水の丘交通公園

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尾小屋鉄道 キハ1号気動車

2012-12-02 21:46:50 | 保存車・博物館
石川県の新小松~尾小屋間を結んでいた軽便鉄道の尾小屋鉄道が旅客輸送の合理化のため
導入した気動車である。
昭和12年に1両が製造された。
製造を担当したのは日本車輛で同社が同年代に手がけた地方私鉄向け気動車の一つで
貴重な現存例である。
1両単行ないし、貨車や客車を牽いての運用で決まった編成は組んでいない。

車体は半鋼製で正面は平妻の2枚窓となっている。
屋根は通常の丸屋根であった。
塗装は初期はダークグリーンや茶色だったようであるが、戦後は赤とクリームのツートンであった。
戦後のツートンカラーも時期によって塗り分けが異なっている。
行先表示は無く側面に札(サボ)を吊るす方式である。

車内はオールロングシートで運転席が片隅構造となっているため、最前部まで
座席が設置されている。
窓は全て2段窓でドアは片側2か所、ステップ付の片引き戸でドアエンジンは無く
手動ドアである。
夏場には窓を全開にしつつ、ドアも開けっ放しで走っていた。
窓の配置は走行機器の配置の関係で前後で非対称になっている。

機関はウォーケンシャ6MLガソリンエンジンで変速方式は機械式(いわゆるマニュアル)である。
2つある台車のうち片方が駆動台車でボルスタ(揺れ枕)と心皿の位置を車両内側に寄せて
走行時の粘着性を増大させるように工夫されている。
このため、車体が前後非対称となった。
昭和28年にエンジンをディーゼルエンジンに換装し、昭和30年代に別のディーゼルエンジンに
換装されている。
変速機はディーゼル化後も機械式のままで、液体変速に改装されたのは動態保存後の平成12年であった。
なお、現役時代にも液体変速式に改造される予定があったが、改造直前で廃止が決まり、
実施されることはなかった。
ブレーキは空気自動ブレーキとハンドブレーキである。

運行開始以降、後続のキハ2、キハ3(元遠州鉄道キハ1803)と共に主力車両として運用された。
混雑時には客車を連結して運行されていた。
廃線まで運行され、廃止後は粟津の小松市児童館で保存された。
しかし、露天での保存であったため、車体の損傷が進み、ある年の大雪で天井が損壊し、
解体も止む無しという状態にまで陥った。
しかし、尾小屋鉄道を守る会などの有志の手により、修復され、動態にまで復帰した。
この修復の際に整備しやすいように屋根の両端を切り妻状とし、雰囲気が変わった。
現在は冬季をのぞき水曜日と土曜日に1日2本ほど運行されている。


〇車内。小ぢんまりとした雰囲気。


〇運転台。円形のハンドルがハンドブレーキ。真ん中のレバーがマスコン、右がブレーキ。


〇現役時代のラフスケッチ。管理人が描きました。pixivにも掲載してます。
 写真が無いなら描けばいいのだよ。



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