『モンタナの目撃者』(原題:Those Who Wish Me Dead)
監督:テイラー・シェリダン
出演:アンジェリーナ・ジョリー,ニコラス・ホルト,フィン・リトル,エイダン・ギレン,
メディナ・センゴア,タイラー・ペリー,ジェイク・ウェバー,ジョン・バーンサル他
109シネマズ箕面にて。
アンジェリーナ・ジョリーを見るのは久しぶりなような。
プラピとの別れ話だったり、監督作の『不屈の男 アンブロークン』(2014)が反日映画と言われたりで、
すっかり印象が悪くなってしまったけれど、こうして見るとやっぱり上手いし美しい。
魔女みたいな役よりも、私はこんな普通の人間役の彼女のほうが好きです。
監督はテイラー・シェリダン。『ウインド・リバー』(2017)がとてもよかった。
本作の私の中での目玉は、主演のアンジーではなくて悪役2人。
エイダン・ギレンはあの『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)のプロデューサー、ジョン・リード役だった彼。
そして子役から着々と成長していつのまにか30歳を過ぎたニコラス・ホルト。
ニコラス・ホルトの悪役って、今までにありましたかね。私の記憶にはない。さてその悪役ぶりはいかに。
アメリカ・モンタナ州パーク郡。
森林消防隊員のハンナはチームのスター的存在だが、
ある消火活動時に判断ミスを犯して犠牲者を出したことが心の傷となっている。
左遷の意味合いで、森林を見渡す火の見櫓での監視業務に就かされる。
一方、法廷会計士のオーウェンは、自分がとんでもない事件に巻き込まれたことを知る。
汚職を告発しようとした検事の家でガス爆発が起き、一家は全員死亡。
これは間違いなく殺人。その検事に雇われていた自分も消されるに決まっている。
オーウェンはひとり息子のコナーを連れ、逃走を図る。
オーウェンが目指すのは、義弟の保安官イーサンとその妻アリソンが暮らすモンタナ州。
道中、オーウェンは息子に手紙を託し、もしも自分の身に何かがあったときは、
信頼できる人を探してこの手紙を渡し、テレビ局を呼べと言われる。
懸念通り、待ち伏せしていた2人組に襲われ、オーウェンは死亡。
その前に父親から逃がされたコナーは、森の中を小川に沿ってひた走る。
ちょうど火の見櫓が落雷に見舞われ、脱出したハンナと遭遇するのだが……。
最初のガス爆発の音がド迫力で、座席から飛び上がりました(笑)。
エイダン・ギレンとニコラス・ホルトが悪いのなんのって。
妊婦のアリソンまで殺されたら見ていられないと思いましたが、
母ちゃんになる人は強いんです。ナメとったらアカンでぇ。
悪役がコナーを捕らえるまで時間稼ぎをしようと山に火をつけたものだから、
大火事のなかでハンナとコナーが逃げるはめになります。
コナー役のフィン・リトルの可愛いことと言ったら。
ちょっとポチャっとしていてクルクル巻き毛。
目の前で父親を殺され、でもなんとか父親の遺言を守ろうと涙をこらえて走り続ける。
そりゃもうもらい泣き。健気な姿がたまりません。
シェリダン監督はジョン・バーンサルがお気に入りなのか、本作ではイーサン役。
『ウインド・リバー』でも大事な役を任されていて、たいてい脇役だけれど印象に残る人です。
いったいどんな汚職だったのか、暗殺者2人は誰の依頼で動いているのか、
その上司もどういう立場の人なのか、詳細は省かれているのが不満と言えば不満。
けれどそこを詳しく描写されて上映時間がだらだら長くなるよりは、
あっさりと終わってよかったのかもしれません。
燃える森林の中で必死の逃走をするハンナとコナーを見る作品だから。
そして、正義は勝つんだと言ってくれる作品ですもんね。