夜な夜なシネマ

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『ゾンビ・ヘッズ 死にぞこないの青い春』

2012年08月03日 | 映画(さ行)
『ゾンビ・ヘッズ 死にぞこないの青い春』(原題:Deadheads)
監督:ブレット・ピアース,ドルー・T・ピアース
出演:マイケル・マッキディ,ロス・キッダー,マーカス・テイラー,
   トーマス・ガラッソ,エデン・マリン,レナード・ケリー=ヤング他

4月に渋谷、5月に十三、6月に札幌と、公開は全国で3劇場のみ。
7月初めにDVD化されたレンタル新作です。

B級ホラーの傑作『死霊のはらわた』(1981)。
その特撮スタッフだったSFXアーティストを父親に持つのが、本作の監督兄弟。
幼少時代をゾンビにまみれて過ごしたら、こうなるのかもしれません。
ゾンビ映画への愛着を思いっきり感じる一作です。

ゾンビ映画でありながら、青春恋愛コメディ。
史上初のバイオレンス・ミュージカル『愛と誠』にも笑いましたが、
こちらもそのユニークさでは引けを取りません。

暗闇に包まれた屋外で目が覚めた青年マイク。
なぜ自分がこんなところに倒れているのかわからない。
記憶が断片的に飛んでいる様子。

見渡せば周囲には不穏な空気が流れている。
ヨロヨロと歩く人びと人を注視すると、みんなゾンビ。
襲われるかと思いきや、ゾンビたちはマイクをスルー。

いったいどうなっているのかと頭の中が混乱。
すると、ブレントと名乗る男が、同類を見つけたとばかりに話しかけてくる。
ブレントによれば、マイクとブレントは半分だけゾンビ化しているらしい。
だから人間としての記憶もあれば、普通にしゃべることもできる。

そんな話は到底信じられないが、腕がもげても撃たれても平気な自分。
ブレントの言うことは本当らしい。しょげるマイク。

半分ゾンビであることをようやく認めたマイクは、
自分にはエミリーという恋人がいて、結婚を決意していたこと、
それに反対する彼女の父親にゾンビにされてしまったことを思い出す。

ポケットには彼女に渡すつもりだった指輪。
ゾンビになってしまったことは仕方ない。けれども彼女にこの想いは伝えたい。
マイクとブレントはエミリーのもとへと向かう。
彼らにやたらなついている完全ゾンビのチーズも連れていくことに。
しかし、目の前にゾンビハンターたちが立ちはだかり……。

マイクの心は人間のまま。けれどもやはり死んでしまった人間。
エミリーとの間には身分違いどころか越えられない壁があります。
見た目ビミョーにゾンビなマイクが、エミリーを驚かせてはいけないと、
まずは着ぐるみを着用して会うことを試みます。
それでもなかなか声をかけられず、エミリーの笑顔を遠巻きに見るシーンは切ない。

エミリーに気持ちを押しつけようとしているわけではなく、伝えたいだけ。
そんなマイクをはじめ、能天気ながら彼を助けるブレントやチーズなど、
いつしかゾンビ側に共感をおぼえ、応援してしまうのでした。
越えられない壁ならば回り込んで。

本編以上にウケたのが、DVDに収められていた『ゾンビ大陸 アフリカン』の予告編。
『ホテル・ルワンダ』(2004)、『ツォツイ』(2005)、
『ジョニー・マッド・ドッグ』(2007)に続く、“アフリカ大陸”シリーズ最新章!」
……と叫んでいます。
3つめは未見で、どうでもよさげな作品ですが、
前の2つは並べられたらたまったもんじゃないでしょう。
同じくレンタル新作なので、一応は観てみましょうかね。(^^;

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