つれづれなるまま(小浜正子ブログ)

カリフォルニアから東京に戻り、「カリフォルニアへたれ日記」を改称しました。

戦略的思考の必要性

2011-10-02 18:39:17 | 日記
仕事が一段落したので、この週末は、読まなくてはと思っていた孫崎亨『日本の国境問題』、同『日本人のための戦略的思考入門-日米同盟を超えて』を読む。
日本人に戦略的思考が決定的に欠けていること、日本の領土問題が、特にアメリカ政府にどう認識されているか(尖閣列島については日中間の中立、竹島は韓国領、国後択捉はロシア領)、アメリカがそうした国境問題をあおって日本と近隣諸国を対立させてきたこと、等々、ため息をついて頷ける点が多々あった。
今世紀に入ってからの日本のマスコミの反中報道(と言ってしまおう)のせいで若者に嫌中感が広がり、おかげで我が中国学科の志願者も減少気味で大変困っているのだけれど、それは日本国内のアメリカ追随勢力によるだけではなく、背後にはやはり米国の差し金があったのだ、と確認。
こちらにいると、アメリカはもう日本の経済を追い越した中国の方を日本より重視していることは既定の事実として実感される。いつまでもアメリカの言いなりに追随しているのではなく、日米の同盟関係を維持しながらも独立した思考と行動をとり、同時に中国との友好と信頼を深めていかなくては、日本は立ちゆかないことは自明だと思うのだが、どうも国内の「空気」は簡単にそうならないようだ。孫崎氏は、その原因は日本人の戦略的思考の欠如であり、それは日本企業の衰退の原因にもなる、と厳しく指摘する。
戦略的思考を鍛えることの必要は、常に銘記しなくてはなるまい。そして、その基盤には、個人として国としてどのような行き方をするかという哲学が必要だ。(哲学の必要な現実の課題として、今まさに、対米姿勢および原子力発電をどうするのか、が議論され決定されなくてはならないと思うのだが。)
授業に復帰したら、ぜひ学生に読ませたい本だ。