コソコソコソコソ
風呂に入るのも...
下着を替えるのも...
コソコソコソコソ
モこ助による名誉の負傷
左胸の傷は
絶対妻には見せられない
新婚時代
妻が
爺にお茶を入れてくれる
そうだょ~ね
そんな時代もあったっけ
そんなある日
熱いお茶をテーブルの上に
妻が立ち去るとき
なぜか
彼女の足が
テーブルの角に当たり
コップがひっくり返った
こぼれた熱い湯が
爺のひざへ滴り落ちる
熱さでもだえる爺
妻も狼狽
「大丈夫?」「大丈夫?」
差し出す布巾で急いでふき
ふと妻の顔を見て驚いた
顔がゆがんでる
申し訳なさそうな顔?
いやいや違う
どう見ても笑いをこらえてる顔
「笑ってるのと違う?」
そう問う爺
こらえてた堰が切れたように
クックックックックック
腹の底から笑いころげた
それから十数年
何度その姿を見たことか
決してあの顔は見たくない
そう思う一方
あの妻のうれしそうな顔
妻の喜びは爺の喜び
そう思う心が
見せちゃえ見せちゃえ
そして痛がっちゃえ
そうささやくのです
