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えちぜん鉄道 Mc2100形電車

2010-09-30 22:57:30 | 電車図鑑・ローカル私鉄&第三セクター
えちぜん鉄道の前身である京福電気鉄道福井支社が、老朽化の進んだモハ2001形の
置き換えのため、阪神電鉄より不要になった5231形電車の車体を購入して、これと
2001形の足回りを組み合わせた車両である。
昭和58年~60年にかけて2両編成×5本=10両と単行運転用の6両の計16両が導入された。
改造は武庫川車両と自社福井口工場である。
京福電鉄時代の形式は「モハ2101形」である。

編成の組み方は福井側から以下の通り。
モハ2100形(奇数)+モハ2100(偶数)

えちぜん鉄道になってからは両運転台の車両も2両編成を組むようになった(後述)が、
機器や車内サービスを揃える関係で一部に奇数車同士や偶数車同士で編成を
組むものが存在する。

車体は既述の通り、阪神5231形電車のものを利用した普通鋼鉄製車体である。
阪神5231形電車は昭和36年~38年にかけて各駅停車用の旧型電車を置き換えるために
製造されたジェットカーで、当初より架線電圧の600V→1500V化に対応可能だった他、
駆動装置を直角カルダンから中空軸平行カルダンにするなど各部に改良が加えられた
ものであった。
昭和50年代に入り、車両冷房化のため引退が決まり、足回りを5131形・5331形に譲って
昭和58年~60年にかけて廃車されたものである。
譲渡にあたって、側面3ドアを2ドア化、側窓を新設したほか、6両に関しては連結側に
運転台を増設して両運転台としている。
なお、この増設運転台は当初、非貫通であったが後に貫通化が実施されている。
また、この部分の形状も車両によって、若干異なる。
行き先表示は正面と側面にあり、いずれも札差式である。

車内はロングシートで一部の車両には液晶パネルが設けられ、イベント時などに
映像を流すことが可能である。
当初は非冷房だったが、後に5両を対象に冷房化が実施されている。
ドアは両引き戸で既述の通り、片側2ドアである。
ワンマン運転に対応しており、ドア周りに整理券発券機と運転席後方に運賃箱、電照式
運賃表が設置されている。
ただし、日中はアテンダントが乗車券の販売・改札を実施している。

主制御装置は抵抗制御で直並列電動カム軸式制御器を採用している。
ブレーキは空気自動ブレーキであったが、えちぜん鉄道への引継ぎ時に
三管式直通ブレーキに改造されている。
台車は本形式と入れ替わりで廃車となったモハ2001形のものを流用したイコライザー式
板バネ台車で駆動方式は吊り掛け駆動である。
台車はその後、一部の車両で交換が実施され、2101~2108がゲルリッツ式(軸バネに
コイルバネと板バネを合わせたもの)、2109号がペデスタル式(軸守式)になっている。
これらは名鉄からの払い下げであるが、2109号車の台車は、名鉄時代には名車として
名高い3400系電車が現役時代最後に使用していたものである(もっとも、バネの位置の
関係でスカートの一部が外されて不評ではあったが)。

京福時代は2連車は朝や夕方の混雑時間帯を中心に、両運転台車は終日全線で使用され、
京福電鉄福井支社線の主力車両であった。

しかし、京福では平成12年12月と翌平成13年6月の半年の間に2度も正面衝突事故を
発生させ、国土交通省の指示で全列車の運行が休止となり、路線廃止の危機に陥る。
その後、沿線自治体からの支援があり、最も収支の悪い永平寺線を廃止して、
残りの路線を引き継いだ、えちぜん鉄道として平成15年に再出発した。

本形式も全車がえちぜん鉄道に引き継がれ、同社のMc2101形となった。
この時、事故で4両を廃車にしてしまった上(本形式からの廃車は無し)、本形式は最初の
事故車と同じブレーキを使用しており(最初の事故は単行運転中の旧型車両の1系統しかない
ブレーキロッドと呼ばれるパーツが破損し、ブレーキが効かなくなったため列車が暴走。
交換駅を突破して対向列車と衝突した)ブレーキ系統を多重化するため、全車2両連結で
運転するようになった。
このため、2両編成×8本にまとめられ、以下のような編成で運行されるようになった。

Mc2101+Mc2102 Mc2103+Mc2104 Mc2105+Mc2106 Mc2107+Mc2110
Mc2109+Mc2108 Mc2111+Mc2112 Mc2113+Mc2115 Mc2114+Mc2116

一部番号順になっていないが、既述の通り、車内サービスをある程度、
均一化するためである。
これらのうち、上半分と2111、2112、2116号以外は冷房車である。
この状況下で、えちぜん鉄道引継ぎ時は単行運転できるのが、Mc1101形とMc5001形が
1両ずつ、Mc2201形が3両の5両であり、日中でも2両編成の本形式を動かさざるを得ず、
終日、運行された。
その後、愛知環状鉄道より譲り受けたMc6001形、Mc6101形が運行を開始すると
次第に日中の運用は減り、平成17年の春のダイヤ改正からラッシュ時中心に
運用されるようになった。
また、Mc6101形の増備で廃車が開始され、上の編成表のうちの上半分は
既に廃車解体されている。

現在はMc6101形の増備も終了しており、新車の導入もないため、今後しばらくは活躍を
続けるものと思われる。
なお、朝ラッシュ時にはMc6000形や6101形も2連で運行するので
必ずしも本形式にあたるとは限らないので訪問の際は注意が必要である。


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