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『聖の青春』

2016年11月28日 | 映画(さ行)
『聖の青春』
監督:森義隆
出演:松山ケンイチ,東出昌大,染谷将太,安田顕,柄本時生,鶴見辰吾,
   北見敏之,筒井道隆,竹下景子,リリー・フランキー他

前述の『胸騒ぎのシチリア』とハシゴ。
同じく大阪ステーションシティシネマにて。

難病に苦しむ人生のすべてを将棋に捧げ、ひたすら名人を目指したまま、
わずか29歳でこの世を去った異端の天才棋士、村山聖(さとし)。
彼の生涯を綴った大崎善生の同名ノンフィクションを映画化。
監督は大好きな『ひゃくはち』(2008)、『宇宙兄弟』(2012)の森義隆。
主演はこの役のために体重を20キロ増やしたという松山ケンイチ

広島に生まれた村山聖(松山ケンイチ)は、5歳のときにネフローゼ症候群を患う。
入院中、暇を持てあます聖に父・伸一(北見敏之)が買い与えたおもちゃの将棋セット。
それからの聖は明けても暮れても将棋。棋士しかも名人になりたいと言いだす。

身体のこともあり、せめて好きなことをやらせてやりたいと、
伸一と母・トミコ(竹下景子)は師匠探し。
引き受けてくれたのは大阪在住の森信雄(リリー・フランキー)。
弟子入りした聖はすぐに頭角を現し、異例のスピードでプロデビュー。

同世代の天才棋士として常に比較される存在だったのが羽生善治(東出昌大)。
羽生に猛烈なライバル心を抱く聖は、周囲の反対を押し切って上京。
森の依頼を受け、雑誌『将棋世界』等の編集部に所属していた橋口陽二(筒井道隆)が
聖の部屋探しほか、なんやらかやらと面倒をみることに。

大阪から東京へと拠点を移した聖は、打倒羽生と名人獲得という目標を掲げ、
なりふりかまわず突き進むが……。

最初に言うことでもないんですが、初めて東出くんをカッコイイと思いました(笑)。
これまでずっと、失礼ながらそうイケメンとも思えず、声もヘンテコ、
台詞も棒読みで演技力イマイチだと思っていた東出くん。
羽生さん役の彼はほとんどしゃべらず、するとカッコイイ。
すごく知的な印象で、しゃべらないほうがいいじゃんと思いました。すんません。

少女漫画が大好きで、漫画を読みたくて遅刻することしょっちゅう。
変な奴というしかない村山さんですが、こんなに周囲に恵まれたのだから、
やはり変なだけではない。
ひたむきな姿勢で将棋に臨み、勝利への並々ならぬ執念を燃やした。
その姿に心を打たれた人が多かったのだろうと思います。

棋士仲間のなんと魅力的なこと。
師匠の森さんをはじめ、滝誠一郎、先崎学さんをそれぞれモデルにしたという、
橘正一郎(安田顕)、荒崎学(柄本時生)。弟弟子の江川貢(染谷将太)。
編集者の橋口は、原作者の大崎善生氏自身がモデルとなっています。

村山さんと羽生さんの一戦は、まるでスポーツかと思うほど。
将棋でしょ、将棋なのに、なにこの臨場感と驚きました。

どっちみち苦しむのだから、悩むだけ損。
森見登美彦の本の中にも出てきたそんな言葉。いいなぁ。
将棋に興味がないとかわからんとかいう方々にもお薦めしたい1本です。

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