夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ハッピー・オールド・イヤー』

2021年01月26日 | 映画(は行)
『ハッピー・オールド・イヤー』(原題:Happy Old Year)
監督:ナワポン・タムロンラタナリット
出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン,サニー・スワンメーターノン,サリカー・サートシンスパー,
   ティラワット・ゴーサワン,パッチャー・キットチャイジャルーン,アパシリ・チャンタラッサミー他
 
まだ正月三が日中。シネ・リーブル梅田にて。
見逃しそうになっていたタイ作品がどうしても気になって。
 
世界的ヒットを飛ばした『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017)で
カンニングに知恵を絞るヒロインを演じて注目されたチュティモン・ジョンジャルーンスックジンが
今度は断捨離を決意したヒロインを演じます。
それにしてもどうしてこんなに長いの、タイ人の名前。絶対覚えられん。
 
タイ・バンコクに暮らす家具デザイナーのジーン。
スウェーデンを訪れたさいにミニマルなライフスタイルに目覚め、
自宅を理想の家にリフォームしようと思い立つ。
 
友人ピンクにリフォームを依頼すると、
技術的には希望を叶えることが可能だが、まずは家族を説得するようにとのこと。
家族の歴史を一掃するようなリフォームは、家族をバラバラにしがちだからと。
 
ジーンの両親はずっと前に離婚して、今は自宅に母親と兄の3人暮らし。
とにかく物を捨てようというジーンに兄は賛成してくれたが、
母親は激しく反対し、父親との思い出をひとつも捨て去りたくない様子で……。
 
面白いです。
 
当初、ジーンはなんでもかんでも捨てようとします。
ところが、断捨離中に訪れたピンクから「これも捨てるの?」と聞かれる。
「今はCDなんて古い。要るならあげるから持って行って」と答えると、
それは昔ピンクからもらったCDだったんですねぇ。
しかもケースを開けるとそこにはピンクからの手紙も入っている。
「ほしがってたCD見つけたよ」と。
バツが悪くなって取り繕うジーンですが、絶対に謝罪の言葉は口にしない。
ピンクは呆れて「あんたはいつもそう。人の気持ちを考えない」と言います。
 
そこで急に罪悪感を持ったジーンは、ゴミ袋をもう一度開けて、断捨離を見直しはじめます。
笑ったのは、彼女が人から借りていたもののなんと多いことよ。
誰から借りたものかはちゃんと覚えていて、
それでも片っ端から捨てようとしていたところ、思い直して全部返すことに。
「ジーンが人から借りたものを返しまくっている」とSNSで話題になるのも可笑しい。
もしかしてタイ人って、人から物を借りるのが普通なのでしょうか。
 
元彼への連絡を自分から絶ったために、借りたカメラを持ったままだったジーン。
お別れも言わず、帰国後にまったく連絡しなかったことも詫びます。
結局、また連絡を取って詫びるのは、自分のためなんですよね。
それなりに歳を取ると、このまま死んだら心残りだなぁなどと私は思ってしまう。
でも、自分をスッキリさせるために連絡を取るのって駄目ですかね!?
 
音楽がまたちょっぴり切なくて良い感じ。
捨てるときには感謝して。

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