『怪物の木こり』
監督:三池崇史
出演:亀梨和也,菜々緒,吉岡里帆,柚希礼音,堀部圭亮,渋川清彦,染谷将太,中村獅童他
先週金曜日だった公開初日、封切りが「映画の日」と重なった作品が何本か。
何か観なきゃもったいないから、実家に寄った帰り、109シネマズ箕面へ。
原作は第17回(2019年)の『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した倉井眉介の同名小説。
監督は若干お久しぶりの感のある三池崇史。
三池監督って、『このミス』関連の作品を映画化されたことはありましたっけ。
『このミス』に食指を動かされる監督という印象はないけれど、
『悪の教典』(2012)を映画化したことを考えると、確かにこれは三池監督が好みそうな内容。
不穏な空気しかないエピローグは原作にかなり忠実です。
その日も、彼をつけてきた車の男性を事故に遭わせたあと、
助けてくれと懇願する男が何者かを突き止めるとぶっ殺してそこから立ち去る。
男は医師の杉谷久朗(染谷将太)の父親が経営する病院の職員で、
杉谷を強請るためのネタを得ようと、杉谷と親しい二宮を追ってきたのだった。
杉谷は二宮の唯一の友人で、実は彼もまたサイコパス。
医師であるのをいいことに、殺人を働いているというわけだ。
それを嗅ぎつけた男を消したのだから何も心配することはないはず。
ところが今度はつけられるばかりか、駐車場でひとりになった二宮は、
不気味な仮面をかぶって斧を振り回す謎の人物に襲われる。
そいつは最近連続して起きている事件の犯人、猟奇殺人鬼らしく、
狙った相手に背後から斧で斬りかかり、開頭して脳を持ち去る通称「脳泥棒」。
なんとか一撃をかわした二宮だったが、側頭部を斧の柄で殴られて入院する。
自分の手でその殺人鬼を始末したい二宮はカネ目当ての強盗に襲われたふうを装うが、
序盤で原作と異なる印象を受けたのは、二宮の婚約者・荷見映美(吉岡里帆)でしょうか。
親を安心させるためのカムフラージュで二宮と婚約した映美は、
原作ではどちらかといえば菜々緒の雰囲気のほうが合っていそうなほどクール。
この先、完全ではないけれど、かなりネタバレです。
原作のページの半分に至るか至らないかぐらいまで読んだ段階では、
エピローグのシーンとそれ以降のシーンでは時代が違うことがわかりません。
(これ、鑑賞後にもう一度読んでみたら、はっきり書かれていましたから、私が読み落としただけ。(^^;)
そうか、エピローグの子どもたちに二宮も含まれていたのですね。
サイコパスを作り出すために子どもをさらう。
その子どもたちの頭に脳チップを埋め込み、児童養護施設の前に置き去りにする。
精神病院でロボトミー手術がおこなわれていたという話は映画でもしばしばありますが、
サイコパスそのものよりも、この手術行為が私は怖くてたまらない。
戸城とコンビを組む刑事・乾登人役の渋川清彦は演技が上手いんだか下手なんだかよくわからないときがあるのですが、
どっちにしてもやっぱり好きだな。
ひとの心を取り戻した二宮。ラストはちょっぴり切なくもあり。