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つれづれなるまま(小浜正子ブログ)

カリフォルニアから東京に戻り、「カリフォルニアへたれ日記」を改称しました。

脱原発、そして。

2011-10-15 15:04:03 | 日記
大震災と原発事故の年に、国外でサバティカルを過ごして半年。
ターニングポイントの時に、距離を置いて、考える時間を持てたという意味ではラッキーだったというべきか。
中国に経済規模で追い抜かれ、頼りにしてきたアメリカが破産しそうになっていた時に、地震と原発事故が起こってさんざんな目に遭い、日本社会はいやおうでも今後のあり方を考えざるを得なくなった。いや、地震と原発事故への対応の中で様々な問題があぶり出されて、ここをターニングポイントとするしかないということが明らかになったように思われる。
私も3・11以降のさまざまな動きを見ている中で、日本社会の問題点が、かなり整理できた。
問題は、主として二つ。もちろん両者は密接に関係している。
ひとつは、原子力発電をめぐって東京電力・(経産省を中心とした)役人・政治家・マスコミ(そして御用学者!)が癒着した構造。
もうひとつは、対米従属およびそれと連動した反中国世論を継続させようという(外務省を中心とした)役人・一部(よりは多いかもしれないが)政治家・マスコミの「現状維持」の既得権益の構造。
前者については、原発事故以来、多くの人の目に明らかになってきたが、しかし既得権益の構造はそう簡単にはくずれない。明確に脱原発の管総理を執拗なまでの人格攻撃で引きずり降ろしたのは、この勢力だ(彼はたしかに多々問題あったと思うが、あそこまでひどい個人攻撃を受けたのは、脱原発のためだろう)。
後者は、政治的経済的な課題としては前者より重大かもしれないが、まだ多数の人に認識されていないようだ。3・11以前から継続している問題で、目下の焦点は、沖縄の普天間基地移転とTPP参加の是非だ。
両者に共通しているのは、フジサンケイグループを筆頭とするマスコミが大きな役割を果たしていることで、そうしたマスコミの偏向ぶりは、とりわけ21世紀に入ってひどくなった。考えてみれば、90年代の東海村の原発事故の時はリアルタイムで報道があったが、最近も起こっていたらしい同様ないくつかの事故は報道すらされなかった。近年では反原発だと、マスコミで生きていけなくなるらしい(タレントの山本太郎は3・11後、脱原発を言明したら「事務所に迷惑をかけるので」フリーにならざるを得なかったとか)。3・11後のマスコミ各社は、社によって温度差があるが、原発推進派と脱原発派の主戦場ではないかという感じだ。NHKでは一部報道陣ががんばって原発事故の現状などの報道番組をつくっているが、まだまだ大勢は既得権益派なのではないだろうか。明確に脱原発の東京新聞は、財界からの広告をシャットアウトされて大変だという。
そして、マスコミがそれくらい「空気」に支配されていることがわかれば、近年の執拗な反中意識の煽り立ても理解できるというものだ。2005年の反日デモの報道しかり、昨年の尖閣列島で体当たりしてきた中国漁船をめぐる報道しかり。(もっともこちらの方は、いまやアメリカ以上のお得意さんとなった中国市場との関係を考えて、経済界がある程度の所でセーブするようだが。)いずれにしろ情報源のマスコミがこれでは、私たちは限りなく洗脳されてしまう。ネットなどで独自情報の入手に努めるしかない。
さて、いまさらながら私も自分の立場を明らかにしておこう。
第一点に関して。原子力発電は可及的速やかに廃止すべきである。具体的にどのペースで進めるかは、原発立地の地方の人々の意向が第一に尊重されるべきだろう。人が生きる原点を脅かさないことは、経済効率より優先されなくてはならない。
第二点に関して。日本の国是は、日米同盟・日中友好である(表向きは今でもそうだ)。アメリカとは、現在の隷属関係ではなく、良好な「同盟」関係をめざす。普天間基地は、グァムに移転が望ましい(アメリカ国内でもその意見がかなり強いので不可能ではないようだ)。在日米軍のための「思いやり予算」は、徐々に縮小してゆくべき。TPP参加は、米国追従を強めるだけなので、見送った方がよい。中国とは、領土問題は棚上げに戻し、経済的な紐帯を強化すると共に、信頼関係の構築に努めるべき。
この間、twitterやブログで、しっかりと自分の意見を有用な情報とともに発信し続けている何人かを知ったので、紹介しておこう(ネタばれだけど)。
池田香代子さんのブログ(翻訳家。この人の思考力はすごい!)http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/
河野太郎代議士のブログ(彼は自民党の中では珍しい3・11以前からの脱原発派)http://www.taro.org/gomame/
Twitterでは、
孫崎亨さん(元外交官)https://twitter.com/#!/magosaki_ukeru
宮台真二さん(今まであまり好きでなかった社会学者なのだけれど、この間の率直・真摯な発言には敬服)https://twitter.com/#!/miyadai
池田香代子さんはTwitterでも発信し続けているhttps://twitter.com/#!/ikeda_kayoko
以上、とりあえず。