『 私たちは、安全のためのコストは必須経費であることを、もっと認識する必要があるように思うのです。』
安全の価格は、どのように計算すればよいのでしょうか。
あるメーカーがある製品を作る場合、当然コスト計算は厳しく検討され、原材料費、設備への償却費、人件費、消耗品費、流通経費等々に適正価格を勘案した上で、売値、すなわち工場出荷価格が設定されると思うのですが、どうも最近では、まず市場での販売可能価格が検討されて、それに基づき原材料費などの価格が策定されることが多いようです。下請け業者に厳しい時代の大きな原因はここにありそうです。
それはともかく、その生産価格に占める諸項目の中に、安全のための経費というものは、定位置を占めているのでしょうか。
( 中略 )
安全にはコストが掛かるのです。それは、単に交通機関だけではなく、食品、化学製品、建物、道路、橋梁、隧道など、あらゆる分野が安全管理を必要としているわけです。それは、国土の防衛ということも全く同様です。
私たちは、安全のためのコストは必須経費であることを、もっと認識する必要があるように思うのです。
( 「小さな小さな物語」第十一部 NO.621 より )