新年早々、僕としてはとても嬉しいことがありました。日本プロ野球を愛する人間として、とてもスッキリした気持ちになれる新聞記事です。
それは後ほどご紹介するとして。
さて、今現在プロ野球ファンにとってモヤモヤとした気持ちにさせられる話題として日本人選手のメジャー流出問題があります。
年を明けてもいまだ解決していないのが、僕も応援する阪神タイガース・井川慶投手のメジャー移籍熱望問題。
ご存知の通り、フリー・エージェント資格を持たない井川投手が移籍する手段としては、ポスティングシステムによる移籍しかありません。
この制度は球団が認めてこそ選択可能なわけで、それを認めないタイガース球団との間でファンをも巻き込んだ騒動になっております。
井川慶投手のオフィシャルサイトに記された12月29日付の日記を引用いたします。
メジャーリーグで投げることは自分の長年の夢です。その夢をあきらめてしまうことはできないですし、あと5年待つというのは、とても苦しくつらいことです。25歳になった自分が、チャレンジできる時はまさに今だと自覚しています。一人の選手としてのこの切実な思いも、わかっていただけたらと思っています。
日本球界でプレーすることを「とても苦しくつらいこと」とまで公の場で言い切ってしまう井川投手の自覚のなさに失望してしまいました。
また、「一人の選手としてのこの切実な思いも、わかっていただけたらと思っています」という発言に、甘えを感じずにはいられません。
もちろんメジャーへの純粋な夢を持つ事そのものは決して悪いことではありません。
捨てろとも思いません。
だけど、もっとお世話になった球団・応援してくれるファンの気持ちを考えてうまく立ち回って欲しい。
あなたが手にしている高額の年俸には、その分の責任が含まれていることを決して忘れないで欲しい。
井川問題は、残念ながら結果がどうなろうと大きなわだかまりを残すこととなってしまいました。
【僕が書いた参考記事】
■
「メジャーを志す選手に文句が言いたい。」(04.12.27)
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「プロ野球を愛する者として、井川慶投手に真っ向から対立する。」(05.1.4)
(以上、「虎式カネシゲタカシ」より)
さて、現在のメジャー礼賛主義のようなものに僕は常日頃より疑問を感じています。
たしかにパワーや投手の球速に関しては、未来永劫勝てないでしょう。
しかし、野球が単なるホームラン競争ではないという事実は2004年の読売ジャイアンツが証明してくれたことでも明らか。
また、たとえ150キロを超えるスピードボールでさえも、コースに決まらなければ簡単に弾き返されるのが現代野球。
これはアメリカはもちろん、レベルが向上した日本でも同じ事です。
ソースは忘れましたが、去年の春にNYヤンキースが来日して阪神・巨人とオープン戦を戦ったとき、とても興味をもって本国アメリカに報道されたのが「阪神スタイルの応援」だったそうです。
しばしばメジャーと比べて「やかましいだけ」と批判されがちな日本流の応援も、実はアメリカ人から見れば新鮮で「ちょっとうらやましい」応援方法なのかもしれません。
さてここで、僕のそんな気持ちを代弁してくださる記事を1つご紹介。
なみ選手の「長くても100年程度の生活」の
「メジャーに行きたい選手へ、ワガママ言わせて。」と題された記事です。
それらは単なる「違い」なんじゃないのかなぁ。
「レベルの差」と言っていいものなのかしら?
少なくとも、日本の野球のレベルをメジャーと比べて必要以上に卑下することはないように感じます。
なみ選手はマリナーズの長谷川投手を引き合いに出し、「適応力」というキーワードで鋭く考察してくださってます。
是非みなさまも、ご一読ください。
そうなんですよ。
単なる「違い」なんですよ。
メジャーの方が間違いなく優れている面も多々あれど、日本プロ野球の方が間違いなく優れている面だって多々あるはずなんですよ。
無理に例えるならば「ラーメン屋のラーメン」と「インスタントラーメン」の違いのようなものでしょうか。
「ラーメン屋のラーメン」と「インスタントラーメン」は、同じラーメンですが、違います。
どちらのレベルが上かと言われれば、「ラーメン屋のラーメン」と答える人がきっと多いことでしょう。
しかしよく考えてください。
実はインスタントラーメンの方が優れている部分だって数多くありませんか?
安くて身近で種類も豊富。
最近ではヘタな中華屋のラーメンよりも、おいしくて栄養価の高いインスタントラーメンも登場しています。
我々ファン(客)は、「ラーメン屋のラーメン」も、「インスタントラーメン」も、実はどちらも同じぐらいに愛しています。
たしかにアスリート(料理人)が一流のラーメン屋にあこがれるのは自然なことかもしれませんが、インスタントラーメンの開発研究者だって、同じぐらいの意地とプライドを持って仕事にとりくんでいるはず。
その甲斐あってか、今では日本のインスタントラーメンのスタイルは世界中で愛されています。
決して「中華屋のラーメン」と「レベル」で比べて卑下する必要はないのです。
単なる「違い」でしかないのですから。
さて、変な例えを持ち出してしまいましたが…。
実はここまでの記事内容は、年明け一回目の当ブログの記事としてご紹介しようと思っていたものです。
(ラーメンうんぬんの例えは、今考えましたが)
なぜ公開せずにボツにしたかというと、新年の晴れがましい門出にしては、やや暗い内容になってしまいそうだったから。
そしてなにより、日本に取り残されるファンが、ただ負け惜しみ言ってるだけのように聞こえそうだったので。
ここまで述べた内容は、我々ファンやプロ野球OBや二流選手が語ったところで、悲しいかな説得力に欠けるんです。
「そんなこと言って、メジャーへ行けなかった選手の嫉妬だろう」と思われる可能性があるんです。
日本プロ野球で今現在活躍する、超一流選手の口から語ってもらわないと意味がないんです。
少なくとも僕は、それをずっとずっと待っていた。
「誰か言ってくれ!」
「頼むから誰か!」
そのあえぐような気持ちは日々僕の中で強くなっていました。
そこに…。
■憲伸 頂点日本で極めたい!!
お正月ということもあり、充実しないスポーツ各誌の記事をなんとなく巡回していたときに見つけたトーチュウのこの記事。
川上憲伸。
言わずと知れた、中日ドラゴンズの大黒柱。日本を代表するエース・ピッチャーです。
昨年は17勝を挙げて5年ぶりのリーグ制覇に貢献し、最多勝、沢村賞、MVPと主要タイトルを独占した超一流の現役アスリート。
僕は、この記事を待っていた!
僕は、この言葉を待っていた!
トーチュウは比較的早くリンク切れを起こしてしまうので、少々長い引用になってしまいますが、以下に重要部分を抜粋してご紹介いたします。(太字部分は、僕によります)
-最多勝、沢村賞、MVP…。昨年は主要なタイトルのほとんどすべてを獲得した。ちなみに本人としてはどのタイトルが一番、気に入ってる?
純粋に投手として考えるなら沢村賞かな。12球団で1人の投手だけだし、選ばれない年もある。沢村賞にはそれだけの重みがある。でも、プロ野球選手として考えるなら、やはりMVP。こればかりは優勝しないと取れませんから。一選手として最高の勲章と考えていいと思う。
-優勝したからこそ手にできるタイトル。今年もぜひ取りたい?
そうですね。でも、タイトルを取ることよりも個人的には素直に優勝に貢献できればいいな、と思っています。MVPとか最多勝とかではなく、単純に優勝が決まったときに自分で「貢献できたなぁ」と思える一年でありたいですね。
-数字にはあまりこだわらない?
あえて言うなら防御率。最多勝は打線の援護とかで変わってくる部分もあるけど、防御率はその投手個人の一年の証拠だから。それにもし防御率で1位になれたら、ほぼ全タイトルを獲得したことになりますからね。
-全タイトル独占! でも、そうなったら日本でやり残したことはない、とメジャーに行っちゃう可能性もあるんじゃない? ファンも気にしてると思うけど、現時点でのメジャー志向は?
うーん…。どう言えばいいのかな。メジャーは確かにすごい世界なんだろうとは思います。周囲の人が「メジャーが世界最高峰」と考えているのであれば、多くの野球選手が「やってみたい」と思うのはいいことだと思う。
ただ、僕自身は決してメジャーが世界1だとは思ってないんですよ。
-と言うと?
日本だって決して負けていないと思うんです。いや、むしろ日本の方が勝っている部分はある。日米野球だって、日本が真剣に勝つことだけを考えた野球をすれば、絶対に勝ちますよ。足技、クイック、けん制…。メジャーが嫌がる野球を日本はできるけど、日本が嫌がる野球はメジャーにはできない。
-日本には日本のスタイルがある。
だから僕の中では日本とメジャーはトントンなんです。どっちが優れている、とかではなく。そう考えた時、僕はメジャーにすぐ行こうとする最近の風潮には疑問を持ってます。僕はむしろ、日本でとことんやりたい。投手として日本で極めたいんです。どの時点で「極めた」と思えるのか分かりませんが、メジャー行きとかを考えるのはそれから。変な言い方かもしれませんが、「メジャーに行く」というのが、僕には(日本野球からの)逃げに思えるんですよ。僕は逃げたくない。
僕は、これらの強い言葉にものすごく感動しました。
そして、川上憲伸にものすごく感謝しました。
彼は日本を代表する投手の立場で、自らが活躍する日本のプロ野球に誇りを持ち、日本野球を卑下する風潮にはっきりと異議をとなえ、日本野球を極める姿勢をみせてくれました。
我々ファンにとって、こんなに心強いことはありません。
スター選手を次々と失い、今年もまた井川慶の言葉で自信を失いかけた日本のプロ野球ファン。
その沈んだ気持ちを鼓舞するように、力強く響き渡る日本のエース・川上憲伸の言葉。
僕は、信じてみようと思います。
仮に近い将来に川上憲伸がメジャー行きを表明したとしても、僕は決して今の感動と感謝の気持ちを忘れません。
むしろ「応援したい」という気持ちさえ芽生えると思います。
「憲伸よ。日本球界で鍛えたその力、メジャーの奴らに見せつけてやれ!」と。
大事なのは、いま川上憲伸が強い言葉で日本プロ野球の「強さ」を語ってくれたという事実。
おおげさに言えば、いま沈みかけた日本プロ野球界を、強い言葉で守ってくれたという事実。
ありがとう川上憲伸。
心より感謝します。