今、当地は台風7号の直撃を受けています。
ところが、庭の様子を見てみますと、背の高い花はかなり痛めつけられており、植木鉢も一つ倒されていますが、風はそよ風、雨は殆ど降っておらず、空は少し明るく感じられます。どうやら台風の目に入っているらしくて、テレビでは当市に再上陸して北上中とのことです。予報では、午後四時頃から二、三時間の間が最も強い風になりそうですので、あとひと頑張りが必要な状況です。
このコラムを書いている八月十五日は、第二次世界大戦の終戦の日という重い意味を持つ日に当たります。また、お盆の中日でもあります。
台風と言うわけではなく、我が家では毎年お墓参りは数日前に参ることにしていますし、お坊様も毎年十四日に参っていただくことになっています。我が家の宗教は仏教ですが、仏教徒だという意識はなく、お盆の行事も先祖供養という意味合いが殆どです。
それでも、近しい人を見送ることが増えるにつけ、少々思いを馳せることも多くなってきているような気もします。
特に今年は、台風が直撃しそうだと言うこともあって、昨夜来、家に閉じこもっている状態ですが、それが、何だか新鮮な気持ちでお盆を迎えているような気がします。
そうした徒然の中で、手許の資料の中から、こんな句を見つけました。
『 陰干しにせよ 魂も ぜんまいも 』
これは、橋閒石(ハシカンセキ)氏の作品です。下記の句も含めて無断で使わせていただいておりますので、お許し下さい。
橋閒石氏の本名は橋泰来(ハシヤスキ)です。生年は 1903 年(明治 36 年)、逝去されたのは 1992 年(平成 4 年)です。俳人として著名ですが、ほんとうは英文学者・教育者と紹介すべきなのでしょう。
閒石氏は、石川県金沢市に誕生し、金沢二中・四高・京都帝国大学英文科を卒業し、1928 年に県立和歌山中学(現、県立桐蔭高校)に教諭として赴任、1931 年に新設された県立神戸高等商業学校(現、神戸商科大学を経て兵庫県立大学)の教授となり、神戸に移住、定年退職後も親和女子大学の教授後に学長を務めています。
俳句は、中学の頃から病に伏せることが多かった氏は、病床で俳句を独学で学び、大学教授になってからも、英国随筆文学の研究等に加え、俳句・連句・随筆などの分野に幅広い活動をされました。
故郷金沢の気風をかもしながらも、神戸に多くのものを与えて下さった文学者でもありました。
橋閒石氏をそれほど勉強したわけではありませんが、好きな句をあと二つ使わせていただきます。
『 銀河系の とある酒場の ヒヤシンス 』
『 詩も川も 臍も胡瓜も 曲りけり 』
如何でしょうか。この先生の勉強をするとなれば、かなり根性が必要な気がしてしまいます。
さて、この台風のお陰で、お盆の中日を家に閉じ込められてしまったお方もおいででしょう。帰郷や楽しみにしていた家族行事に影響を受けてしまったお方もおいででしょう。
しかし、折角の機会ですから、少しばかり自分を見つめ直す機会を得たと考えて、「少しばかりお疲れ気味の『我が魂』」を、先生の最初の句にあるように、日差しのもとにさらすのではなく、そっと陰干ししてみるのも良いのではないでしょうか。
( 2023.08.16 )
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