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新体操の西インカレを見学

2023年06月06日 | 男子新体操
先日、グリーンアリーナ神戸で開催された新体操の西日本インカレに行ってきました。
新体操のクラブ選手権や全日本には昨年行ったのですが西インカレは初めてです。

私もよく知らないのですが、新体操では西インカレと東インカレがあります。
東インカレは東京より東の大学の学生選手権大会ですが、西インカレはその前に九州インカレ、関西インカレ、東海北信越インカレなどの地域ごとインカレがあってその後に行われます。
ちなみに東インカレにはそういう地域ごとのインカレはないんです。

それを知らなかったものですから私は『あれっ、関西インカレがあったのにまた関西でインカレするの?』と不思議に思いました。
これは私の想像ですが、新体操では女子が多いという事情があるのではないかと思います。
西日本は女子の新体操が盛んですから、西インカレをやる前に地域ごとでインカレをやって参加人数を絞るのではないでしょうか。

たとえば、新体操では競技は男女交互に行うのですが、私が行った西インカレでは、個人では女子が二人続けて演技し、その後男子が一人演技してました。その繰り返し。
団体では男子は早々と演技が終了し、その後女子の演技が続いていたようです。(私は男子の演技が終了した時点で帰りました。)

それくらい女子の参加者が多いのです。
競技人口自体、男子は女子の10分の1くらいらしい。

ですから、実際には男子の方は西インカレの前に地域でインカレする必要はないと思うんです。
でもやらなくちゃいけないみたいです。
詳しい事情は分からないので間違っているかもしれません。
いずれにしても、そうやって8月に上位者による全日本インカレ(全インカレとか全カレとか呼ばれる)が開かれ、大学生の日本一が決まります。

そして全インカレの上位者(個人・団体)が10月末に行われる全日本選手権(通称はジャパン)の出場権を得ます。
全日本にはインカレで成績の良かった大学生だけじゃなく、インハイ(インターハイスクール)上位の高校生の団体や個人、またクラブ選手権を勝ち抜いた民間のクラブチームや社会人チームの個人や団体も参加できます。

インカレで全日本の出場権を得られなかった大学生は、大学のクラブに所属する形でクラブ選手権に参加し、敗者復活戦みたいにそこで勝ち抜いて全日本に出ることもできるようです。
そして全日本でその年の新体操日本一の団体や個人が決定されるわけです。
もっとも、ここ数年はコロナの影響で開催がかなり変則的だったみたいです。

とまあ、そんなこと、言われなくてもスポーツ好きな人は皆知っているのかもしれませんが、ここではスポーツ観戦初心者の私が最近知ったことを一応書いておきます。

先日私が観に行ったのは西日本インカレです。(通称は西インカレ)
グリーンアリーナ神戸は家から1時間15分の距離で、行き方も阪急電車と神戸地下鉄だけで、近いので二日続けて行きました。
場所は駅の傍で直ぐ分かったのですが、例によって会場に入るのに戸惑いました。

そこが会場だと示す看板があるわけでもなく、複数の扉には〈締め切り〉〈締め切り〉・・・と張り紙が…。
閉め切りと書かれていない扉を押しても閉まっていて…。
幸い私の後から来た人が開く扉を見つけてくれて、私はその人の後をつけて入りました。

入るのに戸惑ったのは私一人ではなく、席に座っていたら「入れなくてウロウロした」というような声が聞こえましたので、本当に『ここは秘密の花園か』と思う程、入りにくかったです。
新体操、ただでさえ観る人少ないのに、もうちょっと来てくれる人に親切にしてもいいと思いました。
ちなみに入場・観戦は無料です。

会場内は途中から入っても座れるほどの込み具合です。
私は一番見やすい男子側の席のマットの正面になる辺りに座りました。
ただ、私の座った席は選手の関係者席だったかもしれません。
そういうこともはっきり書かれていなくて分からなかったです。

個人の競技が終わり、団体の公式練習の時の写真です。


写真や動画は関係者であれば事前に申請すると撮ることができるようです。
私は関係者ではないですが、上の写真は競技中ではないのでスマホで撮りました。

向こう正面の席がガラガラみたいですが、向こう側は選手の席で一般の人は座れません。
左奥のマットは次に演技する選手達の練習用マットで、競技は手前正面のマットで行われます。
その手前のテーブルのある所は審査員席です。
右隣に縁がピンクのマットが見えますが、そこは女子用のマットです。
競技用のマットは、大きさは同じですがマットの種類が男女異なるのです。
私は男子新体操を観に行ったのですが、女子の演技もちゃんと見られる席に座りました。

男子と女子はそうやって仲良く演技するわけですが、知る人ぞ知る、新体操というスポーツは男子と女子ではやっている内容がまるで異なっていて、ほぼ別種のスポーツなのです。
そのことを知らない人が多すぎて、男子新体操の選手に向かって「リボンをクルクル回しているのか」などという失礼なマウント発言をしてしまうことにもなってます。

ついでだから豆知識的に日本の新体操について書くと、新体操の前身として団体徒手体操という競技が日本では戦前からあったみたいです。
戦後、それは第二回目の国体から正式種目として採用されています。
もちろん団体徒手体操は日本発祥のスポーツで、ヨーロッパ発祥の新体操とは異なるものです。

団体徒手体操は男子と女子に分かれていましたが同じスポーツとして活動していました。(ちょうど器械体操のような感じ。)
1967年、団体徒手体操の選手とコーチの二人の女性がコペンハーゲンで開かれていた新体操の第3回世界大会に視察に行き、その華やかさにすっかり魅了されて帰ってきて「自分達は団体徒手体操ではなく新体操をやりたい」と主張したわけです。

その願いは叶いました。
当時の日本は今の中国みたいに勢いがあったのでしょう、とにかくやることが早かった。
2年後の1969年には日本は新体操の第4回世界大会に参加し5位に入賞しています。
これは色んな意味で「凄い」としか言いようがありません。
少なくとも当時の女子の団体徒手体操の選手達は、体型的には明らかに不利だったとしても身体能力的にヨーロッパの選手達と比べて遜色がなかったようです。

ただヨーロッパの新体操は女性限定のスポーツでした。
団体徒手体操をやっていた女子選手は新体操に移行しましたが、男子選手はそのまま団体徒手体操を続けました。
その上で、個人の種目もある女子の新体操に合わせて男子も個人の種目を新たに作り、女子の新体操との整合性を持たせたのでした。

団体徒手体操はフリーハンドで、手具を持たないスポーツでしたが、男子もその時点で初めて個人競技のみ手具を持つようになったのでした。(手具も女子のそれとは違う。)
そして名称も団体徒手体操から新体操に変えたのでした。
男子新体操が女子の新体操とは異なり、日本発祥のスポーツであるというのはそういうわけです。

当時、男女が違うスポーツをやることになったのだから男子と女子の組織を分けるという発想はなかったみたいです。
その結果、今現在、様々な問題が生じているのですが、ややこしいのでそれについては書きません。

閑話休題。

二日間、私が座ったのはどうやら大学や家族等の関係者の席だったみたいです。
二日目、私の後ろには某大学の選手のママさん達のグループが座ってました。
別に聞こうと思わなくてもママさん達の会話が聞こえてきて、それが面白かった。

私は気が小さいので、全日本を観に行った時には、個人の選手の演技は手具を落下しないか思ってドキドキしたもんです。
(私はフィギュアスケートでも、ドキドキし過ぎるからテレビでライブは見られず、結果が分かってから見る人です。)

別にファンでも何でもない他人でそれですから、仮にの話、自分の息子や孫の演技を見ることになれば心臓に悪すぎると思ってました。
ところが二日目はそういうママさんが私のすぐ後ろで集団で観戦してました。
いやもう、何とも言えない緊張が伝わってきましたね。

あえて詳しい内容は書きませんが、息子選手が何度も手具を落とすと嘆いたり、息子の状態を案じたり。
かと思うと仲間の息子選手のイケメンぶりを褒めたり。
それを受けて容姿端麗な息子選手をさりげなく自慢したり。
(男子新体操といえども見た目は大事ですからね。)

個人の場合、その選手がミスっても同じ大学に迷惑をかけるわけではないので、その分、ママさん達の気持ちは楽だったと思います。
でもママさん同士で気を遣い合っていることも、同じ大学の選手の演技を祈るように観る気持ちも伝わってきました。

どんなスポーツでも同じでしょうが、スポーツやっている子供の保護者は大変です。
選手達が本当に愛情をかけて育てられているのはよく分かりました。
男子新体操は決してメジャーなスポーツではないのですが、そんなこと関係ないですね。

肝心の演技ですが、全インカレでもジャパンでもないので、やはりレベル的には低い選手もいました。
日頃、YouTubeで凄い演技ばかり見ているので、実際にはこういうもんなのだなと理解。
当たり前ですが上手い選手は本当に上手かった。
たぶん、ジャパンでも上位に行くのだと思います。

期待していた団体の演技はちょっと問題あり。
色々と考えることはありましたが、それについては私ごときが語れません。

最後に団体で勝利した福岡大学に敬意を表して、同じ福岡大学の栗山巧選手の2019年全インカレのロープの演技を紹介します。
栗山選手、現在はシルクドゥソレイユでパフォーマーとして活躍中です。







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4 コメント

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新体操 (しまそだち)
2023-06-07 15:56:53
徒手体操って言葉 久しぶりに聞いた言葉です

わたしも フィギュアスケートなんか ドキドキしてしまいます
結果を知ってからのほうが 心静かに観戦できます

新体操も トランスジェンダーの問題なんて 生じるでしょうか ?
そうなんですか 男女ほぼ別種のスポーツほどに違いが あるのですね
いろんな競技で ジェンダーのことが 注目されています
男女区別なく競技するのは ちょっと疑問です
絶対的に フィジカルで男女差ってありますから
運動会でも 順位を つけないとか ?
安易な解決法だと思います

男子の新体操にも スポンサーがついて土日の午後に
TV中継されるようになると良いですね
しまそだち様 (みどり)
2023-06-07 22:37:25
女子の新体操の場合、トランスジェンダーの問題は生じないと思います。
女子の新体操では筋肉より柔軟性が重要ですから。
日本の新体操の場合、内実が異なるスポーツなのに同じ新体操という名前をつけていることが問題なのです。
違うものに同じ名前はさすがにまずいんです。
国内でも男子がリボンをクルクルまわしていると勘違いしている人がたくさんいるようですが、もっと問題なのは国外です。
男子新体操は国外でも紹介されて評価も高いですが、女子と同じ“リズミック ジムナスティクス(新体操)”と訳されてしまい、新体操がどういうものか知っている人からは当然「これは新体操(リズミック ジムナスティクス)ではない」と言われるのです。
そこから色々と悪く解釈され、怒りもかっていたようでした。
国内では男子の新体操は男子新体操と呼ばれてますが、そうすると男子新体操をやりたい女子がその競技をできなくなるのです。
現在、日本国内で男子新体操を自分もやりたいという少女達があちこちに現れてきているので、名称変更なり組織変更なりを早くしないとダメなんです。
実は男子新体操は、性差も、年齢差も、身長差も超えてできるスポーツなんです。
その潜在的な可能性が今のままでは生かせないんです。
Unknown (rieirierie)
2023-06-09 09:00:11
男子新体操の関西大会を観戦されたのですね。
スポーツの試合は選手の緊張感が伝わります。
そのドキドキがライブ観戦の醍醐味でもありますね。
保護者の方は息子さん達の活躍を楽しみに会場に集い応援しておられたのでしょう。
みどりさんの応援で男子新体操界も今後ますます人気が出ることと思います。
おかげで知らなかった私も少し知ることができましたので、応援しています。*nana*
nana様 (みどり)
2023-06-09 23:32:03
私が観たのは関西インカレではなく西日本インカレです。
選手も試合では緊張するでしょうけど、保護者の緊張はまた別種でしょうね。
団体はともかく、個人の演技は、私なら心臓に悪いレベルです(笑)。
個人の場合、手具を落としたらまず上位を狙えない。
それがドキドキなんです。
私が応援したくらいで男子新体操の人気はでないでしょうけど、盛り立てる為に努力している方々はたくさんいらっしゃいます。
それらが近い将来、実を結ぶかもしれません。

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