スポーツに絡む民事責任は,スポーツ自体に危険が伴っているだけに,とても難しい。もちろん,刑事責任の有無の線引きも難しく,場合によっては,極限状態における判断の是非を問われるが,民事では,これに,損害の公平な分担という判断要素が加わって,一層難しくなる。
場合によっては,刑事無罪・民事有罪の部分が,相当に大きくなることも考えられるだろう。
判断要素は何か?。
早稲田の浦川教授は,片山氏と随行者の上下関係を指摘しているようだが,これは,富士山での冬山訓練を行ったこと自体が違法という判断が前提となる。しかし,南極での登山の訓練ということであれば,それ自体を違法というのは難しいのではないだろうか。
片山氏の天候把握や,登山能力も重要だというが,これは,片山氏が,一方的に指示を出し,他の2人が,常に服従する関係にあることが前提であろう。しかし,3人の登山隊で,3人が協力して困難に挑む形の登山では,必ずしも,そのような前提をとることはできないだろう。
結局民事訴訟になった場合には,3人の人間関係がどのようなものであり,誰が(リーダー一人の場合もあろうし,合議制の場合もあろう),どのような情報に基づいて,どういう判断をしたかという,具体的な事実関係によって,それぞれの責任が決まることになろう。
また,テントが吹き飛ばされたところまでは,誰にも責任がなく,テントが吹き飛ばされて2人が滑落したあとの,究極の場面で,あと2人が危険な状態に陥った時に,いつ,どの状態で,救助を求めに下山するか,あと2人を助けてその場に止まるか,という判断が問題とされることもあるだろう。
これは軽々に言える話ではない。
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