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『虹の女神 Rainbow Song』

2007年05月21日 | 映画(な行)
『虹の女神 Rainbow Song』
監督:熊澤尚人
出演:市原隼人,上野樹里,蒼井優,佐々木蔵之介他

「誰それプロデュース」という触れ込みは、
映画に限らず、あまり信用していません。
特にレストランは、有名シェフのプロデュースを掲げている場合、
「プロデュースって、いったい何さ」と言いたくなることもしばしば。

本作は人気者の岩井俊二監督プロデュース。
訝りつつも、今が旬の若手俳優3人が出演ですから、
観るのを心待ちにしてました。
さて、結果。岩井俊二プロデュースに偽りなし。

オープニングは、小さな映像制作会社に勤める智也が、
水平に伸びる変な虹を見上げるシーンから。
今はアメリカにいる学生時代の女友だち、あおいと
数年前に虹を見たことを思い出した智也は、
ふと、あおいのことが懐かしくなり、虹の写真を送信する。
それからほどなくして、あおいが飛行機事故で亡くなったという知らせが。
物語は、智也とあおいの出会った頃へ。

レコード店でアルバイト中のあおい。
挙動不審の客、智也に声をかけてみると、
彼はあおいの同僚、サユミに気があるらしい。
サユミとの仲を取り持ってほしいと智也から頼まれるが、
サユミは冷たい態度。あっさり振られる。

それ以来、智也とあおいのつきあいが始まる。
映画研究会に所属するあおいは、自分の監督作に智也を抜擢。
サユミに振られたショックもどこへやら、
相手役の今日子に智也は興味を示すが、
キスシーンを前に今日子が「できない」と泣き出す。
仕方なく、あおいは自ら主演することに。
あおいと智也共演の『地球最後の日』はこうして完成する。

やがてふたりは大学を卒業。
あおいは映像制作会社に就職。
上司に「世界を見て来い」と言われて渡米を決めたあおいは、
就職できずにフリーター生活を送っていた智也を
自分の抜ける会社に引き入れるのだが……。

今が旬の3人がめちゃくちゃイイ。
こんなに近くにいる智也に、好きだと言えず、
言えないまま逝ってしまったあおいを、上野樹里が大好演。
あおいが死んでしまっても、彼女の想いに気づかない智也。
鈍感すぎる智也に、市原隼人がハマリすぎ。
年上の女性に想いを寄せる美大生を演じた『天使の卵』(2006)よりずっと良し。
ただひとり、あおいの想いを知る盲目の妹、かなを演じる蒼井優も素晴らしい。

出せなかったラブレター。
短い言葉にこんなに想いが詰まっています。
大事な大事な薬指の紙の指輪。
切なさに参りました。

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