夜な夜なシネマ

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『フォックスキャッチャー』

2015年02月23日 | 映画(は行)
『フォックスキャッチャー』(原題:Foxcatcher)
監督:ベネット・ミラー
出演:スティーヴ・カレル,チャニング・テイタム,マーク・ラファロ,シエナ・ミラー,
   ヴァネッサ・レッドグレーヴ,アンソニー・マイケル・ホール,ガイ・ボイド他

義父の米寿を祝う日、午後2時にダンナ実家へ集合。
私は大阪駅で“和久傳”のお弁当と“キルフェボン”のケーキを調達してから向かうため
(個人的には“アマレーナ”のほうがずーっと好きだけど)、
その調達に動線のよい大阪ステーションシティシネマで映画を1本。

『マネーボール』(2011)のベネット・ミラー監督のよる、実在の事件の映画化。
終始漂う不穏な空気、そして驚きのラストに戦慄。

1984年のロサンゼルス・オリンピックで金メダルを獲得したレスリング選手マーク・シュルツ。
しかし、マイナーな競技ゆえ生活は苦しいままで、華やかさのかけらもない。
同じく金メダリストの兄デイヴをずっと頼りにしてきたが、
独身のマークとちがい、妻子を持つデイヴは家庭サービスに忙しそう。

そんなこんなでもやもやを感じていたある日、
大財閥デュポン家の御曹司ジョン・デュポンから突然呼び出される。
レスリングをこよなく愛するジョンは、自らも選手になりたかったのに、
レスリングを嫌う母親のせいで断念した経緯がある。
指導者として一流のチームを作ろうと“フォックスキャッチャー”を結成、
マークにぜひとも参加してほしいと言うのだ。

ありあまる金を持つジョンは、マークがふっかけてみた給料を即了承。
ジョンはデイヴの参加をも望むが、マークの話を聞いたジョンは、
自分は妻子とともに今の暮らしを続けたいと断り、
しかし、マークには自分の力を信じて行ってくればいいと後押しする。

最先端のトレーニング施設を有するデュポン邸へと移り住むマーク。
トレーニングに集中できる理想的な環境を手に入れたと思われたが……。

実在の殺人事件が基になっているということだけ知っていたので、
何も起こりそうにない展開に、最初は「あれ?」と思いました。
ただ、何も起こらないとは言え、ジョンがとにかく怖い。
いまやコメディの帝王の印象すらあるスティーヴ・カレルにゾワ~っ。
何を考えているのかわからず、賢いのか阿呆なのかも不明。
精神を患っていたようですが、それが表に出てこないのが余計に怖い。

マーク役のチャニング・テイタムも、今までとはずいぶん印象がちがいます。
兄から離れて独り立ちしたいのに、いつまで経っても兄が頼り。
暗く塞ぎ込む表情は好きじゃないけど素晴らしい。
デイヴ役のマーク・ラファロは、誰からも尊敬される懐の深い人物を好演。
とにかくこの3人の演技が光っています。

ジョンの母親じゃないけれど、レスリングは私も苦手。
あんなムキムキの体であんなユニフォームを着てくんずほつれず、
どうも見ていたい気持ちになれません。
だけど、母親のせいで好きなものをあきらめたジョンが、
母親が亡くなった後すぐに取る行動に、
子どもが興味を持つものは嫌いでも理解に努めなくちゃならんのかなと思いました。

山あり谷ありの物語ではなく、淡々と進みます。
その静けさが恐ろしく、十二分に観応えあり。

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