大宮異変＜後＞

夜の帳が下りた。再開して、バルバロスがスタートする。しばらく踊って、神輿の連中と交差したようだ。
バチバチッと火花が散って、これが「スパークカーニバル」である。

が、オレはブロコ大宮が気になって、また中間地点に戻ってきた。Sayuri様の美しい背中も見納めになってしまうが、仕方ない。
ブロコ大宮もスタート。そのまま主催者席の近くでとどまって、紅白幕を背にステージショーが始まった。
これがきらびやかで、素晴らしい。むかし浜松でやった「おどりフェスティバル」の、バルバロスの最終パフォーマンスを思い出した。
ステージが終わってそのまま先に進むかと思いきや、チームはそのまま逆行する。いろいろ段取りがあるようだ。
あっ、あのポルタバンデイラは、リベルダージのオレンジダンサーじゃないか!?
アナタ旗を振ってないで、タンガで踊ってくれよ!!

そのままオレはブロコ大宮とともに移動する。ダンサーの中では、白タンガのそれが目を惹く。胸の形がとにかく素晴らしく、彼女は以前も何回か拝見したことがあるのだが、今夜はなぜかグッときた。
コースはやがて人気のないところを行く。ここは見物客の立ち入りを規制しているのかもしれないが、オレはいつも侵入してしまう。でも、ほかにも見物客はいるのだ。
さっきの白ダンサーが、見物客とタッチしている。
その背後から、オレはカメラを構える。あ、

見るな！

彼女がオレのカメラを見た瞬間、外付けストロボが光った。
夜間の撮影にフラッシュは欠かせないが諸刃の剣で、ダンサーの目を直撃してしまうことがある。オレはこれを佳としない。
視線が欲しいのはヤマヤマだけど、ダンサーの目を傷めないことが条件だ。夜間では、ダンサーはカメラを無視してほしい。

いよいよゴール地点に近づいてきた。ダンサーは汗びっしょりで、全身がキラキラ光っている。夜間撮影の醍醐味である。
こっちもびっしょりなのだが、同じ汗なのに、なぜオレのそれは不潔極まりないのだろう。



ブロコ大宮がゴールイン。個性が光っていて、実にすばらしいパフォーマンスだった。
これで今年の大宮も終わりかと思いきや、まだバルバロスはゴールしていなかった。
ブロコとは別のコースを行っていたらしい。スタート前の放送は、このことを言っていたのだ。

ともあれ、またSayuri様が拝めるとは、ありがたいことである。
オレはダンサーをバシャバシャ撮る。後ろにバテリアが続くが、この演奏が素晴らしい。オレは足を止めて、つい聞き入ってしまった。サンバカメコとしては異例の行動だ。
以前神奈川県の某イベントで、バルバロスのカイシャのみがステージに立ち、１曲聞かせたことがあった。それが感動的なまでに素晴らしく、オレはホロッときたものだ。
カメコをこんな気持ちにさせるバテリアは、バルバロスしかいない。

今回もちょっとウルウルきたのだが、オレは踵を返して、ダンサーのもとへ急ぐ。
最後の撮影をして、チームも盛り上がって、バルバロスの退場となった。

…ふう、最後はやっぱり、バルバロスに感動した。
バルバロスの底力はすごい。なぜに浅草サンバカーニバルで優勝から遠ざかっているのか、理解に苦しむ。
今年の浅草では、今度こそバルバロスが優勝する、と思った。…少なくともこの時点では。