みやっちBlog

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長野県政:脱「脱ダム」本格化

2007年02月08日 14時39分04秒 | 政治・社会
暗礁に乗り上げていた浅川の治水問題だが、どうやら穴あきダムを作ることで動き出しそうだ。

長野県知事がダム建設を発表、「脱ダム」事実上転換(yahoo!ニュース 2月8日12時33分配信 読売新聞)
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長野県の村井仁知事は8日、県庁で記者会見し、田中康夫・前知事が計画を中止した浅川ダム(長野市)について、「穴あきダム」と呼ばれる治水専用ダムを建設する方針を明らかにした。県は田中前知事が掲げた「脱ダム宣言」を事実上、撤回した。

 穴あきダムは、川の流れを遮る形でコンクリートの堰堤(えんてい)を作り、川底近くに水の吐き口を設けて放流する構造。大雨で増水すると、一定量以上はせき止められ、洪水を防ぐとされる。試算では堰堤は高さ約50メートルで、通常のダムと同等の規模となる。
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浅川治水問題:計画より小規模の「穴あきダム」で建設決定 /長野(yahoo!ニュース 2月8日12時2分配信 毎日新聞)
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 ◇きょうにも会見、表明へ--知事
 県は7日、田中康夫前知事の「脱ダム」宣言に基づき、建設計画を中止した浅川ダム(長野市など)について、従来のダム計画より小規模で下部に穴のあいた「穴あきダム」を建設する方針を決めた。05年11月の河川整備計画に盛り込んでいた檀田、田子遊水地の設置を断念する。村井仁知事は8日にも会見を開き、表明する。
 県は国の技術機関などと検討した結果、日本で初めて治水専用の穴あきダムとして建設された「益田川ダム」(島根県)を参考に、えん堤高が旧計画より約9メートル低い約50メートルのダムを建設する。上流部2カ所のため池と河川改修を組み合わせ、千曲川合流点の基本高水流量毎秒450トンを満たす。
 ダム建設を望んできた長野市や下流域の住民の意向に沿った形だが、えん堤高を低く抑えることで旧計画との違いを強調し、ダム反対派住民らの批判をかわす「苦肉の策」(県関係者)だという。浅川以外のダム建設についても、村井知事は「治水利水の観点から、やはりダムがあった方がいいという話になるなら、造ってもおかしい話じゃない」と前向きな発言をしている。
 田中前知事は、01年の知事就任後の「脱ダム」宣言に基づき、県内八つの河川に計画・検討されていたダムの建設計画を中止した。しかし、浅川については、流域自治体である長野市の承認が得られないことや、流域住民からの反発に遭い、整備計画が頓挫していた。【川口健史】
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浅川治水「穴あきダム」建設へ 県が「脱ダム」転換(信濃毎日新聞 2007.2.8)
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県は7日、庁内組織の「治水・利水対策推進会議」(議長・腰原愛正副知事)を県庁で開き、前県政が県営ダム計画を中止した浅川(長野市-上高井郡小布施町)について、下部に穴の開いた構造の、いわゆる「穴あきダム」を旧ダム予定地に建設する新たな治水対策案を決定した。上流部のため池と組み合わせ、旧ダム建設時と同じ治水水準を確保する。村井知事が8日にも記者会見し、正式発表する。

 県は、田中前知事による2001年2月の「脱ダム」宣言から約6年を経て、治水政策を再び根本から転換した。流域住民にはダム建設に賛成する意見の一方、予定地の地滑りの危険性や多額の費用などを理由に反対する声も根強く、14日開会の2月県会を含め、激しい論議を呼ぶことは必至だ。

 穴あきダムの規模は、吉村県政時代に計画された旧ダム(本体の高さ59メートル)よりも縮小。下部に開いた穴で通常の川の流れは維持し、洪水時のみダムとして機能させる。長野市檀田(まゆみだ)地区などで当初検討していた遊水地の整備は見送り、既存のため池で対応する。

 県は昨年11月から、規模を縮小したダムと他の対策を組み合わせ、旧ダムと同じ「100年に1度」の大雨に対応する治水水準を実現する案を軸に、国土交通省と技術的な協議に入っていた。

 同省からは基本的な枠組みについて理解を得られているとみられ、県は治水事業実施の前提となる「長野圏域河川整備計画案」(20年間)に穴あきダムの建設を盛り込み、国の認可を得て早期に着手したい考えだ。

 県は近く、こうした方針について、流域の区長らでつくる浅川総合治水対策連絡協議会(斉藤忠二会長)や、下流部の同市長沼地区の北陸新幹線対策委員会(深瀬和三委員長)などに説明する方針。

 昨年8月の知事選で当選した村井知事は、浅川の治水対策について、洪水時の想定最大流量「基本高水」は旧ダム建設時と同等の毎秒450トンを維持した上で、「ダムなしからダムありまでを選択肢として検討する」と繰り返し述べていた。

 昨年11月には流域住民の意見を聞く会を2回開いたほか、12月にはダム反対派の住民の案内で現地視察を行っていた。
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長野県、脱「脱ダム宣言」へ 田中前知事中止の計画復活(朝日新聞 2007年02月08日07時24分)
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01年に「脱ダム宣言」を発表した田中康夫・前長野県知事が建設を中止した県営浅川ダム(長野市)について同県は、治水のみを目的とした「穴あきダム」を建設する方針を決めた。村井仁知事が近く正式表明する。国の手厚い補助金がついた公共事業をめぐる激しい対立の舞台だったダム計画の復活で、長野県の「脱ダム宣言」は事実上、撤回されることになる。

村井知事は昨夏の知事選で「国の補助金活用」を公約に掲げ、田中氏を破って初当選。ダムを造らない県の治水計画について、就任当初から「(計画を認可する)国土交通省はダムの代替案がないと指摘している」と批判していた。

 浅川の下流域は14年度に長野―金沢間で開業予定の北陸新幹線の建設予定地で、以前から地権者らが「治水にはダムが必要」と主張。用地買収の交渉を担当する県としては、早期に合意を取り付ける必要性があった。

 田中前知事は、ダムが環境に与える負荷と、補助金つき公共事業への地方の依存を問題視。「脱ダム宣言」で、県が計画していた11のダム事業のうち8カ所を中止した。中でも浅川ダムは、総事業費400億円のうち周辺道路など200億円分が終わり、中止された8カ所の中で最も工事が進んでいた。このため「脱ダム」の象徴的存在だった。

 02年6月に本体工事の中止を表明した直後、県議会から不信任を受けた田中前知事は、同年9月の出直し選で圧勝。ダムに代わる治水計画の検討を進めた。しかし、国の基準をクリアする案を策定できないまま迎えた昨年8月の知事選で、村井知事に敗れた。

     ◇

 〈キーワード:穴あきダム〉 通常時は川の流れを遮らないよう、下部に穴が開いている治水専用のダム。増水時にだけ水をためる構造で、利水には使わない。国内で完成したのは島根県の益田川ダムだけ。水が常に流れるため、水質の悪化や土砂の堆積(たいせき)が起きにくく、環境への負荷が少ないとされる。当初計画された浅川ダムは高さ59メートルの堰堤(えんてい)で貯水し、治水と利水の両方を目的としていた。
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浅川に穴あきダム(中日新聞 2007.2.8)
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長野県「脱ダム」政策転換
 長野県は、田中康夫前知事が「脱ダム」宣言に基づいてダム建設を中止した浅川(長野市など)の治水対策で、下部に開口部がある「穴あきダム」を建設する方針を固めた。昨年9月に就任した村井仁知事が、田中県政の象徴でもあった「脱ダム」政策から事実上転換する格好。8日にも正式発表する。

 穴あきダムは、川の流れをせき止めないよう、ダムの下部に開口部を設け、増水時には貯水して流量を調整する。県は2004年に「河道内遊水地」との名称で検討したが、県議会などから「事実上のダム」と批判されて撤回した経緯がある。

 建設規模などは明らかになっていないが、県が河道内遊水地として検討した際には、堤高は最大49・5メートルから28メートルになると試算していた。

 浅川ダムは、1985年に事業着手。しかし、建設予定地の地質の危険性を訴える反対運動があり、2000年10月に就任した田中前知事が、同年11月に一時停止を表明した。

 田中前知事は01年2月に「あまたの水源を擁する長野県には、でき得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない」と「脱ダム」を宣言。02年6月には浅川ダムの建設中止を正式に表明した。

 県は、その後、ダムなしの治水対策を検討したが、国土交通省との協議が難航。村井知事は就任後「ダムありからダムなしまですべて選択肢」との慎重な姿勢をみせていた。
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穴あきダムをダムというのかどうか、堰堤とダムの境とは? など考えさせる部分も多いが、脱コンクリートということで田中前知事はダムに代わる穴あきダム案が提出された際にも却下した経緯がある。

たとえば、北海道の自衛隊演習場内にある堰堤にイトウが遡上できるように切れ込みを入れて生態系への影響を見るとこになったというが、土石流が起こったときに細い切れ込みへ集中する土砂により堰堤が破壊される可能性は無いのだろうか? と心配になる部分もある。

また、ダムの下部に土砂排出用のゲートを持っている小渋ダムは、確かに川の流れる部分に関しては土砂が溜まりにくいものの、左右にはしっかりと土砂が溜まり浚渫にかなりのコストがかかっている。そこで、小渋ダムには新たに洪水時に土砂をバイパスできるトンネルを設けるということなのだが、これもまた美和ダムではじめて使った際に、下流の堤防や親水公園に流れてきた石があたって壊してしまったという。確かに、ダムへの土砂の堆積は防げたが、下流に新たな災害をもたらすものでは意味が無いのではと感じている。

浅川の穴あきダムは、いくつかのため池や遊水地との組み合わせで洪水時の下流域の流量を調節し、合流部の千曲川の河川改修と組み合わせて内水被害を抑えようというもので、通常の流れの時には水生生物が行き来をでき土砂が下流へ流れるようにというものでもある。

もちろん、地上を行き来する生物にとっては上流と下流を分断されるもので生態系への影響が起こる可能性は高いし、あまり小さな穴では土砂に埋まってその度に浚渫が必要になる可能性も高い。もちろん、完全なダムでは生態系への影響は大きく浚渫も必要となるのだが。

浅川の場合、土砂を食い止める堰堤というよりは洪水時に水量を調節して合流部の内水被害を防ぎたいというものだということなので、常時水がたまっている必要はないことになり、穴あきダムという選択は個人的には仕方が無いところなのかと思っている。

無駄な公共事業はごめん被りたいが、だからといってコンクリートなどを使う土建業が関わる公共事業すべてを否定するものでもない。

自然環境や川の機能をいかにして殺さずに災害を食い止めるのか。
今後は、そうした視点で事業が採択されることを願っている。



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