『 社会生活は、勝った負けただけでは勝敗は決しない 』
社会生活において、私たちは、多くの場面で一つの席を争っている状態にさらされます。錯覚だといえば錯覚かもしれませんが、客観的に見る限り事実といえましょう。
サラリーマンであれば、ポスト争いなどはその典型で、何も社長の席を争うなどという大げさなことではなくても、ごく小さなグループの中でのリーダーシップをとるということも、たった一つの席を争っているということになります。
そして、その争いはスポーツの場合も同じで、たった一つの席には、たった一人が辿り着き、その他の人は次の機会を待つことになります。勝利した人も、次のステージで再び一つの席を争うことになります。
「昇進とは、その人がどこで潰れるかを試すことだ」というようなことを言った経済学者がいたようですが、たった一つの席を奪い合っている間は、そのご高説に当てはまっているということになります。
社会生活においても、たった一つの席を奪い合うということのみに焦点を集めてしまえば、虚しいことが多いはずです。席を掴んだと実感する人よりも、得られなかったと実感する人の方がはるかに多いからです。
「オンリーワン」という言葉がはやったことがありますが、私自身はこの言葉や考え方にはあまり賛同できませんでしたが、しかし、目の前にあるたった一つの席を得なければ人生の落伍者のように思うのは、おそらく間違いだと断言できるような気がしています。
スポーツと社会生活とは似ていても全く違うのは、社会生活は、勝った負けただけでは勝敗は決しないということだと思うのです。
( 「小さな小さな物語」第十一部 NO.646 より )
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