ビバ!サンバ!!2

サンバ撮影日記

モデルとダンサー

2017-08-04 12:31:59 | ひとこと
水着モデルとサンバダンサー、どちらもカメラマンの被写体になるが、それぞれの意味合いは180度違う。

屋外での大人数撮影会の水着モデルは、カメラマンがおカネを払っているからギブアンドテイク。カメラマンは何のうしろめたさもなくモデルを撮れる。しゃがんで撮っても構わないし(むしろ最前列はうしろの邪魔になるので、しゃがむのが常識)、ポーズの指示もできないことはない。
写真のアップも、ほとんどのモデルがOKしている。モデルの立場からしても、1枚でも多く撮ってもらって作品がSNSで拡散され、次の仕事に繋がればうれしいのだ。また、イメージビデオを発売しているコは撮影会で宣伝できるし、モデル以外の芸能活動もPRできる。
カメラマンはオレも含めて枯れたオッサンが多いが、オレのようなテキトーカメラマンを除けば写真の腕は確かだから、記念のポートレートもわんさか手に入る。
そしてここが肝心なのだが、撮影会をモデル自身も楽しんでいる。こんなオッサンどもに囲まれて何が楽しいのか分からないが、たしかに撮影会現場は、モデルが楽しくなるような、妙な高揚感が漂っているのだ。モデルにとっては、カメラのレンズが全部自分に向けられているのが、何よりの快感なのだと思う。
水着モデルとオレたちは、需要と供給がマッチしているのだ。

ではサンバダンサーはどうか。
こっちは「撮影料」の類がほとんどなく、無料だ。オレたちは、ダンサーの厚意で撮影させていただく、という立場になる。
ダンサーも、サンバを踊ること自体が楽しいわけで、サンバカメコのために踊っているわけではない。あるいはクライアントの注文に応じて踊っているだけで、そこにサンバカメコは一切介在しない。
だけど半裸で踊っているからカメコは湧いてくる。しかも彼らは撮影会のカメラマンとは毛色が違い、同じカメラでも、ビデオカメラで延々と粘着的に撮影する。カメコの容貌もどこかギラギラしていて、オレも含めて変質者の集まりといっても過言ではない。とにかくおぞましい。
余談になるけれど、このブログを開設した当初、ダンサーとおぼしき女性から、「写真はチームの関係者に撮ってもらうので、あなたが撮る必要はありません」という旨のコメントを頂戴した。オレは「撮ってやってる」なんて意識はこれっぽっちもなかったので、このコメントには凹んだものだ(この元記事は現在非公開にしています)。
とにかくそんなわけだから、ダンサーの本音は

みんな、私を撮らないでっ!!

であろう。
ところがその一方で、妙な光景に出くわすこともある。
沿道はカメコばかりじゃなくカメラに興味のない一般客も混じっている。
その手前でダンサーが客のほうに向かって踊る。だがカメコを含む観客はほかに興味がいって、あらぬ方向を見ている。この時ダンサーは(なんで私を見ないの?)と背中で語っているのだ、確実に。
たとえばダンサーの立場として、自分が踊っていて、自分にはカメラが向けられないのに、前のダンサーにばっかりカメコがついていったら、やっぱりおもしろくないのではなかろうか。先日の草加で、自分にカメラが向けられない、とふくれた?MCの女性と同じ心境である。

さらにこれも考えられないのだが、ダンサーの中には、オレたちの撮影に協力的な人もいるのだ。
オレが沿道でダンサーにカメラを向けていると、ダンサーがオレの前でわざわざ止まって、ステップを踏んでくれたことがあった。何度も。
ビデオを構えている時も、どう見てもレンズを見て踊ってくれていることがあった。何度も。
挙句はレンズに向かい、手まで振ってくれたこともあった。某チームの女子大生です。これがオレにはまったく理解できず、オレの周囲に彼女の知り合いでもいるのかと思った。が、ビデオを再生すると、明らかにオレのレンズを見ている。オレを知り合いと間違えたのだろうか。
と思えば、ダンサーがハイタッチをしてくれたこともある。これも同じチームの女子大生です。こうなると、もう訳が分からない。
カメコは忌避されていないのか?

オレは考える。少なくともごくごく一部のダンサーは、オレが思っているほど、カメラを拒絶していない。むしろ、大勢いるダンサーの中で、自分にカメラが向けられることを誇りにさえ感じている。
考えてみればそうだ。ダンサーだって何人も踊っているのだ。その中で特定のダンサーにカメラが向けられるということは、審美眼にウルサイカメコが、「いろいろダンサーがいる中で、あなたが一番です」と言っているようなものだからだ。
となったらダンサーも、ふだん無味乾燥な生活を送っているかわいそうなカメコさんに、ちょっとサービスで踊ってあげましょう、となるのが人情であろう。
そんなダンサー様をオレたちは、女神のように崇めるのである。

と、いろいろ書いてきたけれども、サンバカメコの理想は、観客の後列で控え目にダンサーを撮影しつつ、時々手を休めてダンサーとバテリアに声援を送り、小腹がすいたらその辺の屋台で何かをつまむ、ということになろうか。
でもこれがなかなかできないんですね。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 羽根なし天国(そのあと地獄) | トップ | 一難去ってまた一難 »

コメントを投稿