つれづれなるまま(小浜正子ブログ)

カリフォルニアから東京に戻り、「カリフォルニアへたれ日記」を改称しました。

<東アジア:持続力ある対話へ>国際学術会議

2013-10-02 11:15:53 | 日記
先週末、日本大学文理学部が交流関係のある韓国・ソウルの高麗大学校文科大学と「東アジア:持続力ある対話へ」シンポジウムを開き、私も報告した。勤務先の職務の一環として参加した学術会議だったが、予想以上に興味深い内容で、実のある交流が出来たと思う。日韓関係が緊張しているが、文学・文化研究の最前線では、日韓の文化の複雑な襞[ヒダ]に分け入った深い理解にもとづいた広い視野の研究が進んでいることがわかる報告が続いた。また、双方の中国研究者による報告も私のものを含めて2ペア4報告あった。相方の朴尚洙先生は、拙著を読んでいただいていてかみ合うような中国近代の国家-社会関係についての議論を展開してくださった。これからも議論を続けたいと思わせる真摯で興味深い報告の続いた充実した一日で、シンポジウムのタイトル「東アジア:持続力ある対話へ」の重要な一歩となる会議だったといえる。こういう場合、よくあることだが、日本側の同僚の研究内容に初めて触れて啓発されたものも少なくない。
それにしてもこの夏は、誘われたり頼まれたりするままに英語・中国語・日本語で4回の学会報告をすることになった。それぞれに収穫の多い学会だったが、やや私の能力を超えており、いささか疲れた。すでに後期の授業も始まっているのに、持ち越している仕事もあるし。。。
シンポジウムのプログラムは下の通り。
<高麗大学校文科大学と日本大学文理学部の国際学術会議>「東アジア:持続力ある対話へ」
日 時:9月28日(土)10時~18時
会 場:文理学部百周年記念館2階「会議室2」
・開会の辞 加藤直人(Naoto KATO、史学科、学部長)
報告1.朴吉聲(PARK Gil Sung、社会学科、前文科大学学長)
  「Manufacturing Creativity」
報告2.久保田裕之(Hiroyuki KUBOTA、社会学科、家族社会学・福祉社会学)
  「家族の変化と居住レジーム―日本のシェアハウスの事例から」
報告3.張東天(ZANG Dong Chion、中語中文学科、中国学研究所長)
  「満洲鉄道付属地の混淆文化」
報告4.松重充浩(Mitsuhiro MATSUSIGE、史学科、中国近代史)
  「日本の関東州統治と中国人顧問―劉心田を事例として」
      昼食休憩
報告5.李亨大(LEE Hyung Dae、国語国文学科、研究副学長)
  「辭説時調の喜劇性」
報告6.佐藤至子(Yukiko SATO、国文学科、近世日本文学)
  「合巻研究の現在」
報告7.鄭炳浩(JUNG Byeong Ho、日語日文学科、教務副学長)
  「朝鮮半島の植民地期における日本語文学と日本文学史」
報告8.高榮蘭(KO Youngran、国文学科、近代日本文学)
  「文学空間の住民とは誰か―2013・日本(語)の近現代文学から」
      休憩
報告9.金子明雄(Akio KANEKO、国文学科、近代日本文学)
  「近代日本文学研究におけるグローバル化とは何か」
報告10.朴尚洙(PARK Sang Soo、史学科、中国近代史)
  「国家─社会関係を通してみた近現代中国国家権力の変遷」
報告11.小浜正子(Masako KOHAMA、中国語中国文化学科、中国近現代史・ジェンダー史)
  「中国農村における計画出産の展開―二つの農村に見る政策の浸透過程」
総合討論 座長・紅野謙介(Kensuke KONO、国文学科、学部次長)
閉会の辞 土屋好古(Yoshifuru TSUCHIYA、史学科、国際交流委員長)