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映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『愛の流刑地』

2007年01月16日 | 映画(あ行)
『愛の流刑地』
監督:鶴橋康夫
出演:豊川悦司,寺島しのぶ,長谷川京子,津川雅彦他

封切り日に観てきました。
ご存じ、渡辺淳一の同名ベストセラー。
日本経済新聞に連載中には、
ビジネス紙にはふさわしくない性描写で物議を醸した不倫愛のドラマです。

ちなみに、私には「浮気」という考えはありません。
浮気はできない性分ですので、浮気はあり得ない。
だから、もし好きになることがあれば、
そのときは「浮気」じゃなくて「本気」です。

かつては恋愛小説の人気作家だった菊治、45歳。
最近は新作を発表することもできず、くすぶっている。
そんなとき、取材先の京都で、元編集担当者から
彼の熱烈なファンだという女性を紹介される。
彼女は3人の子を持つ人妻、冬香、32歳。

出会ったときから強烈に惹かれ合うふたり。
わずか2時間ほどの逢瀬のために
菊治が新幹線で冬香のもとへ駆けつける日々が続く。

いつの頃からか、冬香が「首を絞めて殺して」と
情事の途中に口走るようになる。
そして、花火大会の日、菊治のもと訪ねた冬香に
「愛しているなら殺して」と懇願された菊治は
絶頂感のなか、本当に彼女を絞め殺してしまう。

物語は事件の起こった場面から始まります。
女はなぜ死を望み、男はなぜ殺したか。
それが法廷で解き明かされていきます。

非常にわかりやすい作品です。
私は説明しすぎない作品のほうが好きなので、
表情を読み取る間もないくらい、
登場人物が胸の内を話してしまうのはどうよ、という気も。
また、妻の不倫は夫の多忙が原因と言いたげな夫の描き方も不満。

でも、いい場面と台詞がいっぱいあります。
菊治(豊川悦司)の「死にたくなるほど人を愛したことがありますか?」。
冬香(寺島しのぶ)の母を演じる、実母でもある富司純子には降参。
彼女の証言後、彼女に向かって菊治が土下座する場面は圧巻です。
バーのママ(余貴美子)の「女には2種類ある」。
頭と心で十分愛せば、女にはそれが伝わると。
検事の美幸(長谷川京子)の「最初の女になれないならせめて最後の女に」。
菊治が「情事の果てに殺された愚かな女だとは思わないでほしい」と訴える場面。
白から変わる冬香の下着の色も。

トヨエツが、「この映画を観た人が、不倫だとかどうとかいうことではなく、
恋っていいものだと思ってくれたら」と話していました。
ふたりで会っているときの表情を見れば、
私にはそう思えます。恋っていいもの。

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