彼女は黒タンガを着用していた。若手ダンサーが多い中で、お姐さんっぽい。
彼女らは客席の周りを一周したあと、順繰りにステージに上った。ダンサーは全部で8人か。ポルメスもいるから本格的だ。オレは客席から外れたところにいたが、そこからでも十分に彼女らが撮れた。
チームはステージ上で元気に踊って、20分ほどで終了。2本目は午後1時からとのこと。
地方のサンバに時々あるのだが、1本目と2本目のインターバルが長すぎてほかに出し物がないと、やることがなくて間が持たないことがある。でもここ上野なら、その心配はない。といっても、繁華街で昼食を摂り、公園をぶらぶらしたら、すぐ1時近くになったが。
オレは再び入場するが、また荷物検査がある。前の人はペットボトルの水を飲まされていた。
オレもペットボトルは携行していて、さっきはキャップを開けていなかったから素通りできたが、今は開栓しているので、一口飲んで安全性をアピール。まったく今回のサンバは異例づくめだ。
1時少し前にサンバイベントが始まる。MCがまた何とかいう名前を言ったが、母体は自由の森学園だった。そうか、さっきのダンサーは彼女らだったか! 道理で見覚えがあると思った。
カメコは2本目も増えていない。チームも若いし絶好の撮影機会なのに、もったいない。
2本目は趣向をこらし、ダンサーがドレスを着て登場し、しばし踊った。
しかしそれだけではオレたちカメコが欲求不満である。彼女らはいったん退くと、待望のタンガで現れた。
ステージ上にずらっとダンサーが並ぶ光景は壮観である。ダンサーが横一列、は最も美しいフォーメーションだと思う。
ベンチ席はガラガラで、オレも遠慮がちに座った。
向かって右端には、例の黒ダンサーが踊っているが、オレの席からでは遠い。が、妙に存在感があり、オレは気になってしょうがない。
しばらく経つとフォーメーションが変わり、黒ダンサーがオレの真ん前に位置した。これは絶好の撮影チャンスである。彼女をバシャバシャ撮る。…ウン?
あああっ!!!
彼女、トミコさんじゃないか!? ――間違いない!!
実はオレ、トミコさんをナマで拝見したのは初めて。それで、気付くのが遅れてしまった。
そのトミコさん、先日は渋谷のイベントでも別のチームに参加していたらしいが、まさに神出鬼没だ。
トミコさん、罪づくりなカラダだ。まさにカメコ泣かせで、オレは分かっていてもカメラのシャッターを切ってしまう。
ひとしきり踊ったあと、ダンサーが順繰りに退場し、オレの夢の時間は終わった。
すぐに埼玉県某所に向かってもいいのだが、ステージでは少年少女合唱隊の合唱があり、それだけ聴いていくことにした。
子供たちの声は透き通り、天使のようだった。まるで、オレの薄汚いカメコ心を洗い流してくれるかのようだった。
もうサンバカメコなんかやめよう、と思った。この時は。
その後オレは埼玉県に行き、いろいろなチームのサンバを堪能した。
オレはさらに次のサンバを求めて、神奈川県某所に向かう。ところが、電車にそのまま乗っていればいいのに、オレは何を血迷ったのか、上野で下車して帰宅するというサンバカメコにあるまじき自殺行為を演じてしまう。そうして、激しい自己嫌悪に陥るのである。
彼女らは客席の周りを一周したあと、順繰りにステージに上った。ダンサーは全部で8人か。ポルメスもいるから本格的だ。オレは客席から外れたところにいたが、そこからでも十分に彼女らが撮れた。
チームはステージ上で元気に踊って、20分ほどで終了。2本目は午後1時からとのこと。
地方のサンバに時々あるのだが、1本目と2本目のインターバルが長すぎてほかに出し物がないと、やることがなくて間が持たないことがある。でもここ上野なら、その心配はない。といっても、繁華街で昼食を摂り、公園をぶらぶらしたら、すぐ1時近くになったが。
オレは再び入場するが、また荷物検査がある。前の人はペットボトルの水を飲まされていた。
オレもペットボトルは携行していて、さっきはキャップを開けていなかったから素通りできたが、今は開栓しているので、一口飲んで安全性をアピール。まったく今回のサンバは異例づくめだ。
1時少し前にサンバイベントが始まる。MCがまた何とかいう名前を言ったが、母体は自由の森学園だった。そうか、さっきのダンサーは彼女らだったか! 道理で見覚えがあると思った。
カメコは2本目も増えていない。チームも若いし絶好の撮影機会なのに、もったいない。
2本目は趣向をこらし、ダンサーがドレスを着て登場し、しばし踊った。
しかしそれだけではオレたちカメコが欲求不満である。彼女らはいったん退くと、待望のタンガで現れた。
ステージ上にずらっとダンサーが並ぶ光景は壮観である。ダンサーが横一列、は最も美しいフォーメーションだと思う。
ベンチ席はガラガラで、オレも遠慮がちに座った。
向かって右端には、例の黒ダンサーが踊っているが、オレの席からでは遠い。が、妙に存在感があり、オレは気になってしょうがない。
しばらく経つとフォーメーションが変わり、黒ダンサーがオレの真ん前に位置した。これは絶好の撮影チャンスである。彼女をバシャバシャ撮る。…ウン?
あああっ!!!
彼女、トミコさんじゃないか!? ――間違いない!!
実はオレ、トミコさんをナマで拝見したのは初めて。それで、気付くのが遅れてしまった。
そのトミコさん、先日は渋谷のイベントでも別のチームに参加していたらしいが、まさに神出鬼没だ。
トミコさん、罪づくりなカラダだ。まさにカメコ泣かせで、オレは分かっていてもカメラのシャッターを切ってしまう。
ひとしきり踊ったあと、ダンサーが順繰りに退場し、オレの夢の時間は終わった。
すぐに埼玉県某所に向かってもいいのだが、ステージでは少年少女合唱隊の合唱があり、それだけ聴いていくことにした。
子供たちの声は透き通り、天使のようだった。まるで、オレの薄汚いカメコ心を洗い流してくれるかのようだった。
もうサンバカメコなんかやめよう、と思った。この時は。
その後オレは埼玉県に行き、いろいろなチームのサンバを堪能した。
オレはさらに次のサンバを求めて、神奈川県某所に向かう。ところが、電車にそのまま乗っていればいいのに、オレは何を血迷ったのか、上野で下車して帰宅するというサンバカメコにあるまじき自殺行為を演じてしまう。そうして、激しい自己嫌悪に陥るのである。