夜な夜なシネマ

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『カモン カモン』

2022年04月28日 | 映画(か行)
『カモンカモン』(原題:C'mon C'mon)
監督:マイク・ミルズ
出演:ホアキン・フェニックス,ウディ・ノーマン,ギャビー・ホフマン,
   スクート・マクネイリー,モリー・ウェブスター,ジャブーキー・ヤング=ホワイト他

109シネマズ箕面にて、仕事帰りに1本だけ。
客は私ひとり。早くも今年に入って4度目の“おひとりさま”です。
 
マイク・ミルズ監督が脚本も担当。
主演はホアキン・フェニックス。もはやリヴァー・フェニックスの面影は皆無(笑)。
子役を演じるのはオーディションで選ばれたウディ・ノーマン。只者ではない。
ケヴィン・コスナーの娘役だった人です。時が経つのは本当にはやい。
 
ニューヨークでラジオジャーナリストとして働く中年の独身男性ジョニーは、
ロサンゼルスに暮らす妹ヴィヴに久しぶりに連絡を取る。
ヴィヴの夫ポールは精神を患っており、ヴィヴはオークランドにいるポールに会いに行くらしい。
その間、ヴィヴが9歳の一人息子ジェシーを誰かに預けるつもりだと知り、
ジョニーはジェシーの面倒を見る役目を買って出る。
 
ロサンゼルスを訪れたジョニーとジェシーの生活が始まるが、
ヴィヴのオークランド滞在が予定より長引き、ジョニーも自身の仕事を断れずに当惑。
ジェシーに「一緒にニューヨークへ来るか」と尋ねると、「行ってみたい」との返事。
心配するヴィヴを説き伏せ、ジョニーはジェシーを連れてニューヨークへ戻るのだが……。
 
全編モノクロ作品にした意図がどこにあるのか、私にはわかりません。
でも確かに、色が溢れているよりもモノクロのほうが本作には合っている。
 
決してこれまでは仲が良かったとは言えない兄妹。
その理由ははっきりとは明かされませんが、ジョニーが妹の夫の病を気にして干渉したり、
実家で病床に伏す母親の譫妄にジョニーがつきあいすぎたり、
ヴィヴにとってはとにかく勝手な兄だった様子です。
 
妹に対する償いの気持ちもあるのか、ジョニーはジェシーを預かるけれど、
ずいぶんと個性的で友だちもいないジェシーにはかなり手を焼きます。
「親のいない子どもごっこ」なんてのにもつきあわなければならない。大変です(笑)。
 
ポールの調子がよくなって、やっと親子3人の暮らしに戻れるとわかっても、
ジェシーとしては万々歳ではありません。
自分も大人になったら父親のように頭がおかしくなるのか、そんなことも気になる。
嬉しい半面、不安でいっぱいの気持ちを心の内に押しとどめようとするジェシーに、
叫んでもいい、泣いてもいい、それが当たり前の感情だと言うジョニー。
 
こんなラストの10分がとてもいい。
ジョニーが子どもたちに「未来」について聴くインタビューは、本物かと思うほど。
エンドロールでも子どもたちの答えが流れますが、
「なぜ人は死ぬのか。人が死ぬように作られたことにはきっと意味がある」という答えは心に刺さりました。
 
大画面を独り占めしてごめんなさい。ありがとう。

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