雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

ちょっと一息 ・ 文筆家としての清少納言

2014-04-25 11:00:32 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
       枕草子 ちょっと一息


文筆家としての清少納言

清少納言という方は、その活躍時代に文筆家としてどの程度の評価を受けていたのでしょうか。

清少納言が中宮定子のもとに仕えるようになったのには、おそらく彼女の教養の高さが、宮中や貴族たちの間に知れ渡っていたからだと推定できます。
また、父や祖父は、歌人として著名であり、その娘であることから早くから注目を浴びていたことと思われます。
「枕草子」に書かれている範囲からでも、定子が清少納言の才能を評価していることは推定できますし、交友のある貴族たちからも認められていたらしいことは、随所に記されています。

しかし、当時には、当然文筆家という職業などあるはずもなく、文芸面で優れているといっても、それはあくまで教養の高さを表す尺度だったと思われます。
清少納言は宮仕えを経験しながら「枕草子」という大作を完成させていますが、宮仕えに入る段階では、和漢双方の面での教養を高く評価されていたとしても、果たして和歌の上手としての評価が高かったのかどうかは少々疑わしいような気もするのです。。
もちろん、当時の風潮としては、清少納言が優れた歌人の血統にあることは評価されていたでしょうが、目立った実績はなかったと思われるのです。当時の教養の中心は、特に女性にとっては和歌ですから、その点がとても気になります。

現代の私たちからすれば、清少納言といえば、「枕草子」という著作があり、伝えられる和歌の数が少ないとはいえ、中古三十六歌仙に撰ばれているほどですから、和歌にも優れていたと評価できるのですが、実際に宮中にあった時、その才能に値するだけの評価を受けていたのかどうか、とても気になります。若輩の紫式部ごときに酷評されていることも、悔しい限りです。
まあ、余計なことではありますが。 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする