中川輝光の眼

アトリエから見えてくる情景
paraparaart.com ArtDirector

ハーゼンクレーヴァー「感傷的な娘」

2007-03-15 | 美術を考える

ハーゼンクレーヴァー「感傷的な娘」

今日は時間がありますので、絵画の表現について書きます。若い頃、ロマン派の絵画展を観ました。ひととおり観た後に、どうしても気になる作品がありました。それがこの作品です。絵描きなら一度は夢見る「少女のポーズ」が、そこにあるのです。これに近いイメージで絵を描きたいと思ったことが、私にも一時期ありました。月を眺めるなら窓越しに、斜め後ろのポーズで物思いにふける少女。それは映画のワンシーンのように共通している場面です。だからこそ、絵にしたときに通俗的になるのです。絵描きの危うさがいつもそこにあるのです。何をどのように描いてもいいのですが、描いてる本人の意識がそれを拒否するのです。何故だと思います。たしかに一枚の絵と、時間の経過の中で表現する映画とは自ずと違うのですが、それだけではないのです。造形上の課題がそこにはあるのです。難しくはありません、この絵を見ればわかるのです。月を見ている娘の後ろに、あなたが居ることが、絵画の目的ではないのです。若き頃、何故か私はこの絵の写真を買いました。そして今も、大切に持っている。

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童話「ひげよさらば」上野瞭・作の紹介

2007-03-15 | 本の紹介

童話「ひげよさらば」上野瞭・作の紹介

野良猫たちが織りなす夢と冒険の物語です。記憶喪失の猫ヨゴロウザ(主人公)が、ナナツカマツカの丘に迷い込むところからお話が始まる。正義感の強いこの野良猫が、さまざまな出会い(場面)の中で、自分を確かめようと試みる。正義感が強すぎると、猫の世界でも、つらい状況に立たされることが多いのですね。真正直に対応すると、心も体も傷だらけになる。この要領の悪さが、私とダブってしまい、ついつい読みながら苦笑してしまう。小学生向けに書かれたものでしょうが、魅力ある1冊です。


絵本「あかいくつ」の紹介

2007-03-15 | 本の紹介

絵本「あかいくつ」の紹介

この絵本も、神沢利子さんの文に岩崎ちひろさんが絵をつけています。教会にはいてきてはいけない赤い靴をはいてきたばかりに、踊り続ける少女のお話です。貧しい少女がはいた赤い靴は、何かの象徴でしょうか。この絵本は、アンデルセンのお話を元に創られました。アンデルセンのお父さんは靴の修理をしていましたが、家は貧しかったそうです。そこで育ったアンデルセンがつくった「哀しい物語」です。