A black cat and I・・・☆

人生、前向きに…!乳房再建等5回目の手術を経験して、今は既往症や趣味や猫の事など、日々の出来事を適当に綴っていきま~す。

初診

2004-09-14 | 乳がん日記
以前より気になっていた右乳房のしこりの検査のために広島市民病院へ行く。
実は乳房のしこりなんてどこの外来を受けていいかさっぱりわからない。
広島市民病院にはこの5月に別の外来で診察を受けていたこともあり、自宅から近いということでこの病院の外来を受診することに決めた。
前日、市民病院に電話をしてどの外来に行けばいいか確認すると「外科」だった。

朝9:00頃受付を済ませ、1Fの外科外来へ向かう。紹介状も何もなかったけど、問診表を記入した後、早速レントゲンを取りに行くよう指示を受ける。

「**さん、じゃレントゲンを撮りに行って下さいね。同じ1Fの中央処置室の右側の廊下を少し進んだら、レントゲンの受付がありますので、そこへ行って下さい。」

大病院はごちゃごちゃして本当にわかりにくい。説明を聞いていても、ありゃ?こっちでいいのよねぇ~。
なんて案内図を確認しながら進んでいく。すでに私の術前検査が始まろうとしていた。マンモグラフィとはよく聞いていたけどこれが乳房専用のⅩ線撮影だ。
20分位待ってレントゲン室に呼ばれる。まずレントゲン室に入り、上半身裸になる。
レントゲン技師はかなりわかそうな先生である。

さあ撮影開始。おっぱいを片方ずつ鉄板(?)に挟み、まず上と下からギュ!
その撮影が終わると今度は右と左からギュ!左右のおっぱいを2枚ずつ計4枚撮影した。
豊満?なのでどの角度からでもしっかりと挟まれるのだ。
でもやっぱり痛くて、「痛いですぅ~。」と叫んでしまった。
会社の同僚が言っていたけど、その彼女は検査を受けに行ったとき胸が挟まれなくて困ったんだ。って言っていた。
う~ん、確かに彼女の胸はない。

撮影が終了してフィルムを外科外来の受付へ渡す。またしばらくは待合室で待機。
そうこうしていたら、救急車が来て患者が外科外来に入って行った。

11:30過ぎ外来の受付嬢が「今日は急患が入ってきましたので、お昼を先に済ませておいて下さい。

12:40頃に戻って来られたらいいです。」と言われたので一旦病院の外で出る。お弁当を持って来ていたので市民病院の道路を挟んで真向かいにある市立図書館の前の公園でお弁当を食べる。その間4ヶ所も蚊に刺された。痒い、痒い。即効でお弁当を済ませた後、またすぐに病院へ戻る。

戻ってきたことを外来の受付嬢へ伝え、あとどれ位で診察が出来るか確認したら今日は急患が入ってきたので、多分3:00過ぎになる、と言われこのままデパートで時間を潰そうかと思ったが会社思い(?)の私は、自転車で会社へ向かった。
2時間ばかり仕事をして又市民病院へと戻る。3:30頃受付嬢へ戻った事を伝え、あとはひたすら診察の時間を待つことに…。

4:00過ぎになり結局待合室で待っているのはとうとう私一人になってしまった。
そこでやっと中待合室に呼ばれる。「**さ~ん!」いよいよ診察だ!「は~い!」診察室に入ると座っている先生はとても優しそうな先生である。年齢は私より若いだろうなぁ~!独身の私はそんな不埒な事を考えていた。
でも、このあと予測はしていたけど衝撃的な言葉を先生から言われる。先生は午前中に撮影したマンモグラフィの写真を見ながら、

「私の今までの経験から言うと、このフィルムを診たかぎり恐らく90%は乳癌に間違いないでしょう。これから超音波検査をしますので別室へどうぞ。」

ガァ~~ン、やっぱり乳癌?私は絶望的になり全身の力が抜けてしまった。
そのまま看護師に連れられて超音波検査室へ入る。
また上半身裸でベッドに横たわる。
早速超音波を出して右乳房の断面図を画面に写し出す。
乳首の上に大きな塊が見えた。その上にも小さな塊が2ヶ所あるようだ。
更にリンパの方にもあるみたい。
顔が青ざめながらも私は画面をみていた。先生は腫瘍の大きさを測り、

「細胞を取って検査しますので、ちょっと太い注射針をしこりの所に刺します。少し痛いけど我慢して下さいね。」

少しどころかかなり痛かった。これは細胞診と言って、画像診断でしこりが見つかったときにそれが良性か悪性かを調べるためにとても大切な検査だそうです。一旦診察室に戻り先生から説明を受ける。

「また来週診察に来られたときに詳しい検査結果をお伝えします。
手術は色々な方法がありますけど乳房温存手術も一つの方法です。もしこの病院で手術を受けられるならパンフレットがありますが、どうされますか?このあと色々な検査がありますので看護師から詳しく説明をさせますので中待合でお待ち下さい。何か聞きたい事があったら私にでも看護師にでも遠慮なく言って下さいね。」

“先生、私は独身でパートナーがいないんですけど、乳癌と言う病気を背負ったままこれから恋をする事が出来ますか?”
と喉まで出掛かったけど、グッと押さえてそのまま診察室をあとにした。

中待合室に座り私は先生から頂いた“これから乳癌手術をうけられる方へ”と
“これから化学療法をうけられる方へ”というパンフレットをかばんの横に置いて呆然としていた。

何とも言えない胸の締め付け、頭の中は何も考えられずぼんやりとしていたが、私は死んでしまうんだ!どうしよう~!と早くも癌イコール死という図式が頭の中をめぐっていた。
脱力感でこのまま中待合室の椅子に横になりたいくらいだった。看護師がやってきた。朝から思っていたけれど笑顔がとっても可愛くて綺麗な看護師である。

「皆さん、病気のことをキチンと受け止めてちゃんと治療されていますから、一緒に頑張りましょうね。」

とても有り難い言葉である。その一言で私は心の中でウンウンとうなずいた。
このあと不安そうな顔つきの私に対して笑顔でそして優しい声で励ましながらこれからの検査予定を詳しく説明してくれる。

「まず、これから2Fに行って検尿をして下さい。そして、その奥の検査室で心電図と肺活量を調べて下さい。最後に中央処置室で採血をして、受付で精算をしたらもう帰られてもいいですよ。」
(実は検査内容をあまりよく覚えていないので何か抜けているかもしれないけれど、覚えている範囲で書きました)

ひゃ~、なんと色んな検査があるのでしょうね。説明書付なのでこの用紙の順番通りにすればいいのねっ!と自分では納得。
早速検査へGO!全て終了したはずだった。会計へ出して精算をお願いする。
しかし、持ち合わせのお金がなかったのでお金を下ろそうと思ったらATMがすでに終了。
そうです、5時になればここのATMは閉まってしまうのです。
仕方ないので受付嬢に外のATMで下ろしてくることを告げて外へ出る。
さあ、支払いをしたら一旦会社へ戻って仕事をしよう~、それともこのまま帰っちゃおうかなぁ~!なんで考えて受付へ戻ると、

「**さん、採血をしていませんね。そこの中央処置室でやってきて下さい。」

ぎょへぇ~、自分でも用紙を見ながら確認したはずだったのに、やっぱなんだかんだといいながら頭の中は結構真っ白け状態になっていたのね。可笑しくって、心の中で笑っていた。

病院から出て、姉にだけは乳癌の疑いがあることを電話で伝えておこうと思い、会社へ電話をする。これまた、話した内容は余り覚えていませ~ん。
会社へ戻ると皆が心配そうな顔で私を迎えてくれた。

「大丈夫?命に別状はないんでしょう?」

「うん、多分大丈夫!」

と強気の発言。乳癌だなんで絶対に言えない。しかし4人の社員のうち、2名が帰ったあと、しばらくして私はつい弱音を吐いてしまった。

「どうしよう、私もしかしたら死ぬかもしれない。」涙が出る一歩手前の悲壮な顔である。

「大丈夫よ、**さんなら。気持ちの持ちようでどうにでもなるから頑張って!前向きに考えればいい方向に向かうから!」

ありがとう、もう私は会社では絶対に弱音は吐かないからね。でも少しわがままにならせてもらうかも…。病名は絶対に言えないけどご了承くださいませ。

さあ、自宅に帰ってからが大変。涙が目尻からジワジワと流れてくる。
でも今は泣いている場合ではない。自分の病気がどんなものであるか頂いたパンフレットで知る必要がある。その中で私は治療法を選択しなくてはならないのだ。
気を取り直してパンフレットを読んでいたら、9:00過ぎにさんご(仮名)から電話が掛かってきた。

何とグッタイミングの電話なのでしょう。
今宵も飲み会があって結構ご機嫌らしく声が明るい。
けれど私にはこれから伝えておかなければいけないことがあった。

「サンゴ(仮名)に夏頃右乳房のしこりのことを指摘されていたよねぇ。今日病院へ言ったらやっぱり癌の疑いがあるって。もう少し早く病院へ行けばよかったね。」

サンゴ(仮名)の声質が一変に変わった。お酒を飲んでいい気分になったので、久しぶりに愛する私の声が聞きたくって電話をしてきたのに話の内容はとっても暗い話。しばらくは声を失っていたし声が上ずっていた。
もう過去のことを言っても後の祭りである。
これから私は未来の事を考えなければいけないのにね。この後サンゴ(仮名)から色々と励ましのお言葉を頂きました。
ありがとう、これからもっともっとお世話になります。

しかし、パンフレットの内容はとても難しい。
多分学会用のパンフレットを私たち乳癌患者のために提供して下さっているのだけど、読み終わるまでに2時間近くかかってしまった。
“これから化学療法をうけられる方へ”と言うパンフレットはまた後日読ませて頂きます。
素人には一度では理解できないので暇を見つけてはまた読み返そう。

この日遅い夜ご飯をとった時間はすでに11時を回っていた。
シャワーを浴びて布団に入った。やはり、独居のためこの辛さをどこにもぶっつけようがない。私は布団の中でまたポロポロと涙した。



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