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『ロスト・イン・ザ・スターズ 妻消えて』

2023年12月06日 | 映画(た行)
『ロスト・イン・ザ・スターズ 妻消えて』(原題:消失的她)
監督:ツォイ・ルイ,リウ・シャン
出演:チュー・イーロン,ニー・ニー,ジャニス・マン,ドゥー・ジアン,ホァン・ズーチー他
 
前述の『ガールズ&パンツァー 最終話 第4章』を観たら、ついに近場ではネタ切れ。
日が暮れるのが早くなくなったわ寒いわで梅田や難波まで車を走らせる気にはなれず、
直帰して家で映画を観ることにしました。
 
観るものを物色中に目に留まった2022年の中国作品。
本国で劇場公開されたのは今年の6月下旬で、興行収入が中国歴代12位の大ヒットを記録。
日本では“中国映画週間”に公開されたとのことですが、全然知りませんでした。
そういえば少し前に、TOHOシネマズ梅田で中国映画ばかりかかっていたことがあったなぁ。
なんだろうこれはと思っていたのがその中国映画週間だったのかと今頃気づく。
 
中国映画週間では『ロスト・イン・ザ・スターズ』の邦題で公開されたようですが、
現在Netflixで視聴可能で、邦題は『妻消えて』となっています。
 
東南アジアのバランディア(架空の国)に旅行に来ていた中国人男性が現地の警察で騒いでいる。
妻が失踪した、探してくれ、ビザの有効期限まであと5日しかないと叫ぶ男はホー・フェイ。
誰も相手にしようとしないなか、唯一取り合ってくれたのが中国人警察官のジョン。
翌日改めて会う約束をして滞在中のホテルへと戻るフェイ。
 
しこたま酒を飲んで酔いつぶれたフェイが翌朝目覚めると、ベッドの隣に女性がいる。
失踪した妻かと思いきや、そこで眠っているのは見知らぬ女性。
なのにその女は自分がフェイの妻リー・ムーズだと言い張るではないか。
ちょうどホテルにジョンが到着し、フェイとムーズの話を聴きはじめる。
 
ふたりは結婚1周年を記念してこの地を訪れた夫婦。
ダイビングインストラクターを務めていたフェイと生徒のムーズが出会い、フェイはムーズに一目惚れ。
大会社の娘であるムーズとフェイでは身分違いの恋ではあったが、なんとか結婚を認められたらしい。
 
フェイは「目の前にいる妻を名乗る女性はムーズではない」と主張するが、
出会いについても偽ムーズの話と一致、ホテルのフロント係や清掃係も偽ムーズがフェイの妻だと証言。
フェイしか知らないムーズの太股の痣まで偽ムーズにはちゃんとある。
 
困り果てたフェイは、立ち寄った飲み屋のクリスから超優秀な国際弁護士チェン・マイのことを聞く。
マイは無敗の女性弁護士で、どんな事件も証拠を見つけて解決してくれるとの噂。
このままでは自分のアタマが疑われ、妻にDVを働いているとして捕まえられかねないフェイは、
是が非でもムーズの行方とこの件の真相を突き止めてほしいとマイに依頼するのだが……。
 
どこの国が舞台なのかわからず、白人もアジア人も英語だったり中国語だったりするから、
導入部では乗り切れない部分もありましたが、どんどん面白くなります。
 
旅行中にいきなり妻が失踪したというのに誰も取り合ってくれないなんて、
フェイのことがとても気の毒に思えて仕方ないはずなのに、なぜかそう思えない。
この先はネタばらししていますので、ご覧になる予定の方は読まないでください。
 
フェイを気の毒に思えなかったのも当然というのか、ここまでクズ男だったとは。
すべて計算尽くで、ムーズを殺したのも彼。
ならばなぜ騒ぎ立てたのかと不思議でしたが、事件化してムーズの死亡が明らかになれば、
彼女の財産も、彼女の父親の会社もすべて自分のものになるからなんですね。
 
たぶん、ご覧になった人はみんなそうだろうと思いますが、
マイか偽ムーズのどちらかがムーズの唯一無二の親友シェ・マンであろうことは想像がついていました。
しかし全員が芝居仲間で、このクズ男に鉄拳制裁を下すために集まっていたとは。
本国で大ヒットしたのもうなずけます。お見事。
 
本作のヒットのおかげで、ダイビングは怖いものだと考える人が出てきて、
ダイビングライセンス取得を目指す人からのキャンセルが相次いだとのこと。
だけど本作を観て怖いと思うのは、ダイビングよりギャンブルだと思いませんか(笑)。
 
海の底から見る星が美しいのが切ない。

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