人がいるよ。」

「あっ、そうなんですか。じゃ海外旅行に行かれますね。」

私はなんと能天気なのでしょう!自分の病気や治療の事はそっちのけにして遊ぶことばかりを考えていた。これも一つの思い出作りだ~い!なんてね。

診察室を出て待合室で入院の手続きのため看護師から簡単な説明を受ける。看護師からは、

「良かったですね、☆☆先生に診察して頂いて。☆☆先生は乳癌の権威の先生だから今年いっぱいは予約が詰まっていて中々診察して頂けないんですよ。」

ひゃ~、なんてラッキーなんでしょう。初診の時の優しい先生に続き、権威の☆☆先生に診察して頂くなんて私はいい先生に恵まれたわ。
入院の説明を聞いたあと、来週の診察の説明を受ける。右足のふくらはぎの血管が浮き出ているのが心配だったので、心臓外科で診察を受けることになった。

「来週の28日は心臓外科を受けることになりますが、初診ですので11時までに直接心臓外科の受付窓口で受付を済まして下さい。紹介状はこちらの方から心臓外科の先生に回しておきます。診察が終ったら13:30から外科外来に来て下さい。29日は13:20にCT(コンピュータ断層撮影)の予約をしていますので13時頃までに1Fのレントゲン室で受付を済まして待っていて下さい。この日はCTが終ったらそのまま帰られてもいいですよ。」

ちゃんと詳しい説明をしてもらっているのにも関わらず私は、心臓外科はいつ行くんだったっけ?とすっかり頭の中が真っ白になっていた。
後日、もう一度病院へ電話して心臓外科は28日か29日かを確認した。
どちらも昼からの診察だったので午前中の心臓外科の診察がいつだったか迷っちゃったの!

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辛くても乗り切るぞ~!

2004-09-19 | 乳がん日記
今日は某広島店のカード受付の仕事が終ったら姉と一緒に夕食をすることになっていた。
昼間から広島に用があるらしくて出雲から車を飛ばして来ていた。
8時過ぎに迎えに来てもらい、緑井のイタリアンレストランへ行く。

姉に乳癌の告白をしてからインターネットで色々と調べているらしく電話でも色々とアドバイスをしてもらっている。ちょっとくどい所があるけれど本当に心配してくれて有り難い。

けれど私は姉に対して病気のことを余り喋っていない。そのことが今夜の喧嘩の原因になる。

「あんたが何を考えているか全然わからん。私とお母さんはあなたのために色々と考えているし援助しようと思っているのに、あなたが何も言わないんだったら私たちは何をしていいかわからんわ!そんなことだったら、あんた一人で頑張りんさい!私は何も援助出来ないわ。」


私は言葉を失った。その瞬間から涙がポロポロと溢れ出す。確かに色々とアドバイスをしてくれることは有り難いけれど、今の私にはこの病気をちゃんと受け止めて自分の中で整理をする必要がある。
まず、おっぱいがなくなることを受け入れないといけないし、その後の治療の事も考えないといけない。

私は目の前にある料理には目もくれず、涙を拭いたティッシュをいっぱい積み上げていた。お店のスタッフからは丸見えだったけど、そんなことは全くのお構いなしである。このまま私の気持ちを伝えないわけにはいかない。私は姉に言った。


「お姉ちゃん、取り合えず私の病気を受容して!私は乳癌だと言うことにすごくショックを受けているのにあれこれと手術がどうの、かつらがどうの、乳房再建がどうのって、先の事を突っ走って言わないで!とにかく、“病気になって辛いけど今は一緒に頑張って行こうね”って、受け入れてよ。その後から、治療の事を言ってよ。私は今は何も考えたくない。」

私は、今の病気を乗り切るには家族の協力を得なくては乗り切れないのである。
金銭的にも生活をするのがやっとなのにましてや手術ともなれば援助がないと絶対に無理である。

何とか私の気持ちもわかってもらい、冷めた料理を平らげてこのお店を後にした。
すぐ目の前には広島インターがある。姉は明日は9時から仕事だと言っていたので、ここでお別れをして私はバスで帰宅した。帰宅してからももやもやとした気持ちが拭えなかった。

私は、一人でこの病気と闘わなくてはいけないのだろうか?
ここの所、自宅に帰ると目じりにはいつも涙が溜まっている。
自分の中で考えているつもりはないけれど涙が自然と溢れ出てくるのだ。
拭いても拭いても次から次へと涙が滲んでくる。




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泣くな!

2004-09-15 | 乳がん日記
朝はもやもやっとした気持ちで目覚める。
またまた目尻から涙がジワ~っと流れる。
やはり気持ちは相当ブルーになっている。
仕方がないよね。

私には今慰めてくれる人が側にいないんだもん。
泣くな!と自分に言い聞かせ、仕度を始める。
でも泣きたいときには思いっきり泣くことにするからね。
今の私には涙を流して気持ちをすっきりとさせるしか方法はないのだ。

会社へ行くとまた皆が声を掛けてくれた。
病名は言っていないけどひとこと声を掛けてくれることが本当に嬉しい。
明日はまた急遽お休みをすることを告げると、皆体のことを心配してくれる。実は違うのです。ズルと言えば聞こえは悪いけど気分転換に日帰り温泉バスツアーに行くのだ。
皆にはちょっと用事があるから休みます。と言っておいた。
ごめんちゃい。


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初診

2004-09-14 | 乳がん日記
以前より気になっていた右乳房のしこりの検査のために広島市民病院へ行く。
実は乳房のしこりなんてどこの外来を受けていいかさっぱりわからない。
広島市民病院にはこの5月に別の外来で診察を受けていたこともあり、自宅から近いということでこの病院の外来を受診することに決めた。
前日、市民病院に電話をしてどの外来に行けばいいか確認すると「外科」だった。

朝9:00頃受付を済ませ、1Fの外科外来へ向かう。紹介状も何もなかったけど、問診表を記入した後、早速レントゲンを取りに行くよう指示を受ける。

「**さん、じゃレントゲンを撮りに行って下さいね。同じ1Fの中央処置室の右側の廊下を少し進んだら、レントゲンの受付がありますので、そこへ行って下さい。」

大病院はごちゃごちゃして本当にわかりにくい。説明を聞いていても、ありゃ?こっちでいいのよねぇ~。
なんて案内図を確認しながら進んでいく。すでに私の術前検査が始まろうとしていた。マンモグラフィとはよく聞いていたけどこれが乳房専用のⅩ線撮影だ。
20分位待ってレントゲン室に呼ばれる。まずレントゲン室に入り、上半身裸になる。
レントゲン技師はかなりわかそうな先生である。

さあ撮影開始。おっぱいを片方ずつ鉄板(?)に挟み、まず上と下からギュ!
その撮影が終わると今度は右と左からギュ!左右のおっぱいを2枚ずつ計4枚撮影した。
豊満?なのでどの角度からでもしっかりと挟まれるのだ。
でもやっぱり痛くて、「痛いですぅ~。」と叫んでしまった。
会社の同僚が言っていたけど、その彼女は検査を受けに行ったとき胸が挟まれなくて困ったんだ。って言っていた。
う~ん、確かに彼女の胸はない。

撮影が終了してフィルムを外科外来の受付へ渡す。またしばらくは待合室で待機。
そうこうしていたら、救急車が来て患者が外科外来に入って行った。

11:30過ぎ外来の受付嬢が「今日は急患が入ってきましたので、お昼を先に済ませておいて下さい。

12:40頃に戻って来られたらいいです。」と言われたので一旦病院の外で出る。お弁当を持って来ていたので市民病院の道路を挟んで真向かいにある市立図書館の前の公園でお弁当を食べる。その間4ヶ所も蚊に刺された。痒い、痒い。即効でお弁当を済ませた後、またすぐに病院へ戻る。

戻ってきたことを外来の受付嬢へ伝え、あとどれ位で診察が出来るか確認したら今日は急患が入ってきたので、多分3:00過ぎになる、と言われこのままデパートで時間を潰そうかと思ったが会社思い(?)の私は、自転車で会社へ向かった。
2時間ばかり仕事をして又市民病院へと戻る。3:30頃受付嬢へ戻った事を伝え、あとはひたすら診察の時間を待つことに…。

4:00過ぎになり結局待合室で待っているのはとうとう私一人になってしまった。
そこでやっと中待合室に呼ばれる。「**さ~ん!」いよいよ診察だ!「は~い!」診察室に入ると座っている先生はとても優しそうな先生である。年齢は私より若いだろうなぁ~!独身の私はそんな不埒な事を考えていた。
でも、このあと予測はしていたけど衝撃的な言葉を先生から言われる。先生は午前中に撮影したマンモグラフィの写真を見ながら、

「私の今までの経験から言うと、このフィルムを診たかぎり恐らく90%は乳癌に間違いないでしょう。これから超音波検査をしますので別室へどうぞ。」

ガァ~~ン、やっぱり乳癌?私は絶望的になり全身の力が抜けてしまった。
そのまま看護師に連れられて超音波検査室へ入る。
また上半身裸でベッドに横たわる。
早速超音波を出して右乳房の断面図を画面に写し出す。
乳首の上に大きな塊が見えた。その上にも小さな塊が2ヶ所あるようだ。
更にリンパの方にもあるみたい。
顔が青ざめながらも私は画面をみていた。先生は腫瘍の大きさを測り、

「細胞を取って検査しますので、ちょっと太い注射針をしこりの所に刺します。少し痛いけど我慢して下さいね。」

少しどころかかなり痛かった。これは細胞診と言って、画像診断でしこりが見つかったときにそれが良性か悪性かを調べるためにとても大切な検査だそうです。一旦診察室に戻り先生から説明を受ける。

「また来週診察に来られたときに詳しい検査結果をお伝えします。
手術は色々な方法がありますけど乳房温存手術も一つの方法です。もしこの病院で手術を受けられるならパンフレットがありますが、どうされますか?このあと色々な検査がありますので看護師から詳しく説明をさせますので中待合でお待ち下さい。何か聞きたい事があったら私にでも看護師にでも遠慮なく言って下さいね。」

“先生、私は独身でパートナーがいないんですけど、乳癌と言う病気を背負ったままこれから恋をする事が出来ますか?”
と喉まで出掛かったけど、グッと押さえてそのまま診察室をあとにした。

中待合室に座り私は先生から頂いた“これから乳癌手術をうけられる方へ”と
“これから化学療法をうけられる方へ”というパンフレットをかばんの横に置いて呆然としていた。

何とも言えない胸の締め付け、頭の中は何も考えられずぼんやりとしていたが、私は死んでしまうんだ!どうしよう~!と早くも癌イコール死という図式が頭の中をめぐっていた。
脱力感でこのまま中待合室の椅子に横になりたいくらいだった。看護師がやってきた。朝から思っていたけれど笑顔がとっても可愛くて綺麗な看護師である。

「皆さん、病気のことをキチンと受け止めてちゃんと治療されていますから、一緒に頑張りましょうね。」

とても有り難い言葉である。その一言で私は心の中でウンウンとうなずいた。
このあと不安そうな顔つきの私に対して笑顔でそして優しい声で励ましながらこれからの検査予定を詳しく説明してくれる。

「まず、これから2Fに行って検尿をして下さい。そして、その奥の検査室で心電図と肺活量を調べて下さい。最後に中央処置室で採血をして、受付で精算をしたらもう帰られてもいいですよ。」
(実は検査内容をあまりよく覚えていないので何か抜けているかもしれないけれど、覚えている範囲で書きました)

ひゃ~、なんと色んな検査があるのでしょうね。説明書付なのでこの用紙の順番通りにすればいいのねっ!と自分では納得。
早速検査へGO!全て終了したはずだった。会計へ出して精算をお願いする。
しかし、持ち合わせのお金がなかったのでお金を下ろそうと思ったらATMがすでに終了。
そうです、5時になればここのATMは閉まってしまうのです。
仕方ないので受付嬢に外のATMで下ろしてくることを告げて外へ出る。
さあ、支払いをしたら一旦会社へ戻って仕事をしよう~、それともこのまま帰っちゃおうかなぁ~!なんで考えて受付へ戻ると、

「**さん、採血をしていませんね。そこの中央処置室でやってきて下さい。」

ぎょへぇ~、自分でも用紙を見ながら確認したはずだったのに、やっぱなんだかんだといいながら頭の中は結構真っ白け状態になっていたのね。可笑しくって、心の中で笑っていた。

病院から出て、姉にだけは乳癌の疑いがあることを電話で伝えておこうと思い、会社へ電話をする。これまた、話した内容は余り覚えていませ~ん。
会社へ戻ると皆が心配そうな顔で私を迎えてくれた。

「大丈夫?命に別状はないんでしょう?」

「うん、多分大丈夫!」

と強気の発言。乳癌だなんで絶対に言えない。しかし4人の社員のうち、2名が帰ったあと、しばらくして私はつい弱音を吐いてしまった。

「どうしよう、私もしかしたら死ぬかもしれない。」涙が出る一歩手前の悲壮な顔である。

「大丈夫よ、**さんなら。気持ちの持ちようでどうにでもなるから頑張って!前向きに考えればいい方向に向かうから!」

ありがとう、もう私は会社では絶対に弱音は吐かないからね。でも少しわがままにならせてもらうかも…。病名は絶対に言えないけどご了承くださいませ。

さあ、自宅に帰ってからが大変。涙が目尻からジワジワと流れてくる。
でも今は泣いている場合ではない。自分の病気がどんなものであるか頂いたパンフレットで知る必要がある。その中で私は治療法を選択しなくてはならないのだ。
気を取り直してパンフレットを読んでいたら、9:00過ぎにさんご(仮名)から電話が掛かってきた。

何とグッタイミングの電話なのでしょう。
今宵も飲み会があって結構ご機嫌らしく声が明るい。
けれど私にはこれから伝えておかなければいけないことがあった。

「サンゴ(仮名)に夏頃右乳房のしこりのことを指摘されていたよねぇ。今日病院へ言ったらやっぱり癌の疑いがあるって。もう少し早く病院へ行けばよかったね。」

サンゴ(仮名)の声質が一変に変わった。お酒を飲んでいい気分になったので、久しぶりに愛する私の声が聞きたくって電話をしてきたのに話の内容はとっても暗い話。しばらくは声を失っていたし声が上ずっていた。
もう過去のことを言っても後の祭りである。
これから私は未来の事を考えなければいけないのにね。この後サンゴ(仮名)から色々と励ましのお言葉を頂きました。
ありがとう、これからもっともっとお世話になります。

しかし、パンフレットの内容はとても難しい。
多分学会用のパンフレットを私たち乳癌患者のために提供して下さっているのだけど、読み終わるまでに2時間近くかかってしまった。
“これから化学療法をうけられる方へ”と言うパンフレットはまた後日読ませて頂きます。
素人には一度では理解できないので暇を見つけてはまた読み返そう。

この日遅い夜ご飯をとった時間はすでに11時を回っていた。
シャワーを浴びて布団に入った。やはり、独居のためこの辛さをどこにもぶっつけようがない。私は布団の中でまたポロポロと涙した。


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