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『YESデー ダメって言っちゃダメな日』

2021年06月19日 | 映画(あ行)
『YESデー ダメって言っちゃダメな日』(原題:Yes Day)
監督:ミゲル・アルテタ
出演:ジェニファー・ガーナー,エドガー・ラミレス,ジェナ・オルテガ,ジュリアン・ラーナー,
   エバリー・カルガニーラ,ナット・ファクソン,アルトゥーロ・カストロ他
 
2021年のアメリカ作品で、3カ月ほど前からNetflixで配信中。
 
ミゲル・アルテタ監督はプエルトリコ出身。
知らない監督だと思っていましたが、知ってるやん。
それとこれのこの2本で、もうじゅうぶんこの監督が好き。
 
アリソンはかつては常に前向きで、「Yes!!」が口癖の女性だった。
彼女の辞書に「No!」という言葉はなく、何にでもチャレンジ。
とにかくやってみるおかげで、彼女は「楽しい女性」。
毎日を明るく楽しく暮らしているなかで、
やはり何にでも前向きな楽しい男性カルロスと出会う。
 
ふたりは結婚、3人の子どもを授かる。
年頃の長女ケイティ、化学オタクの長男ナンド、まだ幼い次女リリー。
大切な子どもたちには違いないが、とにかく手がかかる。
いつしかアリソンは「No!!」としか言わない女になっていた。
カルロスは自分が悪者になりたくないせいでひたすら逃げ、
アリソンだけが子どもたちを怒るはめに。
 
親なんてそんなものだと思っていたある日、保護者会で学校へ。
そこでケイティとナンドの担任教師から驚愕の事実を知らされる。
子どもたちは母親のことを独裁者呼ばわりし、
ケイティはアリソンの独裁者ぶりを俳句にして詠み
ナンドはDVDまで制作して面白おかしく訴えていたのだ。
 
気落ちするアリソンとカルロスに声をかけてきたのは、
生活指導を担当するコーチ、ディーコン。
6人の子持ちだというディーコンは、“YESデー”を設けるべきだとアドバイス。
それは、親が子どもの要求すべてに応える日。
 
無理でしょ、そんなのと思ったが、
「ママが“No!!”と言わずにいられるわけがない」と子どもたちから言われ、
ムキになったアリソンは、“YESデー”を設けると決めるのだが……。
 
実際にあるんですかね、YESデーって。
映画の中では「今YESデーの最中なんだよ、この家族」と
周囲の人が触れ回ったりしていましたし、ありそう。
 
親が何でも応えてくれるとはいえ、YESデーの設定には一応ルールがあります。
そもそもいきなり「今日がYESデー!」というわけでもない。
YESデーをそう遠くない、たとえば数週間先に設定し、
その日まで子どもたちは家のことも学校のこともきちんとやる。
家事を手伝い、宿題はもちろんちゃんとして、成績もアップ。
 
それらをクリアしないとYESデーはやってきません。
わがままな子どもの無理難題を一方的に押しつけられるわけじゃないのはイイ。
子どもたちはYESデーに何をしたいかを練り上げるから、
行き当たりばったりで好きなことを言うわけじゃないのもイイ。
 
そして、当日にできることに限るというルールもあります。
当日より後の未来についてのリクエストは駄目だし、
物理的に行くのが遠すぎるような場所へ行きたいというのも駄目。
そうしたルールのもとで子どもたちが決めたあれこれの楽しいこと。
 
ネタバレはしたくないですが、
子どもたちのリクエストのうちひとつだけ言っちゃってもいいですか。
家族5人の乗った車で洗車に行く。
ここまではいいけれど、洗車機に窓全開で突入するのです。
車内も人も泡だらけ。水をかぶってビタビタ。笑った。
 
“No”としか言わない人が“Yes”と言うようになると何が変わるか。
『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008)なんて作品もありましたよね。
眉間に皺を寄せて「あかん!」と言い続けるよりも、
ニッコリ笑って「ええで!」という心の余裕があればいいかもしれません。
 
一部、やりすぎのところはありますが(笑)、とても楽しい作品です。
そしてホロリと来る。オススメ。

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