公訴時効の延長・廃止について,6つものモデルが提示されたとのこと。なんとまぁ,いろんな考えがあるものだ。
どうも,世間一般では,公訴時効の廃止の考えが強いようだが,これは,捜査機関に過度の負担を負わせるということで,捜査機関の側の抵抗が強いし,人間の寿命に限りがある以上は,どこかに線引きをしなければならないものだろう。確かに,犯罪に対する被害感情は,子孫代々伝えられていくという場合もあるだろうが,被害感情を主たる理由として,公訴時効を廃止するというのは,いかにも理由が弱いという感じがする。
50年というのは,一つの落ち着きどころかとも思える。
廃止と延長の組み合わせ案もあろうが,どうも重罪ならば,何でも廃止というのは,いまいちと思える。
DNAで特定して起訴というのは,なるほどと思わせるものがあるが,被告人が現実に不在のままで起訴するというのは,被疑者には弁解の機会を与えた上で,起訴するか不起訴にするかを決めるという,現行の刑事訴訟法の手続保障の考え方を基礎から改める必要があるように思える。
検察官の請求で,裁判官が決めるというのは,面白い考え方だが,現実問題として,裁判官に,そこまでの判断能力があると言えるのかどうか。現在の令状制度は,捜査段階では,捜査のイニシアティブは捜査機関に与えて,裁判官は,一歩下がった立場で,強制処分の適否を判断する立場にある。それに比べれば,確かに,時効延長の裁判は,捜査機関のイニシアティブは建てているものの,裁判官が,捜査に大きく介入することになるようにも思える。
何とも考え方の難しいところだ。
まぁ,パブリックコメントを募集するとのことなので,どのような意見が出されるか,興味を引かれるところではある。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます