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『グッモーエビアン!』

2013年01月07日 | 映画(か行)
『グッモーエビアン!』
監督:山本透
出演:麻生久美子,大泉洋,三吉彩花,能年玲奈,塚地武雅,小池栄子,土屋アンナ他

前述の『菖蒲』の次、シネ・リーブル神戸の3本目がこれでした。
ほかにも上映劇場はあったけれど、1本目と3本目が狙いならここでまとめて観られますから。

原作は未読ですが、吉川トリコの同名小説。
『ふがいない僕は空を見た』と同じくR-18文学賞の受賞作家ですね。
意味不明のこのタイトル、原作を読んだ人はご存じでしょうが、
映画の中でもかなり早めに明かされて、なんだそういうことか。

中学3年生の女子、ハツキは、17歳で自分を産んだ母親アキと二人暮らし。
かつてのアキはパンクバンドのギタリスト。
同じバンドのボーカリストであるヤグは、アキのことが大好きで、
父親でもないのにアキがハツキを身ごもっているときから一緒に暮らしていた。
ハツキが生まれてからももちろん一緒、ハチャメチャな毎日。

そんなヤグは2年前、「世界ツアーに出る」と言って家を出たきり。
とはいうものの、行く先々から思い出したように葉書が届き、
こいつはアホだバカだと言いつつ、嬉しそうにそれを見つめるアキ。
しっかり者のハツキは勉強に家事に頑張り、笑顔でアキを支えている。

そしてある日突然、ヤグが放浪の旅から帰ってくる。
ひたすらにぎやかなヤグとそれを無条件に受け入れるアキは、
ハツキから見ればふたりそろってどこまでも能天気。
担任教師からは進路を決めるように言われ、
家計の心配もしなければならないハツキはイラついて……。

総合的にはとても楽しめる良作でしたが、私は本作の麻生久美子はイマイチ。
いつも自然体で可愛く、同性からも好感度の高い人だと思います。
実際、『おと・な・り』(2009)、『インスタント沼』(2009)、
それに作品自体はゲンナリだった『ロック わんこの島』(2011)ですら彼女はよかった。
けれどもこれはちょっと自然体に見せすぎなところがちと鼻についたような。
ハツキが三者面談があるということを言いかけたときに、
ろくに話を聞きもせずに「ムリムリ」とテキトーなところなどは実に腹立たしい。
小池栄子演じる担任教師のほうを嫌な先生として描きたかったかもしれませんが、
これは正直、小池栄子に同情しましたね。

対してヤグ、彼を演じる大泉洋は、『しあわせのパン』(2011)のような、
あまり冗談は言わない物静かな男性役よりもこっちのほうが断然イイ。
ハツキ役の三吉彩花も可愛いし、彼女の親友役の能年玲奈も可愛すぎ。
どこで見た子だっけと思ったら、『カラスの親指』(2012)のまひろちゃんでした。
今春からのNHK朝の連ドラ『あまちゃん』のヒロインに決定しているそうで。

と、麻生久美子に文句を垂れてみましたが、そういう役なんだから彼女に罪はない。(^^;
腹立たしくなってしまうところもあるほど演技上手ということで。

印象に残る台詞もたくさん。
「『さよなら』と『ありがとう』は言えるときに言わなきゃ駄目」。
それ以上に印象的だったのが、
「弦の切れたギターなんて弁当箱にもならねぇ」。確かに。

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