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法律関係士業の連携

2010-05-08 03:05:48 | 指定なし

 法律関係士業は,法律事務全般を扱える弁護士を頂点に,それぞれの専門分野に特化した士業が,それぞれ縄張りを構えているという格好になっている。


 


 この中で,弁護士は,すべての法律問題を扱えるというものの(かつて,司法書士が,登記申請は司法書士の専権だとして訴えを起こしたが,会えなく敗訴している。),各個別の法分野については,弁護士といえども知識が深いわけではない。許認可や各種申請といった行政手続については,当然に,専門士業の方が強いことになる。


 


 だから,弁護士は,登記とか行政手続については,専門士業を紹介して,そちらに委ねることが多い。


 


 その限りでは,弁護士と,専門士業とは両立している。


 


 しかし,最近の傾向として,専門士業が,自らのテリトリーを越えて,一般法律問題の相談に乗り出していこうとする傾向がある。


 


 例えば,行政書士は,権利義務又は事実証明に関する文書の作成について法律上の権限を有しているが,これに引っかけて,文書作成のためには,その前提となる法律関係についての相談を受けざるを得ないなどといいつつ(文書作成に係る相談に有償で応じることは行政書士の権限として規定されている。),事実上は,一般的な法律相談に応じていることがあるようである。


 


 まあ,文書の作成に引っかけられると,そのような行政書士の行為を,直ちに弁護士法に違反する非弁行為だと言い切れないところに問題があって,ここにせめぎ合いが生じている。


 


 ただ,重要なことは,行政書士と弁護士で何が違うかということである。行政書士と弁護士の大きな違いは,行政書士は,いわば知識だけで資格を得ているが,弁護士は,法的思考能力であるとか,法律家としての良心,リーガルマインドといったものを必然的に身につけている。ここに,一般法律相談に応じる時の姿勢の違いが現れてくる。


 


 弁護士は,自分の依頼者の利益のために行動するが,その利益は,目先の利益ではなく,全体を見渡した時に,何が依頼者の一番の利益になるかまで見通して,物事を考える。弁護士が高い金をとれる大きな理由がここにある。


 


 しかし,そのような弁護士の意見は,ときに,依頼者からすると不満の対象になる。最近のように権利意識が高まり,依頼者もそれなりに法律知識を学習してから,相談に来るというような場合には,そりゃそういう考えも可能だけれども,将来のことまで考えると,いいやり方ではない,という説得をするのは,なかなか困難である。しかし,それをやらなければならないのが,弁護士の職責でもある。


 


 その点で,専門士業に,その専門外の法律相談まで持ちかけた方が,依頼者の満足度が,目先は高いといえなくもないのである。


 


 なかなか難しい問題であるが,専門士業の方からも,法律相談というのは,単に法律を適用した結果を言えば足りるというものではないということ,法律の先には,相手方も含めた生身の人間がいるわけで,その存在まで考えた解決策を考える必要があり,それに長けた専門職は,弁護士を措いて他にはないということを理解して,そこに線引きをして棲み分けを考えてもらわなければならないのである。


 



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