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水の丘交通公園

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東京急行電鉄 8500系電車

2011-10-09 22:44:20 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
新玉川線(現在の田園都市線の渋谷~二子玉川間)開通及び営団地下鉄(東京メトロ)
半蔵門線との直通開始のために登場した車両である。
昭和50年~平成3年にかけて10両編成×38本=380両と5両編成×4本=20両の合計
42編成400両が製造された。
製造を担当したメーカーは東急車輛である。
編成の組み方は中央林間・溝の口側から以下の通り。

10連:デハ8500形+デハ8800形+サハ8900形+デハ8700形+デハ8800形+デハ8700形+※
※デハ8800形+サハ8900形+デハ8700形+デハ8600形

5連:デハ8500形+デハ8800形+サハ8900形+デハ8700形+デハ8600形

10連は田園都市線、5連は大井町線での運用となる。
主制御装置と集電装置は百の位が奇数の電動車形式(デハ8500形、デハ8700形)、
エアコンプレッサーは同じく偶数の電動車形式(デハ8600形、デハ8800形)に
搭載されている。
電動車同士はいわゆるユニット構造であるが、運用の都合で電動車が奇数となる
場合は主制御装置つきのデハ8500形、デハ8700形が単独で連結されたこともある。
サハ8900形は補助電源装置と半蔵門線で使用する誘導無線アンテナを搭載する。
なお、デハ8700形とデハ8800形は99両を越えたため、越えた分は0700番台、
0800番台とした。
これはそのままだとデハ8700形はデハ8800形とデハ8800形はサハ8900形と
車番が被るのと、東急の車両番号管理システムが4桁対応で5桁ではシステムに
負荷がかかるためである。

車体は8000系をベースにしたオールステンレス製で製造時期によって、若干構造が
異なる。
正面は中央部に貫通扉のある貫通型で運転台を高運転台として窓が小さくなったが、
窓上に行き先表示を中央に配置し、向かって左に種別表示、右に列車番号
表示を設け、窓下に識別表示として赤帯を入れたため、無表情になりやすかった
当時のステンレスカーとしては珍しく表情が付いた。
行き先表示と種別表示は正面の他、側面にもあり両方とも字幕式である。

車内はオールロングシートで当初はワインレッド一色のモケットであったが、
後にオレンジとブラウンの2色のものに交換されている。
化粧板は8536編成までベージュ系、8537編成からホワイト系となり、8537編成から
9000系の設計を取り入れ、座席への中仕切り設置や袖仕切りの形状変更、
天井見付けの変更などが行われた。

主制御装置は界磁チョッパ制御で8542編成の中間車4両(デハ8799+デハ0802/
デハ0718+デハ0818)がGTO素子のVVVFインバータ制御である。
VVVFインバータ制御装置は前者ユニットが試作型、後者ユニットが量産型となる。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキである。
台車はペデスタル式のダイレクトマウント式空気バネ台車で
モーターの駆動方式は中空軸平行カルダン駆動である。
運転台はT字型ワンハンドル式マスコンで速度計はATC対応となっている。
ATCを搭載した関係で乗務員室後方の仕切りの窓は未設置となったが、
後年、機器を交換して客室から向かって右側に窓が付けられた。

登場時は4両編成で田園都市線(当時は大井町~すずかけ台間)に投入された。
昭和53年の新玉川線開業と前後して導入したての新車を有効活用するため、
東横線でも暫定使用されている。
東横線では当初は6連、後に8連と変更された。
なお新玉川線開業の時点では増備が追いつかず、一部の編成では8000系の冷房準備車を
中間車に組み込んで運用された。
これは当初、新玉川線は渋谷~二子玉川園間の折り返し運転であり、
二子玉川園駅付近を除いて地上区間がなかったためである。
昭和54年より営団半蔵門線、新玉川線、田園都市線の運転系統一本化が行われ、
原則的に大井町線となった大井町~二子玉川園間への乗り入れはなくなった。
昭和61年に8538編成~8541編成が5連で製造され、大井町線と田園都市線の
共通予備車とされた。
この編成は大井町線のほか、多客時にこどもの国線で運用された。
東横線で運用されていた編成は随時交替しながら田園都市線へ移籍していき、
9000系の増備と8590系の導入と8090系の大井町線転属が落ち着いた平成2年を
最後に全車が田園都市線所属となった。

平成9年~平成13年にかけて車体更新改造を実施した。
主な内容は内装や座席の張り替え、スタンションポール設置、車椅子スペース設置、
行き先表示のLED化(後に東武鉄道直通対応車全車に施工)、
自動放送装置設置(一部)、LEDスクロール式旅客案内装置設置(一部)などである。
この改造は編成単位ではなく、初期に製造された車両単位で実施された。
これ以降も東武鉄道との直通対応改造と共にこれを行う予定であったが、
5000系との置き換えが発表されたため、実施されていない。
平成15年より半蔵門線の全通(水天宮前~押上間開業)に伴う東武伊勢崎線との
直通運転開始に伴い、一部編成への東武鉄道対応の保安装置設置改造と
前面下部にスカートが付けられた。
この改造の対象外とされた車両は「マルK」マークを正面貫通扉に貼り付けて
区別された(廃車対象となった初期車とVVVF車組み込みの8542編成)。
また、5両編成の8538編成~8541編成は大井町線へ転属となり、正面の帯色の変更、
誤乗車防止のためのステッカー貼り付けなどが行われている。
同年より初期投入車の5000系との置き換えも開始され、平成20年までに14編成が
廃車されている(但し、経年の若い中間車の一部は別の編成に転用)。

廃車された車両の一部は長野電鉄、秩父鉄道に譲渡されたほか中間車が伊豆急行に
譲渡されている。
また平成18年~平成20年にかけてインドネシアに譲渡され、ジャカルタ近郊の
通勤列車に使用されている。


○車内。中央林間側から3両目のサハ8900形のもので車内貫通路が狭いものと
 なっている。


○車内。最後に製造されたグループのもの。9000系の設計を取り入れたものと
 なっている。


○TOQ-BOX号。赤帯・音楽編成。


○「TOQ-BOX」青帯・シャボン玉編成。現在は赤帯車、青帯車とも装飾が外されている。


○「伊豆の夏」号。伊豆急行に譲渡された8000系に準じた塗装にされた。
 東武伊勢崎線沿線が舞台となったテレビアニメ「らき☆すた」ではヒロインが
 通学に使う路線の車両として何度か出演している。


○大井町線所属編成。誤乗車防止の為帯色と「大井町線」のステッカーが貼られた。
 行き先表示はフルカラーLEDに交換されている。


○デハ8800形のインフレナンバー車。大半は大井町線に所属している。


○唯一、原型に近い状態の8506編成(平成23年現在)。
 貫通扉の窓の右上にあるのが「マルK」マーク。


○東急新玉川線開業30周年・玉電開業100周年記念のステッカーマーク貼り付け車。


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