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コンピュータリースは大変

2010-05-11 00:51:38 | 指定なし

 今回は,コンピュータソフトのリースについて,裁判に訴えるという話になったようだが,コンピュータリースのトラブルは,今に始まったことではない。


 


 古くは昭和の時代から,コンピュータリースは,しばしばトラブルになっており,いくつかの裁判例も残されている。


 


 当時は,パソコンはまだ実用的ではなく,もっぱらミニコンとかオフコンといわれているコンピュータに,会計ソフトを乗せることが対象であったが,こういうコンピュータは,独自OSの上に,COBOL等の開発言語が乗っているというもので,ソフト開発も,今のように,汎用の会計ソフトをカスタマイズして済ませるというわけにはいかず,一から開発する必要があった。


 


 だから,しばしば開発が遅れ,頓挫し,バグが多発するという事態が生じていた。


 


 ここで,リース会社が,圧倒的な力を発揮するのだが,リース会社は,表面的には,賃貸借であるにもかかわらず,これは金融だ,だから,リース物件の瑕疵については,リース会社は責任を負わない,ソフトができようができまいが,あるいはバグがあろうがなかろうが,リース料はちゃんと払ってちょうだい,という主張を展開し,まあ,そこそこ勝訴している。


 


 極めつけが,平成5年11月25日の最高裁判決で,この判決は,いわゆるファイナンスリースは金融であると明言し,リース物件の使用と,リース料の支払は対価関係に立たないと宣言した。そして,リース物件が使用できなかったことが,リース業社の責任でない場合には,リース物件が使用できなかったからといって,リース料の支払を免れない,という結論を出している。


 


 この判決は,当時から今に至るリース会社の主張をそのまま取り入れたもので,これじゃ,ユーザーはやってられない,というのが正直なところでもあり,野放しだったリース契約に,法的規制をかけようという動きを作り出すことともなった。


 


 リース契約に対する規制は,今の債権法の改正の中に盛り込まれるという話もあるが,自然発生的に,圧倒的な力の差があるリース会社とユーザーの間で形作られてきた契約形式だけに,下手な規制をして,リースの需要に応えられないという結果を招いてもつまらないし,今までの実務を是認して,リース会社を圧倒的優位に置いたままにすることも,法的規制の意味がないことになる。


 


 なかなか難しい問題ではあるが,私としては,リース会社において,わざわざ賃貸借という契約形式を採用したのだから,それに伴う不利益は,リース会社が負うべきもので,リース会社が,自分に都合のよい時は,ファイナンスリースは金融だといい,別の面では,これは賃貸借だという,そういう二枚舌を認めるべきではないと思うのだが,どんなものだろうか。


 



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