つれづれなるまま(小浜正子ブログ)

カリフォルニアから東京に戻り、「カリフォルニアへたれ日記」を改称しました。

ゼミの新歓コンパ

2014-06-02 02:42:41 | 日記


 今年度初のゼミコンパをしました。今年は3年生が女子2人男子5人、4年は逆で女子5人男子2人です。
 まず神保町で集合し、中国書籍専門店をはじめとする本屋を探索。東方書店では、学生さんに広報誌などを配ってサービスしているようで(居合わせた東京女子大の先生に連れられてきている学生ももらってました)、みな『東方』などをもらって満足げ(ちょうど400号記念の「今だから読んでほしい一冊」の特集が出てました。私も『黄土の村の性暴力-大娘(ダーニャン)たちの戦争は終わらない』の推薦文を書いています)。
 それから、近くの中華料理屋でコンパでした。はじめて紹興酒を飲んだ学生もいましたが、最初ではあまり味がわからなかったか。でもしっかり食べて、飲んで、いろいろ話して満足でした。

中国風信⑨中国の日本動漫-マンガとアニメ(『紛体技術』2014年6月号より転載)

2014-06-02 02:39:20 | 日記
 周知のように、2010年に尖閣問題が緊張して以来、日中関係は急速に悪化した。中国では反日感情が高まって日本語を学ぶ人も減っているのかと思いきや、じつは必ずしもそうではない。国際交流基金が3年ごとに行っている国外の日本語学習者の調査によると、2009年に最も日本語学習者が多かったのは韓国で96万4千人余、中国は82万7千人余で第二位だったが、2012年には104万4千人余に増加して第一位となった。(韓国は84万人余に減少して第三位に。第二位はインドネシア)日本語学習の動機としては、日本語そのものへの興味や、日本語でのコミュニケーションを目指す以外に、マンガ・アニメ・J-POPなどへの興味が、歴史・文学などへの興味を上回っている。
 中国ではマンガとアニメを合わせて「動漫(トンマン)」と呼ぶ。中国が改革開放に向かい、日中の交流が始まりだした1980年代、日本のマンガやアニメも中国に入りだした。嚆矢となったのは、1981年に放映された「鉄腕アトム」で、感情豊かなロボットが人間と交流して繰り広げる科学と夢のファンタジーは、中国の子供たちを魅了して爆発的な人気をえた。つづいて「一休さん」や「ドラえもん」などが中国上陸する。テレビの普及しだした当時の中国では、放映すべきコンテンツが圧倒的に不足していたので、放送されたアニメの大半は日本のものだった。90年代には、男の子はバスケ漫画「スラムダンク」に、女の子は「美少女戦士セイラームーン」に夢中になり、放送の翌日の教室の話題をさらった。日本のマンガ・アニメの水準の高さは世界に認められているが、高い技術に裏打ちされた美しい画面とともに、豊かで微妙な感情描写やバラエティに富んだストーリーは、「人民に奉仕する」型どおりの優等生の話だけに飽き足らなかった中国の子供たちに支持されたのだ。
 遠藤誉氏は、欧米と違って日本の会社は海賊版を厳しく取り締まらなかったので、子供たちがお小遣いで買えるような安価な海賊版が出回り、それが結果的に日本動漫のブームを巻き起こしたという(遠藤誉『中国動漫新人類-日本のアニメと漫画が中国を動かす』日経BP社、2008年)。
 吹き替えなしの海賊版のアニメがDVDやネットで出回り、それで育った若者が日本や日本語に興味をもって、学習者が増えているのだ。中国政府は2006年から、夕方のゴールデンタイムには国産の番組しか放映できないという規則を作ったが、すでに日本動漫は完全に定着しており、今でも人気アニメのランキング上位の半分は日本製が占めている。
 たしかに私の周囲の中国の若者には、日本のアニメが大好きな人が少なくない。上海の名門大学を卒業後、日本でシステムエンジニアとして働いていたY君は、上海へ帰ったら、コスプレ(アニメのキャラクターに扮装すること)を広める事業をしたい、と熱心に語ったが、彼らにとってはアニメに熱中することは恥ずべきことではないのだ。また、やはり上海の名門大学を卒業したMさんは、留学して都市計画分野の修士課程を修了し、そのまま日本で働く才媛だが、じつは彼女が留学してきた最大の理由は、マンガなのだ。きけば自分でマンガを描いてコミケ(コミックマーケット)に出品するほどのディープなアニメおタクなのだという。文革世代の親には内緒なので黙っていて、というのにうなずきながら、「80后」(80年代生まれ)の彼女の感性は、もはや日本の若者とずいぶん近いのだとあらためて感じた。
 もっと若い子供たちは、日本の「動漫」のキャラクターグッズに夢中だ。先日、学会に招聘した30代の新進研究者のMさんは、終了後、小学生の娘さんからお土産に日本でも人気のアニメ「ワンピース」(中国語では「海賊王」)のグッズを頼まれた、といって渋谷の専門店へ買いに行った。今では中国の子供の日本のアニメ好きは、元祖「動漫」世代の親たちも公認のことらしい。こうした共通のアニメの嗜好は、政治とは別の次元の日中関係の基盤を作っているようだ。