2017/02金沢美術工芸大学卒業制作展、今年も魅力あふれる数多くの作品を観ることができました。新しい試みができる世代、その制作意欲に触れることは、わたしたちにとっても大切なことです。近年、油画専攻にアニメーションや映像作品が目につく、おそらく多くの場合『独学』になるのかも知れませんが、もともとこの世界(視覚芸術)は裾野が広く未知数と言っていい、ジャンルの垣根を乗り越えて自由に表現してみるのもいいのではないか・・・そう思います。
絵画作品のなかで、永井ちなみさんの作品に惹かれました、繊細な色彩表現とそのやわらかさに感性の高さを覚えたのです。細部の心が宿る・・・ではありませんが、繊細さを失わなければ、いつでもいい作品が生まれます。
田中裕梨さんの『書体デザインと装幀』に視点を向けた作品、17~19世紀の美しい本を数多く見てきたわたしにはうれしい展示でした。デジタルbookでは表現できない『装幀の魅力』を知ってほしい、そういった願いからこの展示を評価したい。いくつかのユニットを連続して組み合わせると、不思議な女のイメージが・・・作者の名前を忘れてしまいましたが、記憶に残ります。わたしもユニットや記号を使ってデザインしていた時期がありましたから・・・。それから、芸術学の湯佐明子さんのレポート、19世紀の画家ウオーターハウスの『シャロットの姫』を扱った論文も楽しく読ませていただきました。