(上海の街並み;伝統的な里弄式住宅の後ろに高速道路・高層ビルがどんどん建ってゆく)
上海へやって来た。
日本も、アメリカも、ついでにヨーロッパも財政危機に陥っている時に、ここだけは発展を続ける国の経済の中心だ。私はこの街の歴史、このエネルギーを生み出した上海社会の秘密を考察することから研究を始めた。90年代の初めに留学して以来、毎年何度か上海を訪れては、急速な街の変わりように目を見張っている。
今年は欧米にも眼を広げようと思ってアメリカで過ごした後の、ほぼ一年ぶりの上海だ。
中国で最も富裕な上海でも、物質的な生活水準は、まだまだアメリカや日本には及ばない。しかし経済発展しつつあるこの街のエネルギーは、今のアメリカや日本にはない。現在はちょっと景気に蔭りがあるようだが、それでもモノは高いものからどんどん売れてゆき、富裕層の消費意欲をかき立てる新しい商品の開発はまだまだ止みそうにない。上海で働いてもう十年になってしまった、という日本人の友人複数に会ったが、ここではどこよりもビジネスチャンスが多いとなれば、おいそれと離れられないだろう。
ところで今回、この間ずっとフォローしていたtwitterやFacebookが中国では繋がらないことを確認した。ブログもgooは大丈夫だが、見れないものも多いという。これまで見れたものが見られないのはたしかにツラい。ただ、中国の友人たちはそういう規制のかかった状況を与件として、自分なりに必要な情報を入手することに努力している。日本のマスコミも当てに出来ないことがしみじみわかった今年は、マスコミは「党の宣伝のためのくちばし」と公言している中国の方が正直かも、等と皮肉に思ったりしてしまう。アメリカでは、「中国の人々は情報統制されていて可哀想」と、自分たちはそうでないという優越感を示しながら言う人も多かった。しかし正確な情報を得るために努力が必要なのはどこでも同じで、問題はむしろその自覚がなくなることの方ではないかと思われる。(でももちろんtwitterやFacebook等の規制はない方がいいけれど)