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『ゴスフォード・パーク』

2003年04月16日 | 映画(か行)
『ゴスフォード・パーク』(原題:Gosford Park)
監督:ロバート・アルトマン
出演:マギー・スミス,マイケル・ガンボン,ジェレミー・ノーザム,
   クリスティン・スコット・トーマス,ケリー・マクドナルド他

数年前に何かの雑誌で読みましたが、
映画界には「20分ルール」なるものがあるそうです。
2時間程度の映画では、開始から20分後にまず最初の展開が起きる。
この最初の展開にいたるまでが20分というのがちょうどいいそうです。
長すぎても短すぎてもあかんと。
評論家の話ではなくて、これは製作者のひとつの常識だそうな。

そう言われてから映画を観てみると、
なるほど20分でなんらかの展開のある映画の多いこと。
サスペンスなら平穏無事に過ごしている主人公の身辺に
何か最初の事件が起きるとか、
ヒューマンドラマだと家族の身に何か起きたり、
コメディだとドタバタが始まるのがだいたい20分後。

この映画は、そう思ってみると最初からざわざわ。

1930年代、とあるカントリーハウス。
ここに主人の招待客が続々と集まってきます。
雨のイギリス郊外、大きなお屋敷。
アガサ・クリスティの推理小説みたい。
が、なぜか暗さはまったくありません。

招待客にはそれぞれ付き人がついていて、
屋敷には付き人たちを仕切る長の女性。
彼女の仕事さばきが見事です。

物語は、客のいる階上と付き人のいる階下に分けて描かれます。
「階下の世界」の慣習がわかるのもおもしろい。
付き人たちが名前を呼び合うときは、付き人の本名は使わずに、
仕えている主人の名前に「Mr.」や「Miss」を付けて呼びます。
また、付き人たちは自分の主人以外のことなら何を噂してもかまわないとか。
主人たちも、付き人からいろんなゴシップを仕入れられるのを待っているわけです。
「階上の世界」のカネをめぐる人間関係もことこまかに。
重々しくも噴きだしてしまう場面のある、
私にとってとても楽しい140分となりました。

傲慢な屋敷の主人が殺されるのがおよそ1時間後。
20分どころか…の展開でしたが、これがまた楽しい。

屋敷の主人を『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)の
ダンブルドア新校長に決定したマイケル・ガンボンが演じています。
また、客役でマクゴナガル先生役のマギー・スミスが登場。
ハリウッドでは(日本の芸能界でも?)整形手術が当たり前の今日、
彼女は「皺」をウリにする、数少ない大女優ですよね。

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