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『ワレサ 連帯の男』

2014年05月13日 | 映画(わ行)
『ワレサ 連帯の男』(英題:Walesa: Man of Hope)
監督:アンジェイ・ワイダ
出演:ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ,アグニェシュカ・グロホウスカ,マリア・ロザリア・オマジオ,
   イヴォナ・ビエルスカ,ズビグニエフ・ザマホフスキー,ミロスワフ・バカ他

GW終わりかけの頃、テアトル梅田にて。

この前日も相当お酒を飲んでいたので、早起きするのがつらい。
けれども年をとるにつれ、なぜか長いこと寝ていられなくなりました。
何時に寝ようとも早く目が覚めてしまう。
これって生き急いでいるということでしょうか!?

……なんて話をすると、昔、先輩から聞いた話を思い出します。
休日に家事をいろいろ手伝っていると、ご近所さんが先輩の奥さんに
「いいご主人ですねぇ。こんなに手伝ってくれはって」。
それに返して先輩の奥さんが言うには「あの人、何を生き急いでるんやろ」。
アンマリや~。(^^;

閑話休題、やはり早起きしてしまったので、
まずはマチェイ・ドルィガス監督の『他人の手紙』(2010)を同劇場にて。
1945年~1989年の社会主義下のポーランドで、
年間数千万通の手紙を公安局が開封、検閲していたという事実。
当時の庶民の心情を紐解くというドキュメンタリー作品です。
この製作過程で発見されたアーカイブ映像が『ワレサ 連帯の男』にも使用されているそうです。

さて、『ワレサ 連帯の男』は、ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の作品。
東欧諸国の民主化運動に多大な影響を与えた伝説的指導者で、
1983年にノーベル平和賞を受賞したレフ・ワレサ氏の半生を描いた伝記ドラマ。

ポーランド最大の港湾都市グダニスク。
レフ・ワレサの自宅をイタリアの著名女性ジャーナリスト、オリアナ・ファラチが訪れてインタビュー。
不機嫌ながらワレサが語りはじめ、これまでのことを回顧する形で進みます。

1970年12月、東欧諸国では食糧や日常品は配給制。
十分な食糧を確保することができず、怒る労働者たち。
暴動が起きたグダニスク造船所では、何十人もの労働者が政府によって虐殺されました。
このとき造船所に電気技師として勤めていたのがワレサ。
この後、労働者たちは圧政と貧困に10年以上あえぎつづけます。

1980年には労働者の賃金がカットされたにもかかわらず、日常品はすべて値上げされます。
以前の暴動の折、ワレサは政府からいわばチクリを強要する書面を見せられ、
家族を守るために仕方なく署名していましたが、今回は反抗。
そのため彼は解雇されてしまいます。
それでも反体制の態度を崩さず、人を惹きつける言葉を放つ彼を人々はカリスマ視。
やがてワレサの指導のもと、ストライキが決行されます。

不遜にも思える態度を彼は取りますが、
ファラチとの会見のさいの「アンタが嫌い。俺と似ているから」という言葉に、
どこか憎めない印象を受けます。
相手のことが嫌いだなぁと思うと、それが自分も持っている部分だからということが、
私にはよくありますから(笑)。

ワレサも凄いのでしょうけれど、驚くべきは妻のグヌタ。
華奢で可憐な彼女(実物は知らないけど)のいったいどこにこんな力が秘められているのか。
6人の子どもを育て、始終危険な状態にある夫を支え、文句は言うけれど、決して離れない。
そして最悪なときこそ夫婦の間で交わされるユーモアある会話。

日本史も世界史もあまり得意ではなかった私は、
こうして映画を観るたびに、勉強しなおしている気になるのでした。

ワレサ曰く、良き指導者になる秘訣は、
「内に対しても外に対しても腹をくくること」。

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