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『中学生円山』

2013年05月24日 | 映画(た行)
『中学生円山』
監督:宮藤官九郎
出演:草彅剛,平岡拓真,遠藤賢司,ヤン・イクチュン,鍋本凪々美,刈谷友衣子,
   YOU,原史奈,田口トモロヲ,岩松了,坂井真紀,仲村トオル他

休みを取っていたレディースデー。
あれこれ用事を片づけてから、マイルを貯めるべくTOHOシネマズへ行くつもりが、
伊丹まで行くのが面倒になって109シネマズ箕面へ。

『あまちゃん』も絶好調らしいクドカン。
役者としての彼も嫌いではないですが、
脚本を書いて出演はしない作品のほうが好きかもしれません。
アホなことばかり言っているように見えて意外にマジメ、
笑わせておいてしんみりさせてくれるところが大好きです。

両親と妹の茜とともに団地に暮らす中学2年生の円山克也。
身体の柔軟度を高めれば、自分のアソコを舐めることも可能なのではないか。
そんなことを考えてレスリング部に入部、帰宅後も自主トレに励む。
来る日も来る日も頑張るが、舌はなかなかアソコに届かない。

ある日、真上の部屋にシングルファーザーの下井辰夫が引っ越してくる。
ゴミの分別も完璧な下井は、団地の主婦層の評判も上々。
しかし、克也は下井に得体の知れない不安を抱く。
そんな折りに団地の近所で殺人事件が発生。
克也は下井こそが子連れ狼、凄腕の殺し屋だと考え、妄想を膨らませる。

殺人事件の話で盛り上がる教室。
密かに想いを寄せている同級生、清水ゆず香の気を引きたくて、
犯人を知っていると口走ってしまう克也。
ゆず香を含む、“イケてる”同級生数名に下井の話をしたところ、馬鹿にされてガクッ。

その日、克也は階上の下井に会いに行き、作り話を謝罪する。
すると下井は気を悪くするでもなく、面白いと言って克也の話に聞き入るではないか。
自分の妄想に初めてまともにつきあってくれた下井。
嬉しくて嬉しくて、以降、克也は物語の続きを考えては下井に話すようになるのだが……。

今までにない役柄の人が多く、かなり楽しそう。
食後のフルーツとエロ画像を愛するサラリーマンの父親に仲村トオル
地味な母親役の坂井真紀は、韓流の元主演俳優が電器屋に転職して家にやってきたからさあ大変。
髪型を整え、化粧を念入りに、胸元の大きく開いた服を着て電器屋を迎える姿は、
ある意味、『ノン子36歳(家事手伝い)』(2008)よりイタいのですが、
きっと本人はものすごく楽しんでいると思えます。
この電器屋に扮するのがヤン・イクチュンで、これまた『かぞくのくに』(2011)とは全然ちがう役どころ。
さらにタイムリーなことに、『バルーンリレー』のヒロインがゆず香役で、およっ。

アホな話のまま最後まで進むのかと思いきや、
『みなさん、さようなら』のような、悲しくてたまらないエピソードも。
また、いくつもの台詞に人への愛情を感じて、グッと来ずにはいられません。
たとえば、茜の同級生の祖父、井上のおじいちゃんと茜との会話。
認知症のおじいちゃんに向かって茜が言うこんな台詞。
「また一緒に散歩しようね。ひとりだと徘徊だけど、ふたりだとデートだもん」。

不覚にも、克也が「届くか」という体育館のシーンでは涙腺が緩んでしまいました。
なんでこんなシーンで泣かなあかんねん、私。(^^;
いやはや、クドカンにやられました。

妄想が現実を超えるとき、それは真実になる。

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