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『奇跡のリンゴ』

2013年06月13日 | 映画(か行)
『奇跡のリンゴ』
監督:中村義洋
出演:阿部サダヲ,菅野美穂,池内博之,笹野高史,伊武雅刀,
   畠山紬,渡邉空美,小泉颯野,原田美枝子,山崎努他

85歳になる義母は青森県北津軽郡のリンゴ農家出身。
最後に映画を観たのは数十年前で、けれども決して観たくないわけではないらしい。
数カ月前、本作の話をしたら、原作は読んだそうで、「行きたいわ」とのこと。

先月末の御堂会館での試写会に何の気なしに応募したら当選。
しかし、仕事が終わってからでは開場時間に間に合わず、
かといってあの御堂会館の行列に義母に並ばせるのは酷というもの。
数十年ぶりに観る映画なんだから、どうせならちゃんとした劇場に案内したい。

というわけで試写会はパス。
今週初め、仕事帰りにダンナ実家に寄って義母を拾うことに。
玄関ではなぜか義父がニコニコ顔。
「お父さんも行きませんか?」とお誘いしましたが、「うん、行かない」。
だけど、義母が私と映画に行くという状況を喜んでくれている様子。
ちなみに義父は、60年前に学校で映画を観たきりだとか。(^^;

道中、義母のおじいさんに当たる人がリンゴ農家をはじめたこと、
今は義母の甥っ子が継いでいることなどを聞きました。
この辺りの話はダンナに聞いてもさっぱりわからないので、興味津々。

劇場に到着すると、初めてのシネコンに義母はワクワクしています。
一緒にアイスクレープ、ブルーベリーヨーグルト味を食べながら開場待ち。

青森県弘前市のリンゴ農家に生まれた秋則は、
幼い頃から何でも解体してはその仕組みを知り、性能を上げるのが大好き。
失敗も数知れず、父親と先生には怒られてばかりだが、
母親はどんどん失敗すればいいと笑う。

無駄が多い農家の仕事はしたくないと、就職はとっとと東京へ。
ところが、リンゴが台風被害に遭ったとの連絡を受けて帰郷する。
そこで秋則を待っていたのは、地元の立派なリンゴ農家の一人娘、美栄子との見合い話。
昔ほのかな恋心を抱いていた美栄子が相手とあっては断れない。
かくして秋則は美栄子の家に婿入りする。

あるとき、年に数回の農薬散布によって美栄子が体調を崩していることを知る。
農薬の量を減らしてみるが、それでも体調は悪いまま。
そこで秋則は一念発起、不可能だといわれている無農薬リンゴの栽培に着手するのだが……。

遊び心と娯楽性に富んだ作品でいつも楽しませてくれる中村義洋監督にすれば、
わりとひかえめにつくられた感のある作品です。
無農薬リンゴの栽培については異論もたくさんあるようですが、
ものをつくる努力、苦労、そんなものがひしひしと伝わってきます。

家族の理解と協力なくしてはできない挑戦。
山崎努演じる美栄子の父親の器の大きさにはグッと来っぱなし。
また、健気な子どもたちの言葉にも救われます。

終映後、義母の本当に嬉しそうな顔。
青森から離れて何十年、最近は朝刊で「青森」という字を見かけただけで
その日一日はいいことがありそうに思えるそうです。
作品中に何度も出てきた岩木山。日本人はみんな富士山富士山というけれど、
青森県人にとっては岩木山こそ日本一の山だと話していました。

ついでに、私の実父は秋田県出身。
両家初顔合わせのときに、義母と実父がめちゃローカルな話で盛り上がっていたのを思い出します。
東北は広けれど、「東北出身」というだけで距離感はなくなるようです。(^^)

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