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つれづれなるまま(小浜正子ブログ)

カリフォルニアから東京に戻り、「カリフォルニアへたれ日記」を改称しました。

「外邦図」シンポ(続き)

2011-10-12 14:27:10 | 日記
「外邦図」シンポの議論で印象的だったのは、地図と主権をめぐる問題だ。
戦後アメリカが日本を占領した時、多くの地図を接収したのだが国内の測量原図は接収されず、また小笠原・沖縄の返還の際には測量原図も帰ってきた、従って測量原図は主権と密接な関係があると考えられていたのではないか、という話が報告の中であった。「考えられていたのではないか」ということは、定説はないのか、といぶかしく思って日本からいらした報告者に伺ったが、どうも共通見解はないらしい。そんな基本的なことが決まってないなんて、とちょっとあきれた。しかしよく考えてみると、逆に決まっていたら、さまざまな紛争が起きそうでもある。
他の報告の中にも、インドでは地図は購入できるが国外には持ち出せない、とか、主権と地図に関わる興味深い話がいくつかあった。そもそも近代国家が国土と国民と主権で出来ているのだとしたら、地図は国土という国家の基本的な構成要素を示す情報源だ。同時に地図は、その空間に生きる人全てにとって必要な情報でもあり、だからこそいろいろな人が、それぞれの必要に応じた地図を作って使ってきた。
21世紀の情報の電子化の中で、私たちは地図情報をどのように扱えばいいのだろうか。ここはやはり歴史地図も、版権がどうの等といったことを言わずに、Google Mapのように、すべてオープンリソースにして、誰でもアクセスし使える、人類の共有財産にしてゆくのがよいのではなかろうか。