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『何者』

2016年10月22日 | 映画(な行)
『何者』
監督:三浦大輔
出演:佐藤健,有村架純,二階堂ふみ,菅田将暉,岡田将生,山田孝之他

TOHOシネマズ西宮にて、前述の『永い言い訳』とハシゴ。
『永い言い訳』の原作は第153回直木賞の候補作でしたが、
こちらは第148回直木賞受賞作。
朝井リョウの原作を読んだときのレビューはこちらにUP済み。

今年引退した横浜DeNAの「ハマの番長」と同姓同名の三浦大輔監督。
『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(2009)、『愛の渦』(2014)、いずれも好きでした。
劇作家の監督ならではの楽しさが本作にもあります。

就職活動をせざるを得ない年齢となった大学生たち。
演劇サークルに情熱を注ぎつづけてきた二宮拓人(佐藤健)。
バンド活動をする天真爛漫な神谷光太郎(菅田将暉)。
このふたりはマンションでルームシェアしている。
光太郎の元カノで、素直で真面目な田名部瑞月(有村架純)。
瑞月の友人で拓人たちの部屋の上階に住む小早川理香(二階堂ふみ)。
理香と同棲する宮本隆良(岡田将生)。
そして拓人の良き相談相手である大学院生のサワ先輩(山田孝之)。

メジャーな人気若手俳優を揃えた作品ですが、
こうして書き出してみると、登場人物はほぼそれだけ。
この辺りも舞台っぽくないですか。

彼らは理香の部屋を“就活対策本部”と名付け、情報交換のため定期的に集まるように。
私がいちばん見たい山田孝之演じるサワ先輩はここには出入りしませんけど(笑)。
ひとり年上だというせいもあるけれど、仲良しごっこに参加しないところがまた○。

そう、情報交換とか言いながら、協力し合うふりをしているだけの仲良しごっこ。
嫌になるくらい妬みそねみがはびこっている。出し抜くことに必死。
もちろんそんな奴ばかりじゃないんですが、原作を読んだときと同じく、
嫉妬がうずまく様子は見ていて苦しい。

スマホの画面に映し出された文字が多く登場した原作。
そのまま映像化することは簡単に思えますが、それでは面白くない。
舞台を主とする劇作家の監督が、映画でなければできないこともそこに嵌め込んでいます。
原作を読んだときには理香の独壇場になると思えたシーンはそんなこともなく、
ちょっと拍子抜けした感はありますが、
その分、伏せられていた拓人の心情が露わになるシーンが面白い。

原作はそこそこ面白かったけれど、平成生まれとの感覚の違いも感じました。
その点、昭和生まれの三浦監督の映画版は、
原作よりもずっと温かみを感じるラストで、ホッ。
若者よ、がんばれ。

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