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雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

可愛くあるために

2022-02-02 07:59:15 | 私の好きなフレーズ

『 所詮人間という動物は、年令に反比例するように、可愛さを失ってゆく動物なのでしょう 』


人間の赤ちゃんも同じで、生まれて間もない赤ん坊など、「とても可愛い」と褒めそやすほど顔かたちがはっきりしているわけではないのですが、その雰囲気自体が見る人の気持ちを優しくするようです。
もう少し大きくなって、歩き出す前後の子供は、みんながみんなと言っていいほど可愛くなります。
江戸時代などでは、「七歳までは神様の領分」といった考え方が広く信じられていて、幼い子供を大切にしたそうです。
ところが、神様の領分を離れた頃から、子供は憎らしさを備えるようになり、大人といわれる年令になると、可愛さは影をひそめていきます。さらに歳を重ねていくほどに、人間は、可愛さというものを限りなく失っていくようです。美人だとか、二枚目だとか言われたところで、その変化に変わりなどありません。
よく若い人が、「かわいいおじいちゃん」とか「かわいいおばあちゃん」だと言うことがあるようですが、可愛さのレベルが違いすぎます。
所詮人間という動物は、年令に反比例するように、可愛さを失っていく動物なのでしょう。
そして、それを何とか少しでもカバーする知恵があるとすれば、「優しさ」のような気がしているのです。

       ( 「小さな小さな物語」第十部  NO.547 より )

 


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