老人施設でお食事を提供していると、たまに怖くなる時があります。
「この食事(私が献立を立て、私が作った料理)が人生最期の食事になる方がいるかもしれない」
実際、そうなられた方が何人かいらっしゃいます。
なので、一食一食が勝負。
その方の長い食生活の最期をいい加減なもので終わらせるわけにはいきません。
できることなら、献立に旬のものを沢山取り入れ、お好きなものをお好きなだけ食べさせてあげたい...
けれど、金銭的なこと、食中毒のこと、作業のことなど考えると、そうそう上手くはいきません。
刺身や貝など、食中毒を招きやすい食材は、会社の方針で、ほとんど献立にはあがりません。
入所者の中でお元気な方は、ご自分で近所のスーパーに行き、刺身などを購入されているかもしれませんが、家族の差し入れでもない限り、口にされることはありません。
また、お好み焼きやラーメンといった私達が日常よく食べる料理も、作業手順・出来上がりの満足度を考えると(ラーメンなどは配膳している間に伸びてしまう)、迂闊に献立にはあげれません。
以前(私が勤める前)焼きソバをお出ししたら、非常にまずかったようで、“焼きソバ禁止令”が出されていました。
恐らくゆで麺を使ったのでしょうね、べチャべチャしていたそうです。
『刺身や豪華な料理は無理だけど、焼きソバぐらいならどうにかなるんじゃないの?』
禁止令が出てから3年...あえて、このたび焼きソバにチャレンジしてみました。
(実は何気にチャレンジャーな私。色んな新メニューにトライしてます
)
ソバはあらかじめ味付けされた冷凍焼きソバを利用。
炒めてソースに絡めた野菜や肉を足し、熱々にしたソバの中に混ぜただけ。
作業も凄く楽だったし、何より美味しい!!!
検食簿には「皆さんおいしいと完食されました」と記入されました
。
いやぁ~本当に嬉しかった
たかが焼きソバですが、数年ぶりの焼きソバだった方が多かったはず。
このままだったら(私がしなければ)一生食べれなかったかも...そう思うと、焼きソバ一つで感慨深いものがあります。
難しいと思われる料理も、素材選びや工夫で何とかなるものだなぁ~と実感しました。
これからも、おじいちゃん・おばあちゃんのため、そして自分の経験アップのため、どんどん新メニューに挑戦していきたいと思います。