雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

魚を食べましょう

2023-08-29 18:23:21 | 日々これ好日

      『 魚を食べましょう 』

    処理水放出に関する 問題発生は
    予想通り 様々な障害が起っているようだ
    でも この程度のことは 予想されたことで
    驚くほどのことでもなく むしろ 放出前に
    政府の対応が策定されていなかったことに 驚く
    水産物については 今こそ国民挙げて
    『魚を食べましょう』運動を 始めましょうよ
    高級品は 海外でより高く売る のを控えて
    政府は 相当値下がりする程度の 補助金を出せば
    水産資源は 減少傾向なので
    資源保護も合わせれば 対策はあるような気がする
    さあ みんなで いつもより 1~2割多く
    『魚を食べましょう』

                   ☆☆☆
    

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助かる命と逝く命 ・ 望月の宴 ( 88 )

2023-08-29 08:02:24 | 望月の宴 ③

      『 助かる命と逝く命 ・ 望月の宴 ( 88 ) 』


さて、大殿(道長)は相方の君(スケカタのキミ・源相方。宇多天皇の孫に当たる源重信の息子。道長の正室倫子のいとこにあたる。)の邸にいらっしゃる時に、たいそう重い病にかかられた。当面の一大事と世間では思われていた。
御物の怪の恐ろしいのは当然のことで、大殿ご自身も正気を失うほどで、世間で効験あるとされる事などをすべてお尽くしになる。中宮(彰子)が里邸にお下がりになるなど、まったく大変な騒ぎである。女院(一条天皇生母詮子)におかれても、たいそう心を痛められている。

それらの御願の験(シルシ)であろうか、仏神の御験があらわれたのであろうか、あるいは、お住まいをお変えになれば回復なさるとの陰陽師たちの占いに合わせて探されると、尚侍(ナイシノカミ・東宮居貞親王妃の綏子)が住んでおられた土御門が方角が良いと申すので、お移りになった。
夏のことなので、元気な人であっても暑さに耐えがたい頃なので、いかにいかにと御容態を心配申し上げているうちに、たいそう長くお苦しみであったが平癒なさった。
まったく予想も出来ないほどの回復だったので、誰もがお喜びである。まことにめでたいことであった。

殿の上(道長の正室倫子)の御妹である中の御方に、道綱大将(道長の兄で従二位大納言・右大将・東宮大夫を兼ねている。)がお通いになっていたが、昨年から普通でないお体になっていらっしゃったが、このごろ臨月に当たっておられた。一条殿(故源雅信の一条第。)は方角が悪いので、他所にお移りになるよう陰陽師たちが申すので、吉方ということで、中川(京極川の二条以北)の某阿闍梨(伝不詳)という人の別宅にお移りになって、出産なさった。
男子でいらっしゃったので、嬉しく思っていらっしゃるうちに、中の御方はそのまま後産の事がなくてお亡くなりになってしまった。

大上(オオウエ・貴人の母を敬っていう語。おおきたのかた。ここでは、中の御方の母穆子。)は残り少ない老いの御身でもあり、悲しみに深く沈んでいらっしゃる。
殿(道長)も、心からいたわしいことと嘆いておいでだが、特に上(北の方、倫子。)は、御はらからとして男兄弟はたくさんいらっしゃるが、あまり親しくなく、この中の御方とは同腹でいらっしゃるので、何事につけてお世話されていたし、また、この大将殿(道綱)との事も、殿も上も心を合わせてお膳立てしてきておいでなだけに、あまりにも情けなく虚しいこととお嘆きになる。
大将殿も、妻の死を悲しむ気持ちは当然ではあるが、ご夫婦仲はたいそうご円満で、この北の方のご縁故によって世間の信用も格別であっただけに、あれこれとお考えになって嘆かれるのも道理と思われる。
大将殿は、生れたばかりのちご君(後の兼経)をしっかりと抱いて、亡くなった妻の代わりと思ってお育てなさるにつけても、すぐに妻の罪深き(当時、御産で亡くなることは罪深いことと考えられていたらしい。)ことに思い至り、それは自分の罪が深いが為であろうから、こうした事から何とか逃れて、ひたすらに阿弥陀仏を念じ奉らんと思いながらも、思案にくれていらっしゃる。

そして、然るべき葬送をお済ませになって、御喪に服している間も、悲しみにふけっておいでである。ただ、このちご君のお世話に、深い悲しみも紛れることもあるのだろう。
御乳母には、われもわれもと望む人がたくさんいるが、弁の君(ベンノキミ・出自ははっきりしない。)といって素性のしっかりした者を、亡き上なども大切な人として目を掛けていらっしゃったので、この女房もそのご恩を忘れがたく思っていたうえに、「もし安産であれば、必ずそなたを乳母に命じましょう」などと仰せになった御約束の言葉も忘れがたくて、すぐにこの弁の君が万事心得てお世話申し上げることになったので、殿の上(倫子)は何よりのことと安心なさっている。

     ☆   ☆   ☆


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