『よだかの片想い』
監督:安川有果
出演:松井玲奈,中島歩,藤井美菜,織田梨沙,青木柚,手島実優,池田良,中澤梓佐,三宅弘城他
さよなら興行中だったテアトル梅田で、【テアトル梅田を彩った映画たち】ではない新作も鑑賞。
脚本を担当するのが城定秀夫であることに惹かれました。
嫌いな子の写真集は買わないと思うから、たぶん松井玲奈も好きだったのでしょう。
生まれつき顔の左側に大きな痣があるアイコ(松井玲奈)。
子どもの頃からからかわれてきたせいで人づきあいに消極的になった彼女は勉学に励み、
大学院に進んで理系の研究に没頭している。
数少ない友人のうちのひとり、マリエ(織田梨沙)の勧めで取材を受けたアイコ。
顔に痣を持ったり怪我を負ったりした人を取り上げたその本は話題になり、
マリエはさらにこの本の映画化計画が出ていることをアイコに告げる。
気乗りしないまま、断るつもりで映画監督の飛坂(中島歩)に会ったアイコは、
図らずもその人柄に触れて惹かれてゆくのだが……。
中島歩って不思議な俳優ですね。
イケメンではあるけれど、なんかふらふらしていて、誠実だかなんだかわからない印象があります。
本作では最初そこに違和感があったものの、映画第一、女は映画を撮るための存在、
だけどそのことに自分では気づいていないふうの彼にまさにピッタリな気がしてきました。
松井玲奈演じるアイコの話で印象的だったことがあります。
小学生の頃、授業で琵琶湖の話が出たとき、ある男子がアイコの顔を見つめ、
「痣が琵琶湖そっくりだ」と言い出します。
みんながアイコの顔を凝視して、ホントだホントだとはやし立てる。
このときのアイコの気持ちは、「ちょっと嬉しかった」。
注目されて、少し誇らしい気持ちさえ芽生えたのに、担任の先生がそれを遮る。
「なんて酷いことを言うんだ、謝れ」と。口々に謝る同級生たち。
「私の顔って酷いんだと思った」というアイコの台詞。
もしもこの場にいたら、私も先生と同じことを思ったでしょう。
でもこれこそが彼女を可哀想に思っているわけで、酷いこと。
どう受け取るかは本人にしかわからない。
わかりもしないのに、傷ついていると決めつけて謝れということの酷さ。
その昔、可愛いけど大根役者だと思っていた藤井美菜がアイコの先輩役。
この彼女はとてもよかった。上手くなったじゃないかというのは上から目線ですね。(^^;
アイコとふたり、踊るラストシーンが素敵です。